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ベートーヴェン運命第1楽章を13種類の演奏で聴き比べたら

ギーレン
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こんにちは、
ともやんです。

クラシック音楽を楽しみのひとつに同じ曲を別の演奏者で聴き比べるというものがあります。
僕などはこれが最大の楽しみで、気が付くと同じ曲のCDが何枚にもなっているのです。
以前クラシック好きの友人と話していたら、次のようなことを語って嘆いていました。

「クラシック・ファンは損だ。」

と彼は言うのです。

彼の理論では、ポップスやロック歌手ならアルバムが出たらその都度1枚ずつ買えばいい。しかし、クラシック音楽の場合、作曲家やその作品を基準にした場合、例えばベートーヴェンの「運命」なら、100種類以上CDがあるから、興味を引く指揮者のCDを買っていったらどんどん増えてしまう。
つまり費用が掛かってしまって大変だというのです。

これすっごくわかります。

僕もベートーヴェンの交響曲全集のCDセットは、多分30セット以上持ってますし、特に好きな第3番「英雄」や第5番「運命」、第九となると単独でも数十枚持っているからです。

だから、今回聴いた2枚セットで13種類聴けるというのは有難いです。
そこで、せっかくなので13種類聴いて感想を以下に記したいと思います。

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ベートーヴェン運命第1楽章聴き比べ

ベートーヴェンの交響曲第5番ハ短調、通称「運命」の第一楽章のダダダダーンというメロディーは、様々な場面でその部分だけ使われることが多く、聴いたことがないという人はまずいないでしょう。

しかし、第一楽章全体となるとぐっと少なくなると思います。
しかも演奏者によって個性が発揮される部分でもあります。

以下の13種類の演奏を聴いて、クラシック音楽の楽しさや奥深さを知って頂けると嬉しいです。

オットー・クレンペラー:1951年

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第5番 ハ短調「運命」 Op. 67 – 第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ(1951年録音)
1.(08:09) Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67: I. Allegro con brio (1951 Recording)
ウィーン交響楽団 – Vienna Symphony Orchestra
オットー・クレンペラー – Otto Klemperer (指揮)
録音: 22 May 1951, Grosser Saal, Musikverein, Vienna, Austria

まず20世紀最高の指揮者の一人オットー・クレンペラー(1885-1973)の運命。
クレンペラーは、ベートーヴェンを得意としていて多くの録音が残されています。

「運命」で特に有名なのが、1959年にフィルハーモニア管と録音したステレオ録音。
この録音は凄まじく、前年クレンペラーは、寝たばこの事故で大やけどを負い、再起不可能かと不安視されましたが、不死鳥のように復帰し、その最初の録音だったのが「運命」だったと記憶します。

このウィーん響との録音は、その8年前です。’59年の8分58秒掛けたスローテンポよりは多少速いですが、それでも既に克明で念を押すような表現になっています。

’59年の録音はもちろん、後年のウィーン・フィルとの録音とも聴き比べるとより面白いです。

ベートーヴェン: 交響曲 & 序曲集 オットー・クレンペラー フィルハーモニア管弦楽団

スクロヴァチェフスキ:2005年

交響曲第5番 ハ短調「運命」 Op. 67 – 第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ(2005年録音)
2.(07:01) Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67: I. Allegro con brio (2005 Recording)
ザールブリュッケン放送交響楽団 – Saarbrucken Radio Symphony Orchestra
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ – Stanis?aw Skrowaczewski (指揮)
録音: 17-19 October 2005, Grosser Saal des SR, Germany

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(1923-2017)は、ポーランド出身の作曲家で指揮者。
NHK交響楽団、読売日本交響楽団、札幌交響楽団に客演し、特に読響との繋がりが強く、2007年から2010年まで常任指揮者を務め、亡くなる2017年まで桂冠指揮者として尊敬を集めて方です。

多くの指揮者は、老齢になるとテンポが遅くなりますが、スクロヴァチェフスキは最後まで衰えを感じさせない人でした。
この2005年の録音は、既に80歳を超えていたのに颯爽として演奏に心が躍ります。

ベートーヴェン交響曲第5番&6番/スクロヴァチェフスキ

ホーレンシュタイン:1956年

交響曲第5番 ハ短調「運命」 Op. 67 – 第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ(1956年録音)
3.(07:38) Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67: I. Allegro con brio (1956 Recording)
ウィーン交響楽団 – Vienna Symphony Orchestra
ヤッシャ・ホーレンシュタイン – Jascha Horenstein (指揮)
録音: 15 February 1956, Brahmssaal, Musikverein, Austria

ヤッシャ・ホーレンシュタイン(1898-1973)は、ウクライナ出身の名指揮者。戦前よりドイツでフルトヴェングラーの助手などして活動していたが、ユダヤ系ということでナチスの迫害を受け、アメリカで活動。戦後はヨーロッパでも再び活動しています。

ロマン的な演奏をするかと思うと、ピリオド楽器の先取りのような演奏をしたりとそんな過渡期を体感させてくる録音が残っています。
「運命」では、実直でオーソドックスな演奏を聴かせてくれています。

ハンス・ロスバウト:1961年

交響曲第5番 ハ短調「運命」 Op. 67 – 第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ(1961年録音)
4.(08:53) Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67: I. Allegro con brio (1961 Recording)
バーデン=バーデン南西ドイツ放送交響楽団 – South West German Radio Symphony Orchestra, Baden-Baden
ハンス・ロスバウト – Hans Rosbaud (指揮)
録音: 23 June 1961, Studio V, Baden-Baden, Germany

ハンス・ロスバウト(1895-1962)は、オーストリアのグラーツ出身の指揮者で、カール・ベームも同地出身で1歳年上。新即物主義の指揮者と言われるが、僕はよくわからない。ただ、この「運命」を聴くと遅くのテンポで克明に展開していく様は、クレンペラーの演奏を彷彿とさせます。

またブーレーズの「運命」を出した時評判になりましたが、その演奏ともかなり似ていて、調べてみるとロスバウトがブーレーズの指揮者としての師ということで納得。
僕の好きな演奏です。

ロスバウト・コンダクツ・ベートーヴェン

ハノーヴァー・バンド:1983年

交響曲第5番 ハ短調「運命」 Op. 67 – 第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ(1983年録音)
5.(07:36) Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67: I. Allegro con brio (1983 Recording)
ハノーヴァー・バンド – Hanover Band
ロイ・グッドマン – Roy Goodman (指揮)
録音: 7 May 1983, All Saints, Tooting, London, United Kingdom

指揮者のロイ・グッドマン(1951-)は、ピリオド楽器のオーケストラ等でコンサートマスターを務めていましたが、1986-94に掛けてハノーヴァー・バンドの首席指揮者を務め多くの録音を残しました。

この83年の録音もピリオドスタイルですが、表現自体は穏健なもので、小編成と思われ、各演奏者のレベルの高さを感じさせるフレッシュな演奏です。

最初のクレンペラーの演奏と比べると隔世の感あります。

フランツ・リスト編曲ピアノ版

フランツ・リスト – Franz Liszt (1811-1886)
ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 S464/R128 – 第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ(1988年録音)
6.(07:18) Beethoven – Symphony No. 5 in C Minor, S464/R128: I. Allegro con brio (1998 Recording)
コンスタンティン・シェルバコフ – Konstantin Scherbakov (ピアノ)
録音: 27-28 April 1998, St. Martin’s Church, East Woodhay, Hampshire, United Kingdom

リストの編曲によるピアノ版。
オーケストラによる多彩な響きはないですが、ピアノだけで表現しているからか、動物の骨格標本を見ているようで、かえって作品の構成がよくわかるような気がします。

ミュラー=ブリュール:2006年

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第5番 ハ短調「運命」 Op. 67 – 第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ(2006年録音)
7.(07:21) Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67: I. Allegro con brio (2006 Recording)
ケルン室内管弦楽団 – Cologne Chamber Orchestra
ヘルムート・ミュラー=ブリュール – Helmut Muller-Bruhl (指揮)
録音: 12-15 October 2006, Sendesaal, Funkhaus Koln, Deutschlandfunk, Germany
ヘルムート・ミュラー=ブリュール(1933-2012)は、ドイツの指揮者でアーベントロートに師事し、彼が創設したケルン室内管を引き継いで数々の録音を残しています。

僕の好きな指揮者で、師匠がアーベントロートということで大時代的な演奏家と思うとそうではなく、いたって現代的で知的で颯爽として演奏を展開しています。

ただ、J.S.バッハのマタイ受難曲やロ短調ミサでは非常にわかりやすい演奏をしていますが、ベートーヴェンでは少し物足りないか、という気がします。

アダム・フィッシャー:2016年

交響曲第5番 ハ短調「運命」 Op. 67 – 第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ(2016年録音)
8.(07:00) Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67: I. Allegro con brio (2016 Recording)
デンマーク室内管弦楽団 – Danish Chamber Orchestra
アダム・フィッシャー – Adam Fischer (指揮)
録音: 29 February – 1 March 2016, Concert Hall, Royal Danish Academy of Music, Denmark

アダム・フィッシャー(1949-)は、ブダペスト出身の名指揮者。
この人の名前を聴くとついハイドンの交響曲全集を思い出す。手堅い演奏でどれもレベル以上だが、かと言って刺激的なところはない。

と思ってこのベートーヴェンを聴くと結構攻めていて、面白い。
手堅い職人が、本気出せば俺だってここまで出来るぜ、とプロ意識をもろ出した演奏、と感じた。

ベートーヴェン: 交響曲全集 アダム・フィッシャー デンマーク室内管弦楽団

ミヒャエル・ギーレン:1970年

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第5番 ハ短調「運命」 Op. 67 – 第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ(1970年録音)
9.(07:13) Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67: I. Allegro con brio (1970 Recording)
シュトゥットガルト放送交響楽団 – Stuttgart Radio Symphony Orchestra
ミヒャエル・ギーレン – Michael Gielen (指揮)
録音: 9 January 1970, Liederhalle, Stuttgart, Germany

ミヒャエル・ギーレン(1927-2019)は、ドイツの名指揮者。ドライなリアリストと言われていたが、後年は優美な表情や高揚を聴かせるようになったそうです。

しかしこの1970年の録音は、ギーレンは43歳。
速めのテンポで厳しい演奏を展開している。もう少し表情があってもいいかなと思わないでもない。

以下に1998年から2000年に掛けて録音したベートーヴェンの交響曲全集をご案内します。30年後の録音は、ギーレンの人間的な成長が伺えるように感じます。

ベートーヴェンの交響曲全曲/南西ドイツ放送響ギーレン&

ロジャー・ノリントン:2002年

交響曲第5番 ハ短調「運命」 Op. 67 – 第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ(2002年録音)
10.(06:23) Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67: I. Allegro con brio (2002 Recording)
シュトゥットガルト放送交響楽団 – Stuttgart Radio Symphony Orchestra
ロジャー・ノリントン – Roger Norrington (指揮)
録音: 3 September 2002, Beethovensaal, Liederhalle, Stuttgart, Germany

ロジャー・ノリントン(1934-)イギリスの名指揮者。ピリオド楽器の旗手という感じで、1988年録音のロンドン・クラシカル・プレイヤーズとの運命は、まさに厳しさと斬新さを持った演奏でした。しかし、14年後の演奏は、もっと幅と遊びを感じさせる演奏で、どっちが好きかは人に寄りますが、楽しさはやはり2002年の方だと思います。

ヘルベルト・ケーゲル:1982-3年

交響曲第5番 ハ短調「運命」 Op. 67 – 第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ(1982-83年録音)
11.(07:18) Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67: I. Allegro con brio (1982-83 Recording)
ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団 – Dresden Philharmonic Orchestra
ヘルベルト・ケーゲル – Herbert Kegel (指揮)
録音: 1982-1983, Lukaskirche, Dresden, Germany
ヘルベルト・ケーゲル(1920-1990)は、旧東ドイツの名指揮者。東西ドイツ統一直後にピスト自殺するという衝撃的な最期でした。
60才代前半の演奏で、オーソドックスな中に味わいのある演奏で、今後の円熟味が期待できる巨匠的な演奏。だから余計急逝が惜しまれます。

ケーゲル/ドレスデン・フィル 来日公演1989

ベーラ・ドラホシュ:1995年

交響曲第5番 ハ短調「運命」 Op. 67 – 第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ(1995年録音)
12.(07:17) Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67: I. Allegro con brio (1995 Recording)
ニコラウス・エステルハージ・シンフォニア – Nicolaus Esterhazy Sinfonia
ベーラ・ドラホシュ – Bela Drahos (指揮)
録音: June 1995, Phoenix Studio, Italian Institute, Budapest, Hungary

ベーラ・ドラホシュは、ハンガリー出身の指揮者。ナクソス・レーベルの専属指揮者という印象で、何を演奏しても平均点以上という職人的な指揮者。
だから可もなく不可もなくという感じだが、作品を覚えるために聴き込むならこんな演奏がいい、という見本のような演奏だと思う。

ベートーヴェン交響曲第5番&6番/ベーラ・ドラホシュ

ロバート・トレヴィーノ:2019年

交響曲第5番 ハ短調「運命」 Op. 67
Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67

13.(06:50) I. Allegro con brio
14.(09:45) II. Andante con moto
15.(04:52) III. Allegro –
16.(10:28) IV. Allegro
total(31:55)

マルメ交響楽団 – Malmo Symphony Orchestra
ロバート・トレヴィーノ – Robert Trevino (指揮)
録音: October 2019, Malmo Live Konserthus, Malmo, Sweden

ロバート・トレヴィーノ(1984-)は、アメリカ合衆国出身の指揮者。今年40歳だから録音当時は35歳。
2019年からスウェーデンのマルメ交響楽団の首席指揮者を務めています。
彼の演奏のみ全曲収録されています。

ベートーヴェン: 交響曲全集 ロベルト・トレヴィーノ マルメ交響楽団

【2019年10月、スウェーデンのマルメで開催された”ベートーヴェン・フェスティヴァル”ライヴ!】
タクトを執るのは2019年9月にマルメ交響楽団の首席指揮者就任したばかりの俊英ロバート・トレヴィーノ。
30代半ばのトレヴィーノは、同世代の若手指揮者の中でも最近急速に頭角を現わしてきた注目の存在です。
古典派作品から現代曲まで,幅広いレパートリーを新鮮かつ想像力に富んだ解釈で聴かせるトレヴィーノは、
ベートーヴェンにおいてもマルメ交響楽団から精緻な響きを紡ぎ出し、自然で音楽性に満ちた表現を引き出すことに成功。
これまで多くの指揮者が取り組んできたベートーヴェン演奏に新風を吹き込みました。
タワーレコード・オンラインショップの解説より

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まとめ

さて、13人の演奏家によるベートーヴェンの「運命」を聴きました。
クラシック音楽にあまり馴染みがない人は、クラシック音楽の幅の広さ、懐の深さを知って頂くには、面白い企画のCDだと思います。

クラシック音楽ファンなら、自分なりのベスト3とか5とかあるかもしれません。
時間は、僕自身のベスト〇〇をお伝えしたいと思います。

ベートーヴェン: 「運命」第1楽章 – 13種類の聴き比べ(全曲入り)

誰もが一度は耳にしている「ジャジャジャジャーン」で始まるベートーヴェンの交響曲第5番”運命”の冒頭部分。この2枚組は”運命”の第1楽章の13種類の聴き比べができるという画期的なアルバムです。
NAXOSとそのファミリー・レーベルの音源を網羅し、古くは1951年のクレンペラーやロスバウトの歴史的録音から、昨年大きな話題となったロバート・トレヴィーノの演奏(こちらは全曲が収録されています)、そしておなじみリストが編曲したピアノ版も含む、様々な語り口による「ジャジャジャジャーン」をお楽しみいただけます。重厚な演奏から、近年流行のピリオド奏法までも味わえる、とにかく至れり尽くせりの注目盤です。
ナクソス・ジャパン



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