こんにちは、
ともやんです。
自分でも意外ですが、フランスの大指揮者シャルル・ミュンシュを初めて取り上げます。
別に避けていたわけではないのですが、考えてみれば、彼のLP、CDというとパリ管とのブラームスの交響曲第1番くらいしか聴いていないので、仕方ないかなという気もします。
そのパリ管とのブラームス交響曲第1番も宇野功芳氏大絶賛の当曲ナンバー1の推薦盤ということです。
しかし、個人的にはアンサンブルの精度が気になったり、つまりあまり感銘を受けていないようです。
ただ、名演の名盤と呼ばれるものが、いつ聴いても感銘を受けるかというとそうではなく、その時の自分の心境、体調にも影響されることがあります。
また、年齢にも寄ります。
若い頃気に入っていた演奏が、60歳を超えてもなお感銘するかというとそうではないし、むしろ年齢を重ねることで、幅広く感銘する傾向になってきました。
さて、今日はシャルル・ミュンシュ(1891-1968)が、1962年に単身来日して日本フィルハーモニー交響楽団を指揮して得意なベルリオーズの幻想交響曲を指揮したCDを聴きましたのでご案内します。
ミュンシュのプロフィールと来日の風景
ミュンシュは、最初ヴァイオリニストとして、音楽活動を開始し、1926年には、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスターとして、フルトヴェングラー、ワルターの棒のもと実地で指揮を学びました。
だから指揮者としてのデビューは遅く、1932年にパリに移ってからで、すでに40歳を超えていました。
その後、自ら組織したパリ・フィルハーモニー協会管弦楽団を経て、1937年には、パリ音楽院管弦楽団の常任指揮者に招かれその名声は高まりました。
第二次大戦中は、パリの留まり、レジスタンス運動に協力しながら、戦後の46年までパリ音楽院管に在籍しました。
ミュンシュの名前を世界的にしたのは、1946年にアメリカの名門ボストン交響楽団を指揮して成功を収め、49年にクーセヴィツキ―の後任として常任指揮者に迎えられてからです。
退任する1962年までのボストン響とは大量のレコード録音を行い、世界的な名声を博するようになりました。
1960年には、ミュンシュは手兵ボストン響と初来日を果たしています。
2年後の1962年には、ボストン響を退任しましたが、その直後に日本フィルの招きで単身来日しました。
シャルル・ミュンシュと日本フィル ベルリオーズ幻想交響曲
1962年12月にシャルル・ミュンシュは、日本フィルハーモニーの招聘で単身来日し、ブラームス交響曲第1番、ベートーヴェン交響曲第9番、ベルリオーズ幻想交響曲を軸とする3つのプログラムの公演を持ちました。
今日ご案内するCDには、日本フィルとのリハーサル風景も収録されています。
ミュンシュは、綿密にリハーサルを繰り返し、それを本番で披露するというよりも、リハーサルは簡単に済ませて、本番で即興的ともいえるイマジネーションの発露に従って盛り上げるというタイプだったそうです。
だからボストン響など気心の知れたオーケストラではいい結果を生みますが、日本フィルの場合は、特に第九のような合唱を伴う大編成では、かなり戸惑いがあったようです。
リハーサルでも、何度も同じ場所を繰り返すようなことはしないで、どんどん曲を進めながら、時には歌ったり、止めてコメントを入れたり、そしても盛り上げ方は上手くリハーサルと言えでも日本フィルのメンバーが、どんどん気持ちを高ぶらせ演奏する様子が伝わってきます。
エクトル・ベルリオーズ – Hector Berlioz (1803-1869)
幻想交響曲 Op. 14
Symphonie fantastique, Op. 14
1.(14:01) I. Reveries: Largo – Passions: Allegro agitato e appassionato assai
2.(06:33) II. Un Bal (Valse): Allegro non troppo
3.(14:18) III. Scene aux Champs: Adagio
4.(14:34) IV. Marche au Supplice: Allegretto non troppo
5.(09:50) V. Songe d’une Nuit du Sabbat: Larghetto – Allegro
total(59:16)
日本フィルハーモニー交響楽団 – Japan Philharmonic Orchestra
シャルル・ミュンシュ – Charles Munch (指揮)
録音: 28 December 1962, Live recording, Tokyo Bunka Kaikan, Tokyo, Japan
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エクトル・ベルリオーズ – Hector Berlioz (1803-1869) / モーリス・ラヴェル – Maurice Ravel (1875-1937)
6.(25:31)幻想交響曲 Op. 14 – ダフニスとクロエ 組曲第2番(リハーサル)
Symphonie fantastique, Op. 14 – Daphnis et Chloe Suite No. 2 (rehearsal take)
日本フィルハーモニー交響楽団 – Japan Philharmonic Orchestra
シャルル・ミュンシュ – Charles Munch (指揮)
録音: 28 December 1962, Live recording, Tokyo Bunka Kaikan, Tokyo, Japan
【CD】 ベルリオーズ:幻想交響曲 リハーサル付き シャルル・ミュンシュ 、 日本フィルハーモニー交響楽団
巨匠ミュンシュと日本フィルによる一期一会の記録。
1962年冬、ミュンシュは日本フィルハーモニー交響楽団の招きに応じ来日。当時名指揮者の単独来日はまだ珍しく、数回のコンサートはすべて大きな話題となりました。
この「幻想」はその掉尾を飾ったコンサートで、後半に行くにしたがいテンションを上げていき、稀にみる熱演を生んでいます。またミュンシュのリハーサルは大変珍しいもので、音楽が高潮していく様子が手に取るように感得でき、最後は楽員への挨拶で結ばれる貴重なドキュメンタリ―です。文化放送のラジオ番組「東急ゴールデンコンサート」の記録で、オーディオ評論家、故若林駿介秘蔵のテープからのCD化です。
オクタヴィア・レコード
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