こんにちは、
ともやんです。
昨日に引き続き、村上春樹の新刊本『古くて素敵なクラシック・レコードたち』から、その中で取り上げている曲と選んでいる録音をご案内します。
今回は、モーツァルトのピアノ協奏曲第25番K.503。
演奏は、1975年録音のフリードリッヒ・グルダのピアノソロと、クラウディオ・アバド指揮ウィーン・フィルによるもの。
モーツァルト ピアノ協奏曲第25番について
モーツァルトは、ウィーンに住居を構えてから3シーズン目にあたる1784年2月初旬から自身の作品目録を作り始めました。
そこには、作曲年月日、タイトル、楽器編成、冒頭主題を書き入れていました。
そして最初に記載されたのが、当時もっとも力を入れようとしていたピアノ協奏曲で、現在の第14番K.449でした。
しかもこれ以降わずか3年足らずでピアノ協奏曲の傑作を12曲も世に出しているのです。
そこで作品と作曲年月日を見てみます。
第14番K.449 1784年2月9日
第15番K.450 1784年3月15日
第16番K.451 1784年3月22日
第17番K.453 1784年4月12日
第18番K.456 1784年9月30日
第19番K.459 1784年12月11日
第20番K.466 1785年2月10日
第21番K.467 1785年3月9日
第22番K.482 1785年12月16日
第23番K.488 1786年3月2日
第24番K.491 1786年3月24日
第25番K.503 1786年12月4日
※資料参照:モーツァルト事典
モーツァルトは、これ以降は、第26番K.537「戴冠式」は、約1年3ヶ月後の1788年2月24日。最後のピアノ協奏曲となる第27番K.595は、1791年1月5日なので、第25番から4年以上後になります。
つまり、第25番は、モーツァルトがもっともピアノ協奏曲に力を入れていた時期の集大成的な曲だと思います。
実際このハ長調のピアノ協奏曲は、作品の規模、作曲技法や表現内容、楽器編成でも一連のピアノ協奏曲集を締めくくるには相応しい作品です。
だからといって個人的に好きかどうかは別で、筆者が特に好む第20番、23番、27番に比べればはるかに聴いた回数は少ないです。
なぜかと聴かれると困りますが、むしろよく聴く方の曲が魅力的だからとしか言えません。
しかし、今回村上春樹が本で取り上げている録音であるグルダとアバド&ウィーン・フィルの共演で聴くと、素晴らしい内容なので、聴かず嫌いをしてきた自分を恥じてしまいました。
ゆったり目のテンポで始まるアバド&ウィーン・フィルの前奏部分の響きの豊かさに魅了されます。グルダのピアノもそのウィーン・フィルの豊かで美しい響きに同化するようで至福の時間を与えてもらいました。
グルダ&アバド モーツァルト ピアノ協奏曲集
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト – Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K. 466
Piano Concerto No. 20 in D Minor, K. 466
1.(15:30) I. Allegro (cadenza by L. van Beethoven)
2.(09:59) II. Romance
3.(07:39) III. Rondo: Allegro assai (cadenzas by L. van Beethoven and F. Gulda)
total(33:08)
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ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K. 467
Piano Concerto No. 21 in C Major, K. 467
4.(14:59) I. Allegro maestoso
5.(07:49) II. Andante
6.(06:41) III. Allegro vivace assai
total(29:29)
フリードリヒ・グルダ – Friedrich Gulda (ピアノ)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
クラウディオ・アバド – Claudio Abbado (指揮)
録音: 24 September 1974, Grosser Saal, Musikverein, Vienna, Austria
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ピアノ協奏曲第25番 ハ長調 K. 503
Piano Concerto No. 25 in C Major, K. 503
7.(16:32) I. Allegro maestoso (cadenza by F. Gulda)
8.(08:24) II. Andante
9.(09:51) III. Allegretto
total(34:47)
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ピアノ協奏曲第27番 変ロ長調 K. 595
Piano Concerto No. 27 in B-Flat Major, Op. 17, K. 595
10.(14:51) I. Allegro (cadenza by W.A. Mozart)
11.(08:15) II. Larghetto
12.(09:23) III. Allegro (cadenzas by F. Gulda and W.A. Mozart)
total(32:29)
フリードリヒ・グルダ – Friedrich Gulda (ピアノ)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
クラウディオ・アバド – Claudio Abbado (指揮)
録音: 13 May 1975, Musikvereinssaal, Vienna, Austria
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番、第21番、第25番、第27番(グルダ/ウィーン・フィル/アバド)
グルダ90歳記念、最愛の作曲家モーツァルトの演奏が最新技術による音で蘇る
フリードリヒ・グルダが90歳の誕生日(2020年5月16日)を迎えるに当たり、ドイツ・グラモフォンよりかつてなかった特別なモーツァルト録音が発売されます。オリジナル・マルチトラック・テープからの最新技術によるリマスタリングでのCD2枚組+ブルーレイ・オーディオ。モーツァルトはグルダにとって最も敬愛する作曲家です。共演はクラウディオ・アバドとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。
ブルーレイ・オーディオ:DTS-HD Master Audio 2.0 and 5.1 Surround Sound
ユニバーサル・ミュージック
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