こんにちは、
ともやんです。
ベートーベンの交響曲全集は数あれど、ヘルマン・シェルヘンが、ルガノ放送管弦楽団を指揮した65年のライブ録音ほど、ワクワクさせてくれる録音は少ないです。
シェルヘンは、このライブの録音の翌年1966年6月に亡くなっているので、まさに最後の生命の炎を燃やすかのような凄まじい演奏です。
シェルヘンが、オーケストラを叱咤激励しながら盛り上げて行くときの声も随所に収録されていて、ステレオ録音も生々しく鮮度良好で、
まさに目の前で繰り広げられている演奏と言う臨場感があります。
今日は、全体をサクッとご説明して、次回以降、特に印象的な演奏について深堀します。
シェルヘンのベートーベン交響曲全集 コンサート開催日
ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)
交響曲第1番ハ長調作品21
交響曲第2番二長調作品36
1965年1月8日 スイス・ルガノ
交響曲第3番変ホ長調作品55”英雄”
1965年2月12日 スイス・ルガノ
交響曲第4番変ロ長調作品60
交響曲第5番ハ短調作品67
1965年2月26日 スイス・ルガノ
交響曲第6番ヘ長調作品68”田園”
1965年3月12日 スイス・ルガノ
交響曲第7番イ長調作品92
交響曲第8番ハ短調作品93
1965年3月19日 スイス・ルガノ
交響曲第9番ニ短調作品125”合唱付き”
1965年4月5日 スイス・ルガノ
ヘルマン・シェルヘン(1891-1966)指揮
ルガノ放送管弦楽団
ベートーヴェン: 交響曲全集+「運命」リハーサル ヘルマン・シェルヘン ルガノ放送交響楽団
シェルヘンの名を一気に高めたスイス、ルガノにおけるベートーヴェン・ツィクルス。亡くなる前年の演奏とはとても思えない、気力体力充実の超名演。
シェルヘンはベルリンフィルのヴィオラ奏者出身故に、良く聴くと弦楽器への厳しい指示が分かります。波を打つような締め付けと緩めの多用は特に顕著です。
第1番、第2番、第8番など、小規模な曲にも一切の手抜きなしのガチンコ勝負で圧倒されます。
怒鳴り声やブラヴォも凄い!原則、猛スピードで駆け抜けるスタイル。それも流麗さを追求するよりもリズムは常に喧嘩腰で、どこをとっても格闘技的な名演。
あの有名な「運命」動機の聞かせ方は異常の一言。オーケストラは技術的に問題がありますが、木管は常にチャーミング。鬼才の棒に必死で喰らいつく情熱的な演奏で聴くものを興奮させます。
さらに、嬉しいことに物凄く堪能なイタリア語でオーケストラを捲し立て、細かく指示をする「運命」のリハーサルがとても勉強になります。
今回はその40分を超えるリハーサルの邦訳がライナーノートして採用、必読です。この細かさあったればこその名演なのです。
ルガノ放送は録音は存在しないの一点張りでオリジナルのコピーを所有するLONGANESI PERIODICI提供による極上録音をUHQCD化致しました。
シェルヘンのベートーベン交響曲全集 トスカニーニを彷彿
僕が、シェルヘンのこの録音を聴いてまず思ったのは、トスカニーニの演奏を良い録音で聴くとこんな感じになるのではないかということです。
トスカニーニは、ベートーベン交響曲全集を2回録音していますが、2回目の録音時期が、50年代の初めで、当然モノラル録音で、デッドな録音のせいもあり、なんか怒っているように聴こえるのですが、実際の演奏は当然もっと響きに潤いうがあったと思われます。
しかも速いテンポとハイテンションは、まさにトスカニーニを彷彿とさせます。
まとめ
このCDには、第5番のリハーサル風景の録音も入っていて、その堪能なイタリア語と若々しく活気のある声に驚かされます。
そう言えば、ブルーノ・ワルターのリハーサル録音を聴いた時もとても70才を超えた老人の声ではなく、若々しいものでした。
この全集はCDが何種類か出ていますが、僕はMemories Excellence盤を所有しています。余計なリマスターもされてなくていいです。
ただ現在は入手が難しいようですね。
なお僕はこのレーベルはデジタル・リマスターしたものは音が生々しく鮮度が高いように聴こえるので、よく購入します。
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