こんにちは、
ともやんです。
今年最後の企画として、僕が師と仰ぐ故宇野功芳のベートーヴェンの推薦盤を取り上げています。
宇野氏は、一昨年2016年に86歳の高齢で亡くなりましたが、多分最後の著書(2013年5月5日あとがき)が、『ベートーヴェン不滅の音楽を聴く』だと思います。
あとがきの最後の文章が、
“老体にむち打って書き下ろしを完成、ホッと一息ついているところである。”
宇野氏が半世紀以上、戦い続けて評論家人生の最後に相応しい穏やかな文章です。
宇野氏の評論やまた自身の演奏に対して、世間では非常に反対意見も多く、僕自身も評論はともかく宇野氏自身の演奏に対しては批判的です。
実際のコンサート会場にも足を運びましたが、残念ながら感動はしませんでした。
でも、宇野氏の正直な言葉で書かれた評論と、誰が何と言おうと自分の思うように演奏をしようという情熱には頭が下がります。
宇野氏の最後の著書に接したしまったために今年は最後まで宇野功芳推薦の名盤、迷盤、駄盤特集で行きたいと思います。
チェリビダッケのベートーヴェン第5 宇野功芳のベスト3
宇野氏の著書『僕の選んだベートーヴェンの名盤』と
『ベートーヴェン不滅の音楽を聴く』では、30年間の開きがあります。
当然推薦盤は変わってくるのですが、この5番に関しては、82年には◎推薦の大判振る舞いです。
なんと8枚のLPに◎を付けています。
1982年の◎推薦
フルトヴェングラー&ベルリンフィル(1947年5月27日)
トスカニーニ&NBC交響楽団(1939年)
クレンペラー&フィルハーモニア
フルトヴェングラー&ウィーンフィル
C・クライバー&ウィーンフィル
ブーレーズ&ニュー・フィルハーモニア
バーンスタイン&ウィーンフィル
カイルベルト&ハンブルク国立響
しかし、2013年の◎推薦は3枚に絞られていました。
フルトヴェングラー&ベルリンフィル(1947年5月25日)
クナッパーツブッシュ&ヘッセン放送響
チェリビダッケ&ミュンヘンフィル
フルトヴェングラーのみ不変(ただ5月27日から25日の録音に変わっています。理由は25日の素晴らしい録音のセットが出たため)ですが、意外なクナッパーツブッシュとチェリビダッケがベスト3となっています。
こちら参照ください。
▽ ▽ ▽
フルトヴェングラーのベートーヴェン 第5番聴き比べ 戦後篇
ということで、チェリビダッケ&ミュンヘンフィルの演奏が未聴だったので早速聴いてみました。
超個性的でしかし素晴らしい演奏で、その刻明な表現は、他の標準的な演奏を寄せ付けません。
チェリビダッケの名盤 ベートーヴェン交響曲第5番ハ短調
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第4番 変ロ長調 Op. 60
Symphony No. 4 in B-Flat Major, Op. 60
1.(01:08)Applause
2.(11:12)I. Adagio – Allegro vivace
3.(13:45)II. Adagio
4.(07:04)III. Menuetto: Allegro vivace
5.(06:10)IV. Allegro ma non troppo
6.(00:48)Applause
total(40:07)
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 – Munich Philharmonic Orchestra
セルジュ・チェリビダッケ – Sergiu Celibidache (指揮)
———————————
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第5番 ハ短調 「運命」 Op. 67
Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67
7.(07:31)I. Allegro con brio
8.(12:09)II. Andante con moto
9.(06:17)III. Allegro
10.(10:41)IV. Allegro
11.(00:58)Applause
total(37:36)
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 – Munich Philharmonic Orchestra
セルジュ・チェリビダッケ – Sergiu Celibidache (指揮)
ベートーヴェン:交響曲第4番, 第5番「運命」(ミュンヘン・フィル/チェリビダッケ)
揺るぎない説得力。完璧な作品の完璧な再現堅固な構成、有機的な各楽器の絡みが説得力充分に語られる「第4番」、作品の威容を完璧に表出した「第5番」。
いずれも徹底して音と響きを磨き上げた、チェリビダッケが生む音楽の極地が聴けるベートーヴェンです。発売・販売元 提供資料 (2018/04/09)
チェリビダッケの名盤と宇野功芳のおすすめ
宇野功芳の文章には、切れば血の出るような演奏とか、魂の演奏とか、よく出てきます。
特に巨匠の時代が終焉したと思われる80年以降から現代の演奏については特に厳しく、名前を伏せて聴くと誰の演奏かわからない、とか最近のサラリーマン指揮者とか、かなり失礼な表現も使っています。
自分と同時代か少し年下のアバド、ムーティ、小澤についても推薦盤が極端に少ないです。
そういう意味からいうとチェリビダッケの演奏はいち早く取り上げても良かった感はあります。
僕自身、シューリヒト、クナッパーツブッシュ、そして朝比奈隆の名前を知って、その録音を良く聴くようになり、朝比奈隆に関しては、コンサートにも足を運んだのは、宇野氏のおかげです。
ただ、チェリビダッケそしてヴァントの紹介が意外と遅かったように思います。
もしかして宇野さんのせいというよりレコード会社の事情だったのかもしれませんが。
まとめ
今回は、チェリビダッケとミュンヘンフィルのCDを取り上げました。
でも、宇野功芳氏の話が中心となりました。
宇野氏を師と仰ぐ僕は、宇野氏の勧めるものは、ほとんど聴いてきたのですが、チェリビダッケを取り上げるとは意外だったのです。
いや、チェリビダッケの個性からするとむしろ取り上げるのが遅かったのかもしれません。
宇野氏の本を読んでいていつも思うのは、この人は心からクラシック音楽が好きなんだな、ということです。
もう好きで好きでたまらないという気持ちが読者に伝わってきます。
そして批評も正直そのものなので、宇野氏のすすめるものが聴いてしまうんですね。
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