こんにちは、
ともやんです。
ブラームス生誕190年にちなんでブラームス・ファンの僕は一人に盛り上がっていて彼の作品を振り返って掘り出し物の名盤を紹介しています。
交響曲と協奏曲が終わって、次は管弦楽曲。
まず取り上げたいのが、傑作中の傑作『ハイドンの主題による変奏曲』。僕は以前よりこの作品が大好きで、もう30年も前にポケットスコアを買って眺めていたものです。
ただ今回改めてしっかり読むことで新しい発見がありました。
ハイドンの主題による変奏曲について
ハイドンの主題による変奏曲は1873年の夏に、避暑地シュタインベルク湖畔のトゥッチングで2通りの草案を持ち込み完成させました。
その2通りというのが、『ハイドンの主題による変奏曲』の2台のピアノのための4手用と管弦楽版でした。
管弦楽版を作品56a、4手用を作品56bとして出版されました。
なお、管弦楽版は、1873年11月2日に作曲者自身の指揮で、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によって初演されました。
この作品は、ブラームス40代の最初の管弦楽曲で、交響曲第1番の前座的な作品と捉えられている方もいるようですが、そんな生易しい作品ではなく、個人的には交響曲第1番と並ぶ作品だと思います。
というのもブラームスは、この作品の前の管弦楽作品というと20代に発表した作品11と作品16の2曲のセレナードとピアノ協奏曲第1番ですが、それに比べ充実度が格段に高くなっていると感じるからです。
ハイドンの主題はどこから
さて、ブラームスは、肝心なハイドンの主題というのを、どこから引用もしくは見つけ出しのでしょうか?
僕は、当初ハイドンの膨大な作品の中からブラームスが気に入った旋律を引用して、それをテーマに変奏曲を作ったと思っていました。当時は著作権やまた生きた時代も違うので、ハイドンの遺族などに確認する必要もなかったのではないかと思ったからです。
実はそれは違っていて、ハイドンの未発表作品の中の「聖アントニーの合唱」から取ったものだったそうです。
1870年頃、友人で当時の音楽愛好家協会図書館長だったハイドン研究家の権威だったフェルディナント・ポールを通してこのテーマを発見したそうです。ブラームスは、すっかりこのテーマが気に入り、さっそく五線紙に書き写し、変奏曲作品として発展させたということです。
スシャンスカヤ 名盤 ハイドンの主題による変奏曲
ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
ハイドンの主題による変奏曲 Op. 56a
Variations on a Theme by Haydn, Op. 56a, “St. Anthony Variations”
1.(02:17) Theme: Chorale St. Antoni: Andante
2.(01:27) Variation 1: Poco piu animato
3.(01:05) Variation 2: Piu vivace
4.(02:02) Variation 3: Con moto
5.(01:52) Variation 4: Andante
6.(01:02) Variation 5: Vivace
7.(01:32) Variation 6: Vivace
8.(02:58) Variation 7: Grazioso
9.(01:09) Variation 8: Presto non troppo
10.(03:55) Finale: Andante
total(19:19)
ワシントン・ナショナル交響楽団 – National Symphony Orchestra
リマ・スシャンスカヤ – Rimma Sushanskaya (指揮)
録音: 1-2 May 2021, Henry Wood Hall, London, UK
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲(ナショナル響/スシャンスカヤ)
“オイストラフの最後の弟子”としてその精神を受け継ぐ演奏で世界中の聴衆を魅了し、ワシントン・ポスト紙にも「今日生きている最も偉大なヴァイオリニストの一人」と絶賛された名ヴァイオリニスト、リマ・スシャンスカヤ。
近年はヴァイオリニストとしての活動と並行して指揮者としても類稀なる才能を発揮しており、既にヨーロッパの主要なコンサートホールやアジアなどで指揮台に立ち、その評価をますます高めています。
彼女はベートーヴェンの「第九」やラフマニノフの交響曲第2番、モーツァルトのレクイエムにオルフのカルミナ・ブラーナなど管弦楽における重要な大作を主なレパートリーに据えており、このアルバムでもこれまでいくつかの録音で共演しているロンドン・ナショナル交響楽団を率いてブラームスの3つの名曲に挑んでいます。
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