こんにちは、
ともやんです。
アンドレ・クリュイタンスは、1905年3月26日にベルギーのアントワープに生まれ、1967年6月3日に亡くなっています。
若い頃は感じませんでしたが、自分がその年齢を越えて見ると若くして逝かれたんだなと残念に思います。
今日は、クリュイタンスの誕生日ということで、彼がベルリン・フィルと残したベートーヴェンの序曲集を聴きながら感じたことを記します。
クリュイタンスの生地 ベルギー アントワープ
日本では、アントワープという言い方が一般的ですが、現地ではアンヴェルス、アントワーペンという言い方もされます。
オランダ国境近くの街で、フランダースの犬の舞台にもなった場所です。ネロ少年とパトラッシュが最期を迎えた大聖堂には何度も行きました。
アントワープには、ダイヤモンド取引所があり、サラリーマン時代、ジュエリー会社にいた関係で、ダイヤモンドの買付で何度も訪問しました。
アントワープは、ベルギーの首都ブリュッセルに次いで第二の都市ですが、ブリュッセルがフランス語圏なのに対して、アントワープはフラマン語(オランダ語から派生)というゲルマン系の言語を使っています。
だからレストランに行くとメニューが、フラマン語、フランス語、ドイツ語、英語、イタリア語など大体5カ国語で書かれていることが多いです。
また、市民も現地語以外にフランス語、英語は話せ、それにプラスしてドイツ語、イタリア語、中にはスペイン語、ロシア語まで話せる人もいます。
仕事関係の人は、ユダヤ系だったのでヘブライ語も話します。
英語が苦手な人も多い日本人ですが、感覚的に標準語にプラスして、関西弁、九州弁、その他の地方の方言を話せる、理解できる感覚なのではないでしょうか。
さてそんなアントワープで生まれ育ち、音楽も学んだクリュイタンスは、フランス音楽のスペシャリストと言われ、中にはフランスの指揮者とまで言う人がいますが、ゲルマン系とラテン系の合流するようなアントワープという土地で育ったので、むしろハイブリッドな指揮者だったと僕は思います。
だから、既にカラヤンが首席指揮者になっていたベルリンフィルでカラヤンよりも早くベートーヴェンの交響曲全集や序曲集を録音できたのは、そんなコスモポリタン的なセンスがあった人だったのだと思うのです。
クリュイタンス ベートーヴェン 序曲集
クリュイタンスが、ベートーヴェンの交響曲全集と序曲集を録音したのが、1958年から60年。フルトヴェングラーが他界したのが54年11月。
カラヤンがベルリン・フィルと正式に契約書を交わしたのが56年ということなので、まだカラヤン色に染まる前で、フルトヴェングラー時代の楽員も多く残っていた頃だと思います。
クリュイタンスの録音を聴くと、エレガントな中にほの暗く重厚な響きが聴き取れます。まさにハイブリッド指揮者クリュイタンスならでは名演だと思うし、ちょうど過渡期のベルリン・フィルのサウンドを聴く貴重な録音だと思います。
タワーレコードが、イギリス本国から取り寄せたオリジナル・マスター音源からリマスターで、そのマスタリングを手掛けたのエンジニアが、これまでに様々な優秀録音を手掛けた杉本一家氏です。
ただ残念がら杉本氏は2019年10月に逝去されています。まだ60歳手前だったようでご冥福をお祈りしたします。
そんなこともあり、いままでは交響曲全集の余白に収録されていた序曲6曲がまとめて、しかも優秀な音質で聴くことが出来るのは嬉しいことです。
クリュイタンス ベートーヴェン 序曲集
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
1.(15:16) 序曲「レオノーレ」第3番 Op. 72b
Leonore Overture No. 3, Op. 72b
2.(08:36)「コリオラン」序曲 ハ短調 Op. 62
Overture to Collin’s Coriolan, Op. 62, “Coriolan Overture”
3.(05:34) バレエ音楽「プロメテウスの創造物」 Op. 43 – 序曲
Die Geschopfe des Prometheus (The Creatures of Prometheus), Op. 43: Overture
4.(09:11) 劇音楽「エグモント」 Op. 84 – 序曲35.
Egmont, Op. 84: Overture
5.(05:01) 劇音楽「アテネの廃墟」 Op. 113 – 序曲
Die Ruinen von Athen (The Ruins of Athens), Op. 113: Overture
6.(07:11) 歌劇「フィデリオ」 Op. 72
Fidelio, Op. 72: Overture
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – Berlin Philharmonic Orchestra
アンドレ・クリュイタンス – Andre Cluytens (指揮)
1958年3月(1) 1959年4月(2,3) 1960年3月(4,5) 1960年11月(6) グリューネヴァルト教会、ベルリン
ベートーヴェン: 序曲集<タワーレコード限定> アンドレ・クリュイタンス ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
今回の発売に関しましては、イギリス本国にあるマスター・テープから96kHz/24bitに変換されたWAVデータを、伝送ではなく直接光学ディスクに保存し、空輸してもらいました。
その元データを基本にSACD層用としてDSDに変換した後、マスタリングを行い、それとは別にCD層用としてもPCMでマスタリングを行いましたので、SACD層、CD層、それぞれ独立したマスタリングを行っているのが特徴です。例えば、PCMで編集した後にDSDにも変換を行う、もしくはDSDで編集した後にPCMにも変換を行うといった、1回のマスタリング作業ではなく、SACD、CD、それぞれの特徴や音質を重視し、あえて個別にマスタリングを行いました。
マスタリング・エンジニアは、他の高音質レーベルや、これまでにも様々な優秀録音を手掛けてきた杉本一家氏です。
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