作曲家マリー・ジャエルの没後100年に聴くピアノ作品集

作曲家
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こんにちは、ともやんです。

マリー・ジャエルという作曲家をご存じですか
そういう僕も最近知ったばかりの作曲家です。

新聞の文化欄で見つけたのです。

そこには、次のように書かれていました。

“フランスの作曲家マリー・ジャエル(1846-1925)の没後100年を記念し、ピアニスト前孝(まえたかし67才)が、11月9日に東京・王子ホールで全曲ジャエル作品のリサイタルを開く”東京新聞2025年10月21日(火)朝刊より

そこで早速契約しているナクソス・ミュージック・ライブラリーでジャエルの作品を聴いてみました。

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作曲家マリー・ジャエルの生涯と業績

マリー・ジャエルは1846年にフランスのシュタインゼルツで生まれ、1925年にパリで亡くなりました。

彼女はピアニスト、音楽教師、作曲家として多岐にわたる才能を発揮しました。
しかし生前は「ピアノの魔術師」フランツ・リストらに評価されながらも、時の流れの中で忘れられて音楽家でもあります。

今度リサイタルを開く前さんは「情熱的な一方、繊細な面もあって心に響く。こんな作曲家がいたんだと知ってほしい」(東京新聞より)と語っています。

マリー・ジャエルとは誰か?

マリー・ジャエルは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの作曲家であり、ピアニストです。

ジャエルは当初、ピアニストとして活躍し、16歳でパリ音楽院に入学し首席で卒業しています。
ヨーロッパ各地で演奏会を開くなどしていました。
1866年に世界的ピアニスト、アルフレッド・ジャエルと結婚。
アルフレッドは、リストやブラームスとも親交があり、その縁で彼らとも知り合いました。

25歳頃から作曲も始め、フランクやサン=サーンスらに師事しています。
ピアノ作品のほか、室内楽や協奏曲、管弦楽、オペラまで幅広く作曲しました。

1887年には女性として初めてパリ作曲家協会の会員にもなっています。

彼女は、音楽教育にも力を入れ、独自の教育メソッドを確立しました。
ジャエルは、特にピアノ作品においてその才能を発揮し、ロマンティックな音楽スタイルを追求しました。
彼女の作品は、感情豊かでありながらも、技術的な難易度が高いものが多く、演奏者にとって挑戦となることが多いです。
彼女の音楽は、聴く人々に深い感動を与えるものとして評価されています。

フランス音楽界における位置付け

マリー・ジャエルは、フランス音楽界において重要な役割を果たし、当時の男性中心の音楽界において、女性作曲家としての地位を確立したとも言われています。

しかし、リストが残したとされる次の言葉からは女性だから残念という意味合いとその技術の高さを認める意味を感じ取ることができます。

“もし作曲者の名前が男性なら、全てのピピアニストがあなたの曲を奏でたことでしょう!”

ジャエルの後半生は、生理学や神経学などを研究し、美しい音を生み出す手の動きの科学的な解明に取り組みました。

奏法研究の成果は出版された本の形で残されています。
また弟子の中にはオルガニストでノーベル平和賞を受賞したアルベルト・シュヴァイツァーがいます。

彼女の作品の特徴

ピアニストの前さんが、ジャエルを知ったのは1998年に演奏会でフランス訪れた時だだったそうです。
当時世界初録音されたばかりのジャエル作品のCDを聴いて衝撃を受けました。
そして自分でも弾いてみたと思ったものの、当時は音源はそのCDだけ。
他の方法としては自分で楽譜を探し掘り起こすしかないということでなかなか実現しませんでした。

しかし、2015年にヨーロッパでジャエルの全ピアノ作品を収録したCDが出たことで、具体的な選曲がイメージでき、没後100年の年にリサイタルが実現出来るようになりました。

その前さんが、ジャエルの作品に出会った時の感動を次のように語っています。

「ストレートに自分の思いを伝えていて感動した。チャーミングでセンチメンタルな部分もあり、すごく心に訴えかけてくる。こんな素晴らしい作曲家が埋もれていたとは、と驚いた」
またジャエル自身が、優れたピアニストだったことから技術的に難しい部分もあり、前さんも「手の動きにアイデアを感じる箇所が多く、感心した」とも語っています(以上東京新聞より)

つまり、マリー・ジャエルの作品は、感情表現が豊かであり、繊細なメロディーと複雑な和声が特徴で、彼女のピアノ作品は、演奏者に対して高い技術を要求しながらも、聴く人々に深い感動を与えるものが多かったのでは思うのです。

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マリー・ジャエルの音楽を聴くためのリソース

マリー・ジャエルの音楽を楽しむためのリソースはストリーミング配信とCDです。

僕は、まず契約しているナクソス・ミュージック・ライブラリーで聴きました。
ストリーミング配信で聴いて気に入ったものは、その後よくCDを改めて購入することもあります。

今回聴いたCDでも発売されていますので、以下にご紹介します。

おすすめのCDなどの紹介

マリー・ジャエルの音楽を収録したCDは、彼女の作品を楽しむための貴重なリソースです。
これらの音源は、彼女の音楽の魅力を伝えるものであり、演奏者による解釈の違いを楽しむことができます。

特に、ジャエルのピアノ作品を収録したアルバムは、音楽愛好者にとって必聴です。

ピアノ小品集:ヴィヴィアン・ゲルゲン

マリー・トラウトマン・ジャエル – Marie Trautmann Jaell (1846-1925)

ピアノのための小品 – 第1曲 Ce qu’on entend dans l’Enfer
Pieces for Piano: I. Ce qu’on entend dans l’Enfer

1.(03:58) No. 1. Poursuite
2.(01:50) No. 2. Raillerie
3.(04:44) No. 3. Appel
4.(05:08) No. 4. Dans les flammes
5.(04:11) No. 5. Blasphemes
6.(04:21) No. 6. Sabbat
total(24:12)

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ピアノのための小品 – 第2曲 Ce qu’on entend dans le Purgatoire
Pieces for Piano: II. Ce qu’on entend dans le Purgatoire

7.(04:12) No. 1. Pressentiments
8.(04:04) No. 2. Desirs impuissants
9.(03:39) No. 3. Alanguissement
10.(04:43) No. 4. Remords
11.(05:29) No. 5. Maintenant et Jadis
12.(03:52) No. 6. Obsession
total(25:59)

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ピアノのための小品 – 第3曲 Ce qu’on entend dans le Paradis
Pieces for Piano: III. Ce qu’on entend dans le Paradis

13.(03:22) No. 1. Apaisement
14.(04:42) No. 2. Voix celestes
15.(05:24) No. 3. Hymne
16.(04:34) No. 4. Quietude
17.(03:58) No. 5. Souvenance
18.(03:40) No. 6. Contemplation
total(25:40)

ヴィヴィアン・ゲルゲン – Viviane Goergen (ピアノ)
録音: 2002 – 2023, Franffurt, Main, Germany

ヴィヴィアン・ゲルゲン マリー・ジャエル: ピアノ小品集

リストも絶賛!
19世紀後半から20世紀前半に活躍した仏女性作曲家マリー・ジャエル。
ダンテの『神曲』に基づくピアノ小品集。
1846年パリに生まれた女性作曲家マリー・ジャエルのピアノ小品集。1866年に世界的ピアニスト、アルフレッド・ジャエルと結婚。その縁でリストやブラームス、サン=サーンスと知り合いました。1870年代から30年間、マリー・ジャエルは作曲に専念し、その間、フランクやサン=サーンスらから薫陶を受けています。また1883年から1886年まで、一年の半分はワイマールに滞在しています。
作曲家としての才能を認めたリストは彼女の作品の普及に力を注ぎ出版を支援、また自身のコンサートでも彼女の作品を取り上げました。リストは「彼女は哲学者の心と芸術家の才能を持っている」と絶賛しています。
ここに収録されたピアノ小品集はダンテの『神曲』から触発され作曲されたもの。地獄篇、煉獄篇、天国篇の3部からなる『神曲』をジャエルが音化した実に興味深い作品。ヴィヴィアン・ゲルゲンが美しく奏でます。
キングインターナショナル

ピアノ協奏曲第1番:ベンザイード&ウォルドマン

マリー・トラウトマン・ジャエル – Marie Trautmann Jaell (1846-1925)
ピアノ協奏曲第1番 ニ短調
Piano Concerto No. 1 in D Minor

1.(11:43) I. Lento – Allegro moderato
2.(08:19) II. Adagio
3.(13:02) III. Allegro con brio
total(33:04)

セリア・オネト・ベンザイード – Celia Oneto Bensaid (ピアノ)
アヴィニョン=プロヴァンス地方管弦楽団 – Orchestre Regional Avignon Provence
デボラ・ウォルドマン – Debora Waldman (指揮)
録音: 2023, Avignon, France

マリー・ジャエル:ピアノ協奏曲第1番ニ短調

マリー・ジャエル(1846-1925)は近年再評価著しいフランスの女性作曲家。1866年に名ピアニスト、アルフレッド・ジャエルと結婚し、リスト、ブラームス。サン=サーンスらの知己を得ました。
その所産を集めたユニークなアルバム。ジャエルはピアニストとしてリストのピアノ協奏曲第1番をおはことしていました。
リストの「メフィスト・ワルツ第3番」はジャエルに捧げられています。彼女のピアノ協奏曲第1番は1877年頃の作で、フランスの女性が作曲家による最も古いものとされます。サン=サーンスに献呈されました。
ベンサイドはパリ音楽院でヌーブルジェほかに師事。高度な技巧に加え華があるうえ、独特な美学によるコンセプトが興味深く、今後目が離せません。
キングインターナショナル
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最後に

クラシック音楽を聴くことを趣味にして50年以上経ちました。
しかし、まだまだ知らないことがたくさんあることがわかりました。
本当にクラシック音楽って奥が深いですね。

今回たまたま新聞の記事で知ったフランスの作曲家マリー・ジャエル(1846-1925)。
リストに認められ、フランク、サン=サーンスに師事し、ブラームス、ブルックナー、マーラーと同時代に生きた人。

現代よりずっと女性が才能を発揮するのが困難な時代に、これだけの作品を残していることから、多くの男性の作曲家を凌ぐ才能の持ち主だったことがわかります。

聴く前は、フランス&女性という偏見から優雅な曲を連想していました。
リストを思わせる厳しく激情的&劇場的な印象を持ち、感銘を受けました。

マリー・ジャエルの作品は、音楽は、感情表現と高度な技術を兼ね備えており、演奏者に深い音楽的理解と表現力を求めます。

彼女の特にピアノ作品は、技術的挑戦と感情の豊かさが融合しており、今日の音楽家にとってもインスピレーションの源となるのではないかとも思います。

近年、彼女の音楽を再評価されていることで、女性作曲家の貢献を再認識し、音楽の多様性と豊かさをより深く感じ取るきっかけになると僕は感じました。



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