こんにちは。
ともやんです。
朝比奈隆は、2001年9月24日、最後のブルックナーの演奏です。
実際の生涯最後の演奏は、この演奏から1ヵ月後の10月24日、愛知県芸術劇場コンサートホールで行われたものです。
プログラムは、小山美稚恵をソリストに招いてのチャイコフスキーピアノ協奏曲第1番。
後半は、同じくチャイコフスキー交響曲第5番でした。
朝比奈は、夏以来体調を崩しており、前日のリハーサルでもふらつくなど、公演も危ぶまれましたが、本人の強い意志で予定通り行われました。
後半の交響曲第5番は、譜面台から手を離せない朝比奈の指揮を前に、大阪フィルの楽員たちは、これが最後かもしれないと涙をぬぐいながら演奏したそうです。
朝比奈は、そのコンサート終了後神戸の自宅に戻り、翌日入院。
2ヵ月後の12月29日に帰らぬ人となりました。
朝比奈隆 ブルックナー交響曲第9番 最後の演奏
朝比奈隆が、初めてブルックナーの交響曲を振ったのが、1954年2月26日のこと。
オーケストラは、大阪フィルハーモニー交響楽団の前身関西交響楽団。
曲目は、交響曲第9番でした。
そして最後の演奏が同じ第9番でした。
まさに遺品とも言うべき名演です。
なんだろうこのゴツゴツとした武骨にして温かみのある音は。
決して、美しい演奏ではない。
でも感銘は海よりも深い。
神掛かっても宇宙的でもない。
人間が地道に歩み続けてきた果てにたどり着いた人間による人間のための音楽。
それの到達点とも言うべき演奏でした。
先の最後のコンサートのシーンでも書きましたが、朝比奈自身決して体調が良かったとは思えません。
それでも悠然たるテンポで朗々を奏でる演奏は感動の名演となりました。
朝比奈隆&大阪フィル ブルックナー交響曲第9番
アントン・ブルックナー – Anton Bruckner (1824-1896)
交響曲第9番 ニ短調 WAB 109 (1894年初稿・ノヴァーク版)
Symphony No. 9 in D Minor, WAB 109 (original 1894 version, ed. L. Nowak)
1.(27:13) I. Feierlich, misterioso
2.(11:16) II. Scherzo: Bewegt, lebhaft
3.(23:32) III. Adagio: Langsam feierlich
total(62:01)
大阪フィルハーモニー交響楽団 – Osaka Philharmonic Orchestra
朝比奈隆 – Takashi Asahina (指揮)
録音: 24 September 2001, The Symphony Hall, Osaka, Japan
朝比奈隆 最後のブルックナー (交響曲第4,5,7-9番)<タワーレコード限定>
生誕111年記念企画。この世への告別となった、記念碑的ブルックナー!2000年秋からスタートし、2001年の9月までの朝比奈隆最後のブルックナー・チクルス、全5曲を7枚組に集成。
今回のセット化のためにDSDマスターから新規でマスタリング。宇野功芳氏による初出時の各解説付。シリアル・ナンバー付700セット限定盤!これらの収録は2000年秋からスタートし、2001年の9月までの朝比奈隆最後のブルックナー・チクルスの記録です。収録の5曲が、すべてこの指揮者のたどり着いた至高の名演で、特に掉尾を飾った「第9番」は、亡くなる3か月前のまさしく遺品。ブルックナーは朝比奈にとって終生を懸けたレパートリーであり、このセットにはその最終章が刻印されています。ブルックナーを愛するすべての人に捧げる、巨匠最大の遺産。
タワーレコードより一部引用
【SACDハイブリッド】 ブルックナー: 交響曲第9番 (原典版) (9/24/2001) / 朝比奈隆指揮, 大阪フィルハーモニー交響楽団
ブルックナー:交響曲第9番
↑
なお、セット物はちょっという方には、以下分売をご案内します。
SACDハイブリッド盤も通常のCDもあるようです。
まとめ
1980年代、朝比奈さんのコンサートに何度か行きました。
その頃の僕は、まだまだブルックナーの曲がまだよくわかっていませんでした。
そして朝比奈さんの演奏にも、あまり感銘を受けませんでした。
ただ、演奏が終わると観客たちはスタンディングオベーションで、朝比奈さんは何度ステージに戻ってきて、観客に応えていました。
当時まだ30歳前後の僕も40代、50代と経験して60才になりました。
この年になってようやくブルックナー、そして朝比奈さんの演奏が分かるようになりました。
ありがとうございました。
僕も朝比奈さんの年齢まで生きることが出来たら、そして朝比奈さんの録音を聴いたら違う感銘を受けるかもしれません。
コメント