こんにちは、
ともやんです。
今日のテーマは、「トスカニーニのモーツァルトを聴け!」です。
ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
交響曲第39番・40番・41番「ジュピター」
アルトゥーロ・トスカニーニ(1867-1957)指揮
NBC交響楽団
このモーツァルトの後期3大交響曲集がなかなかいいのです。
トスカニーニのモーツァルト交響曲第39番
モーツァルト(1756-1791)作曲
交響曲第39番変ホ長調K543
トスカニーニ指揮 NBC交響楽団
1948年3月6日NBC第8スタジオ
Mozart: Symphony No.29, No.35, No.38-No.41, Rehearsal of Symphony No.35
トスカニーニは決してモーツァルトを得意としていたわけではなく、彼の音楽性から言ってももしかして苦手にしていたのかもしれませんね。
ベートーヴェンの交響曲に対するアプローチとは明らかにパッションが違うかなと思われる部分がないでもありません。
モーツァルトの後期3大交響曲は、過去の大指揮者はほとんど録音していてトスカニーニもそうですが、しかし特にこの39番に関してはいまひとつ気持ちが乗っていない雰囲気が感じられます。
最初の序奏部分こそ壮麗な感じで始まり、主部の主題の提示部分なんか、おっ、歌があるねぇって感じなんですが、ところどころで素っ気ない部分があり、
どうもワルターに親しんだモーツァルトと違うなぁって感じてしまいます。
それが顕著なのは、第3楽章で、まるで田舎の楽隊のようなドンチャカ演奏で、これはこれで面白いですが、トスカニーニも人間なんだな、と微笑ましくなってしまいます。
第4楽章も3分半ほどの演奏時間ですが、あれっもう終わったの?と言う感じです。
この演奏は、モーツァルトを聴きたいという人には勧められませんが、トスカニーニ・ファンには彼の一面を知るということで面白い演奏だと思います。
トスカニーニのモーツァルト第40番ト短調
39番では、素っ気ない演奏でしたが、この40番は、一転して気持ちのこもった素晴らしい演奏を展開しています。
トスカニーニにとってこの40番は特別な存在だったようで、
あるインタビューに、
「正直に言うとね。僕は時々モーツァルトの音楽にうんざりするんだ。
でもト短調、これは偉大なる悲劇だよ、それと、コンチェルトは別だよ。
でもあとはね。それはどれもとても美しいんだけど、どれも同じなんだよ。」
と答えています。
モーツァルトファンが聞けば、怒りでぶるぶる震えてきそうですが、
トスカニーニの演奏スタイルからは、わかるな、とも言えます。
インタビューに答えているようにトスカニーニは、この40番への思入れは強く、ライナーノーツには、
ニューヨーク・フィルで3回(1931、1934、1936年)、
ザルツブルクではウィーンフィルと(1935年)
ロンドンでは、BBC響と(1937年)、フィラデルフィア管とも演奏。
手兵NBC響とは、デビューともいえる1937年のクリスマス夜の演奏会。
またNBC放送でも4回取り上げています。
なんと39番と違うことか。
演奏は、速いテンポながらたっぷりと歌に溢れていて、かと言って情緒的ではなく、余計にその旋律の美しさが浮き出ていると思います。
僕はこの曲が好きですが、情感たっぷりな演奏より、すっきりした演奏が好きなので、トスカニーニの演奏は、好きですね。
想像するに、この曲の演奏は、曲がシンプルなだけにかえって難しく、
情感的に演奏すると甘ったるくなるので、客観的に演奏した方がイイとも思えるし、かと言って素っ気なくなってもつまらないし、となるんではないでしょうか?
あのフルトヴェングラーでさえ、少ない録音から苦労してるなと感じられます。
僕は、この40番は、トスカニーニのモーツァルトで一番の名演だと思いますんね。
トスカニーニのジュピター
僕はトスカニーニのモーツァルトの後期3大交響曲をCDで聴くまで、ジュピターの曲想が、もっともトスカニーニのスタイルに合うと思ていました。
次が39番で、40番が一番苦手かなと勝手に思ってました。
でも、実際に聴いてみるとジュピターに対する予想は合っていましたが、40番は意外でしたね。
NBC響との録音は、’40年とこの’45年が残っていて、’40年の壮麗で華やかでちょっと飾り付けの派手は演奏でしたが、’45年は、テンポも速くなり、軽やかになり、透明感に溢れた演奏になっています。
この3大交響曲のなかでもっともお勧めの名演だと思います。
トスカニーニのモーツァルトのまとめ
モーツァルトの後期3大交響曲は、1788年のわずか6週間の間に作曲されました。しかしモーツァルトは、この3曲を全く違った性格、内容の交響曲に仕上げています。
まさに天才職人モーツァルトの神業です。
トスカニーニは、それぞれの曲の特徴を見事に引き出して演奏しています。
でもそこには、曲に対する愛着や思入れの違いも感じさせてくれます。
モーツァルトを聴きたい、味わいたいという人にはあまりお勧めできませんが、トスカニーニのモーツァルトへのアプローチに興味のある方には、ものすごく楽しいCDだと思います。
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