こんにちは、
ともやんです。
ヨーゼフ・クリップス(1902-1974)。
このウィーン生まれの禿げ頭でマル眼鏡、そして小太り。
お世辞にもハンサムとは言えないクリップスですが、僕はその男気溢れる演奏が大好きです。
最初は歌手を目指しますが、指揮者に転向し、ワインガルトナーに才能を認められます。
ドルトムント、カールスルーエでの下積みを経て、1933年ウィーン国立歌劇場の指揮者としてデビューしました。
1938年ナチスに活動を禁じられますが、練習教師として密かにウィーン国立歌劇場のメンバーと共に活動。戦後の巨匠不在時代に、ウィーン音楽界の復興に尽力しました。
その後、戦後の後遺症も癒えた頃、巨匠たちが戻ってきてからは、あっさりと活躍の場をアメリカ、イギリスに移しました。
僕は、このあたりの気風の良さもクリップスが好きな理由です。
その演奏スタイルは、旧時代の指揮者と違い、オーケストラを煽ったり、過度な表情付けをしたりすことはなく、作品そのものを魅力を引き出すもので、何度聞いても味わいのある演奏を展開します。
クリップスの名盤 シューベルト交響曲第9番”ザ・グレート”
フランツ・シューベルト – Franz Schubert (1797-1828)
交響曲第9番 ハ長調 「ザ・グレート」 D. 944
Symphony No. 9 in C Major, D. 944, “Great”
ロンドン交響楽団 – London Symphony Orchestra
ヨーゼフ・クリップス – Josef Krips (指揮)
1.(14:02) I. Andante – Allegro ma non troppo
2.(13:48) II. Andante con moto
3.(09:53) III. Scherzo: Allegro vivace
4.(12:01) IV. Allegro vivace
total(49:44)
『ヨーゼフ・クリップス・エディション- The Early recordings -』
ザ・グレートでは、こざかしい設計図を描くこともなければ、オーケストラに強引な拍車を掛けれでもありません。あるのは内側から湧き上がってくるような感動です。
素晴らしい名演です。
クリップス指揮フランス国立管のシューベルトはより主観的な名演
『ヨーゼフ・クリップス・エディション- The Early recordings -』には、「ザ・グレート」は3種類の演奏が収録されています。
クリップスはこの得意としていた証拠でしょうか。
1952年 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
1954年 フランス国立管弦楽団
1956年 ロンドン交響楽団
どれも名演です。
フランス国立菅では、第1楽章の最後の方で、主題を強奏するところでガクンとテンポを落とし、念を押すような演奏するのが面白くて、こんな主観的な演奏もするのかと少し驚かされます。
コンセルトヘボウ管とロンドン響との演奏は、自然な息遣いを感じさせる演奏で、オーケストラはとても演奏しやすいんじゃないかな、という印象を受けます。
クリップスは、オペラの指揮でもきっちりとしてテンポ設定は、歌手の自然な息遣いと合わないが、クリップスは歌手と一緒に息をするように演奏をするそうです。
そんなところもオーケストラは愛された指揮者だと感じます。
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