こんにちは、
ともやんです。
イギリスの名指揮者ネヴィル・マリナーは、1924年4月15日生まれで、2016年10月2日に92歳で死去。つまりつい先日99回目の誕生日だったんですね。
もともとロンドン響、フィルハーモニア管のヴァイオリニストを務めていましたが、1959年にアカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ(日本ではアカデミー室内管弦楽団と称されることが多い)を創設し、バロック音楽ブームや室内楽団による古典派音楽の一翼を担った人で音楽界に多くの功績を残しました。
ネヴィル・マリナーの功績
マリナーはアカデミー室内管と膨大な録音を残し、しかも凄いのは、録音した作曲家がイタリア・ルネッサンス末期のジュリオ・カッチーニ (1545-1618)から、イギリスの現代作曲家ハワード・ブレイク(1937-)まで140名以上の作曲家の作品の録音を残していることです。マリナーによって世に作品を紹介された作曲家も多いのではないでしょうか。
しかも個性的な主張を抑えて、オーケストラの主体性を損なわないエレガントな解釈は、バロックから現代音楽まで一貫していることが素晴らしいことです。
実は、マリナー&アカデミー室内管の録音は、それこそ膨大なので、むしろそれだからこそ昔の僕は軽く見ていた感があります。また内容もライトではないかという先入観も持っていました。
しかし、なんでもいいのでマリナーを録音を聴くと、それは全く違うことがわかります。その演奏は真摯で作品の素晴らしさを最大限に伝えようとする志に溢れています。
むしろマリナーの録音を一つ一つ聴いていけば、音楽学者なみの知識を得ることが出来るのではないでしょうか。
マリナーのベートーヴェン
マリナーの素晴らしさが分かったとしてもバロックからモーツァルトあたりの小編成の作品ならいいが、ベートーヴェン以降はどうなんだろうという心配はあります。
カラヤンやベームがぶいぶい言わせていた70年代あたりまでは、小編成のオケだと響きが軽いななんていう人がいたかもしれません。しかし、昨今の古楽器や室内管の台頭により、むしろフレッシュで各楽器の動きがよくわかり逆に多彩な響きを楽しめるということが分かってきたように思います。
まさにマリナーは時代を先取りしていたと言えます。しかも80年代以降は、ミネソタ管、シュツゥットガルト放送管の首席指揮者となり、フルオーケストラを振ってオペラやロマン派の作品にも積極的に活動を展開していました。
まさに偉大なオールラウンドな指揮者でした。
本日聴いたベートーヴェンの交響曲第7番も落ち着いたテンポとチャーミングで洗練された表現で、ああ、ベートーヴェンってなんて美しく素晴らしいんだろうと感銘を受けます。
一緒に収録されているウェリントンの勝利も珍しい作品の録音ですが、変な細工をせず誠実に端正に描いた名演です。
マリナー ベートーヴェン 交響曲第7番&ウェリントンの勝利
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第7番 イ長調 Op. 92
Symphony No. 7 in A Major, Op. 92
1.(14:58) I. Poco sostenuto – Vivace
2.(09:30) II. Allegretto
3.(09:26) III. Presto, assai meno presto
4.(07:06) IV. Allegro con brio
total(41:00)
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ウェリントンの勝利(戦争交響曲) Op. 91
Wellingtons Sieg oder Die Schlacht bei Vittoria, Op. 91, “Battle Symphony”, “Wellington’s Victory”
5.(09:32) Part I: The Battle
6.(07:06) Part II: Victory Symphony
total(16:38)
アカデミー室内管弦楽団 – Academy of St. Martin in the Fields Orchestra
ネヴィル・マリナー – Neville Marriner (指揮)
録音:1989年1月-2月 ロンドン
ベートーヴェン:交響曲第7番 ウェリントンの勝利(戦争交響曲)<限定盤> ネヴィル・マリナー アカデミー室内管弦楽団
≪戦争交響曲≫とも呼ばれる≪ウェリントンの勝利≫は、フランス軍を破ったイギリス軍を率いたウェリントン侯爵を讃えた曲で、ベートーヴェン自身の指揮で交響曲第7番とともに行われた初演では大成功を収めました。交響詩の先駆的作品で、現在ではあまり演奏・録音される機会も少なく、貴重な録音といえます。
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