こんにちは、
ともやんです。
現代、演奏会やCDで一番人気と実力を兼ね備えたヴァイオリン協奏曲と言えば、多くの方は、ベートーヴェンかブラームスを挙げるのではないでしょうか?
ただ僕個人の好みとしては、チャイコフスキーが一番で、次がメンデルスゾーンです。
次がJ・S・バッハかな。
もちろんベートーヴェンとブラームスも好きですが、どちらも大曲なだけに気軽に聴けない部分があります。
ベートーヴェンは、ヴァイオリン協奏曲を1曲のみ残しています。
作曲されたのが、1806年。
ベートーヴェンの生涯でもっとも幸福な時代だったと言われている頃です。
交響曲第4番が完成し、ラズモフスキー弦楽四重奏曲シリーズに着手した頃です。
だから、このヴァイオリン協奏曲はもちろん交響曲第4番やラズモフスキー弦楽四重奏曲には、ないかウキウキして生きる喜びを感じさせる曲想になっています。
ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 もっとも幸福だった時代
1805年頃、ベートーヴェンが幸せだったその理由は、彼女がいたからです。
しかも残されている肖像画から一番の美人と言われているヨゼフィーネ・ブルンスウィックです。
彼女は、ハンガリー王国の上流階級の娘として生まれ、20歳前後の1799年頃に姉のテレーゼと一緒にベートーヴェンのピアノの弟子となった女性です。
当時ベートーヴェン29歳、姉のテレーゼ24歳、ヨゼフィーネ20歳。
若いベートーヴェンと年頃の女性たちとの楽しいレッスン風景が目に浮かびます。
しかし、ベートーヴェンとは家柄が違うという理由で、ヨゼフィーネは、その後ダイム伯爵というずっと年上の男性と結婚をして4人の子供を設けました。
しかし伯爵が1804年に急死。未亡人となってしまいました。
ベートーヴェンは、ヨゼフィーネの結婚後もピアノのレッスンを続けていましたが、伯爵が亡くなった後に急接近。
深い仲になったようです。
これは二人の往復書簡が残されていますが、1805年6月から9月までの間は一通もないんです。
この間、二人は毎日のように会っていたので手紙は必要なかったのです。
また、姉のテレーゼとの恋仲もうわさされていますが、最近の研究では可能性は薄いようです。
ちなみにベートーヴェンは、身長約160センチで小柄だったとされていますが、現代もっとも平均身長の高いオランダ人でも当時は、平均160センチくらいとされているので、平均的な身長だった思われます。
また肖像画で観る20代のベートーヴェンはなかなか凛々しく、しかもピアノが抜群に上手かったので若い女性にはもてたと思われます。
ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 おすすめ 5選
さて、僕が勝手に選んだヴァイオリン協奏曲のおすすめ
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op. 61
Violin Concerto in D Major, Op. 61
実はこの傑作もベートーヴェンの生前は、埋もれてしまっていたそうです。
当時の名手である、クレメンティ、トマジーニ、ヴュータンがそれぞれソリストを務めたにもかかわらずいずれも成功しなかったようです。
しかし、1844年5月27日に名手ヨゼーフ・ヨアヒム(1831-1907)が、メンデルスゾーンの指揮の下ロンドンで演奏してから有名になりました。当時ヨアヒムは若干12歳。その前年に単身ライプツィヒに行き、メンデルスゾーンに師事しています。
コパチンスカヤ&ヘレヴェッヘ指揮シャンゼリゼ劇場管
パトリシア・コパチンスカヤ – Patricia Kopatchinskaja (ヴァイオリン)
シャンゼリゼ劇場管弦楽団 – Orchestre des Champs-Elysees
フィリップ・ヘレヴェッヘ – Philippe Herreweghe (指揮)
2008年10月録音
演奏時間(40:59)
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 / パトリシア・コパチンスカヤ
コパチンスカヤは、モルドヴァ出身の女流ヴァイオリニスト。
1977年生まれで今年43歳ですが、録音当時は30歳。
速めの伴奏に続いて、ヴァイオリンの出だしからテンポも強弱も自由自在。
楽譜もすっかり変えてしまっているようでその大胆さには度肝を抜かれます。
第1楽章19分台に出現するカデンツァが凄い!ティンパニとのディオの部分は、しばらく何の曲を聴いているのか忘れていまい、しかもその演奏が凄いので唖然とするばかり。
そして終楽章は、機械体操の10点満点を観るような、または最高級のマジックを観るような離れ技的な演奏です。
ぜひ聴いて欲しい超凄演。
クレーメル&アーノンクール指揮ヨーロッパ室内管
ギドン・クレーメル – Gidon Kremer (ヴァイオリン)
ヨーロッパ室内管弦楽団 – Chamber Orchestra of Europe
ニコラウス・アーノンクール – Nikolaus Harnoncourt (指揮)
1992年7月録音
演奏時間(43:05)
こちらは、アーノンクール&ヨーロッパ室内管によるベートーヴェン全集です。
クレーメルとのヴァイオリン協奏曲も収録されています。
↓
Complete Beethoven ニコラウス・アーノンクール 、 ヨーロッパ室内管弦楽団
クレーメルの第一楽章のカデンツァは、コパチンスカヤ以上。
しかも5分以上続きピアノまで登場。
こんな前衛的で斬新な演奏があるのか!と思わせます。
コパチンスカヤでも何の曲か分からなくなると書きましたが、こちらは完全に別の曲が組み込まれたという印象です。
またクレーメルのヴァイオリンの響きがピーンと張った透明度抜群で魅せられます。
チョン・キョンファ&テンシュテット指揮コンセルトヘボウ管
チョン・キョンファ – Kyung-Wha Chung (ヴァイオリン)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 – Royal Concertgebouw Orchestra
クラウス・テンシュテット – Klaus Tennstedt (指揮)
1989年録音
演奏時間(44:42)
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番
チョン・キョンファ40代の演奏で、円熟味と深い内容で感動的な演奏です。
コパチンスカヤやクレーメルは、そのテクニックや表現の斬新さに感銘を受けますが、チョン・キョンファは、真っ向勝負で深い感動を与えてくれます。
テンシュテットの伴奏は、ライブだからか、少し構えすぎでもう少し自然さが欲しいところ。
シェリング&S・イッセルシュテット指揮ロンドン響
ヘンリク・シェリング – Henryk Szeryng (ヴァイオリン)
ロンドン交響楽団 – London Symphony Orchestra
ハンス・シュミット=イッセルシュテット – Hans Schmidt-Isserstedt (指揮)
1965年7月録音
演奏時間(45:34)
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲/ロマンス第2番 ヘンリク・シェリング
伴奏のオーケストラの響きが最高なのは、S・イッセルシュテット指揮ロンドン響。
その響きの立派さと自然さで、安心して聴くことが出来る名演の名盤です。
誰にでもおすすめできるCDです。
コパチンスカヤやクレーメルは、どちらかというとマニア向けと思います。
スーク&コンビチュニー指揮チェコフィルハーモニー
ヨゼフ・スーク – Josef Suk (ヴァイオリン)
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 – Czech Philharmonic Orchestra
フランツ・コンヴィチュニー – Franz Konwitschny (指揮)
録音: 28 April 1962, House of Artists, Prague, Czech Republic
演奏時間(46:00)
チェコの名手スーク、パネンカ、フッフロによるベートーヴェンの協奏曲全集
最後に地味な演奏。チェコの名手スークと、東ドイツの名匠コンビチュニーのコンビ。
しかもオケは、チェコフィル。
渋いながら、本当にいい曲だな、と感銘を与えてくれるのはさすがプロの仕事。
戦後の東ドイツ音楽界を支えたコンビチュニーは、この3ヵ月後ツアー中に急死。
享年60歳。早過ぎる死。
酒好きだったそうで、それが遠因だったのかもしれません。
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