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モーツァルト ジュピター 謎多き交響曲 クルンプで聴く

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こんにちは、
ともやんです。

モーツァルトの最後の交響曲とされている第41番「ジュピター」。あまりにも有名な曲でCDも多く出ていてコンサートで取り上げられることも多い傑作です。

しかし『不朽の十大交響曲』中川右介著を読むとなかなか謎の多い作品のようです。
今日は、1980年生まれ、シュツゥットガルト出身の気鋭の指揮者ヨハネス・クルンプ指揮エッセン・フォルクヴァンク室内管弦楽団の生気溢れる演奏を聴きながら「ジュピター」の謎に少し触れてみたいと思います。

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モーツァルト ジュピター 作曲目的

モーツァルト交響曲の最後を飾る第41番ジュピター。
このタイトルは、もちろんモーツァルトが付けたものではありません。
また第41番というのも後年、研究者ケッヘルがモーツァルトの作品を整理して付けたものでケッヘル番号ではK.551です。

ちなみに未完成で遺となった「レクイエム」は、K.626です。
それからも分かるようにモーツァルトがジュピターを作曲したのは、亡くなる3年前の32歳の時でした。

完成したのが、1788年8月10日にウィーンにて。

モーツァルトは意外と筆まめで父親が健在の時は父親あての手紙が多く残っているますし、旅行先から妻への手紙も残されていて、彼の動向や考えがある程度わかるようです。

しかし、父親が他界後、そしてウィーンに定住してからは必要がなくなったので、資料として役立つ手紙はなくなったようです。

そんなことで、「ジュピター」が作曲された経緯が謎のままなのです。

モーツァルトは、ザルツブルクからウィーンに出てからは、フリーランスとして活動していましたが、安定収入のため就職先も探してはいました。結局宮廷の第3楽長として採用されたのが31才の時でした。
しかし、当時の第1楽長はサリエリで、第3楽長なると収入はモーツァルトが臨むほどではなく、同時にフリーランスとしての仕事も続けていました。

そのため、金にならない仕事はしないと思われるので、ジュピターと関連して、第39番が同年6月26日、第40番が7月25日と約2ヵ月間ほどの期間でこれほどの大曲を3曲も作っているのが不思議なことです。

つまり普通に考えれば、これだけの作品を短時間で完成させたことは、依頼先があり、納期もあって、それに合わせて作曲したと思われるのです。

しかし、それを裏付ける資料はなく、しかもこの3曲は全てモーツァルトの死後に出版されているのです。

そしてモーツァルトの生前にこの3曲が演奏されたという証拠もありません。
ただ、第40番のみパート譜が残されていることから演奏された可能性があるという程度です。

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モーツァルト ジュピター 命名者

ジュピターは、ローマ神話の主神、最高の神のことで、ギリシャ神話ではゼウスのことで、つまり最高の交響曲という意味です。

名付けたのが、興行師ヨハン・ペーター・ザーロモン(1745-1815)と言われていて、この人は、ハイドンと組んでロンドンへの2回のツアーでハイドンの交響曲12曲を紹介して大成功を収めた人としても有名です。

ちなみにハイドンの第93番から104番の12曲の交響曲は、ハイドンの傑作として知られ演奏回数や録音も多いですが、実は全てモーツァルトのジュピター以降の作品なのです。

かと言って24歳も年上のハイドンが、モーツァルトのジュピターに刺激を受けて作曲したというのも違うと思います。というのも、時系列的にモーツァルト第39番から41番ジュピターまでの演奏をハイドンは聴いていないと思われるからです。

むしろハイドンが、1787年頃パリからの依頼で作曲した第82番から87番の3曲の交響曲にモーツァルトが刺激を受けた可能性の方が多いようです。

なぜなら、ハイドンの作品が第82番ハ長調、83番ト短調、84番変ホ長調。
それに対してモーツァルトの作品が、39番変ホ長調、40番ト短調、41番ジュピターハ長調と順番は違っても調性が一致するのです。

つまり1787年のハイドンの作品を聴いて、それを超える作品を作りたいというインスピレーションというか競争心から作曲したという考え方も出てきます。

なお、ハイドンとモーツァルトの関係は良好でやはり競争心というよりも刺激を受けたと考えた方がいいかもしれません。

しかもザーロモンは、モーツァルトにもロンドン行きを打診していたようで、もしモーツァルトが長生きしていたらジュピター以降も交響曲を作ってロンドンで成功していたかもしれませんね。

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クルンプ モーツァルト 交響曲第41番 ジュピター

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト – Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第1番 変ホ長調 K. 16
Symphony No. 1 in E-Flat Major, K. 16

1.(06:00) I. Allegro molto
2.(04:50) II. Andante
3.(01:29) III. Presto
total(12:19)

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交響曲第28番 ハ長調 K. 200
Symphony No. 28 in C Major, K. 200

4.(06:58) I. Allegro spirituoso
5.(07:11) II. Andante
6.(04:25) III. Minuetto: Allegro
7.(05:01) IV. Presto
total(23:35)

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交響曲第41番 ハ長調 「ジュピター」 K. 551
Symphony No. 41 in C Major, K. 551, “Jupiter”

8.(10:44) I. Allegro vivace
9.(10:22) II. Andante cantabile
10.(05:19) III. Menuetto: Allegretto
11.(10:22) IV. Molto allegro
total(36:47)

エッセン・フォルクヴァンク室内管弦楽団 – Folkwang Kammerorchester Essen
ヨハネス・クルンプ – Johannes Klumpp (指揮)
録音: 20-23 September 2019, Villa Hugel, Essen, Germany

モーツァルト: 交響曲集第2集 ヨハネス・クルンプ フォルクヴァング室内管弦楽団

ヨハネス・クルンプは1980年、シュトゥットガルト生まれの指揮者。2013年に1958年創立のエッセン・フォルクヴァング室内管弦楽団の首席指揮者、音楽監督に就任、この地方オーケストラを注目の楽団へと引き上げた。

また2020年からはハイデルベルク交響楽団の芸術監督に就任している。クルンプはピリオド演奏から影響を受けつつ、室内オーケストラならではの透明でキビキビしたモーツァルトを生み出しており、大変魅力的である。

このCDでは最初と最後の交響曲を収録しており、9歳の作品も32歳の作品もどちらも様式に適った、そして充実した音楽に仕立てている。



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