こんにちは、
ともやんです。
昭和初期から戦後の音楽評論家、野村胡堂こと野村あらえびすは、生前、ヘンデル「メサイア」をことのほか愛し、夭折した長男の死を悼み、東京大学の25番教室で、『メサイア』全曲(SP18枚)学生たちに聴かせたことがあります。
学生の中には、興奮のあまり、本郷から淀橋の自宅まで歩いて帰った人もいたそうです。
淀橋というと現在の新宿と中野の間の北新宿あたりですから本郷の東大からは、8キロほどと思われるので2時間あまり歩いたことになります。
当時、滅多にヘンデルの「メサイア」、しかも全曲を聴くことはなかったでしょうから、多感な学生にとっては、深い感銘を受けて8キロも歩いてしまったのでしょう。
ショルティの名盤 キリ・テ・カナワの名唱に涙溢れて
ショルティの『メサイア』と聞いて、まず大丈夫かよ、と思わずつぶやきました。
僕に取っては、ショルティは機械的で、無機的な演奏をする指揮者というイメージがあったからです。
しかし、聴き進むにつれて、そんな思いは杞憂だとわかりました。
シカゴ交響楽団との息の合った演奏で、優しさが溢れています。
それというのもキリ・テ・カナワの存在が大きく、彼女の声は、心の奥底まで届いて、僕は不覚にも涙が出そうになりました。
僕の中では、メサイアのソプラノ・パートは、ホグウッド盤のエマ・カークビーとこのキリ・テ・カナワが双璧だと思います。
キリ・テ・カナワの名唱を聴くだけでも価値にある名盤です。
ショルティ指揮シカゴ交響楽団 ヘンデル『メサイア』
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル – George Frideric Handel (1685-1759)
140:38オラトリオ「メサイア」 HWV 56 (編曲:J. トービン)
Messiah, HWV 56 (arr. J. Tobin)
作詞 : 新約聖書 – Bible – New Testament
編曲 : ジョン・トービン – John Tobin
キリ・テ・カナワ – Kiri Te Kanawa (ソプラノ)
アンネ・イェヴァング – Anne Gjevang (アルト)
キース・ルイス – Keith Lewis (テノール)
グウィン・ハウエル – Gwynne Howell (バス)
アドルフ・ハーセス – Adolph Herseth (トランペット)
シカゴ交響合唱団 – Chicago Symphony Chorus
シカゴ交響楽団 – Chicago Symphony Orchestra
ゲオルク・ショルティ – Georg Solti (指揮)
録音: October 1984, Orchestra Hall, Chicago, United States
演奏時間-(140:38)
ヘンデル:オラトリオ「メサイア」(テ・カナワ/イェヴァング/ルイス/シカゴ響/ショルティ)
ショルティの凄い演奏から感じるギクシャク感
ある人が、言い得て妙なことを言うなと感心したのは、ショルティの演奏を聴いていると、鉄人28号や鉄腕アトムなどのロボットを思い出してしまうという。
ショルティの演奏には、とてつもない馬力と精緻な完成度を感じるが、なんか動きがギクシャクしている感があるのです。
僕は、その人を発言を聴いて、手を打って、
「そ、それだっ!」
と思わず叫びそうになってしましました。
例に上がったロボットの古さがその人の世代を感じさせますが、例えば、映画のターミネーター、ロボコップに感じる、生物ではない、何か機械的な動きというのを僕はショルティの演奏に感じてしまうのです。
コメント
ショルティ盤:ヘンデル・メサイア、実に素晴らしいですよね!
同じくショルティ盤:バッハ・マタイ受難曲におけるキリ・テ・カナワさんのソプラノ歌唱も、本当に素晴らしいですよね。
エリア467様、コメントありがとうございます。
また、ショルティ盤のバッハ・マタイ受難曲でもキリ・テ・カナワさんの素晴らしい歌唱が聴かれると言うことを教えていただきありがとうございます。
早速、ショルティ盤を聴いております。
改めてレビューしたいと思います。今後ともお付き合いの程よろしくお願いします。