こんにちは、
ともやんです。
マリス・ヤンソンスの訃報を聞いてからもう1年が経ったのか、と思っていたら亡くなる3週間ほど前に行われたラスト・コンサートのCDがリリースされていることを知り、早速入手して聴きました。
コンサートは、昨年2019年11月8日にニューヨークのカーネギーホールで行われたものです。
プログラムは、前半が、リヒャルト・シュトラウスの「歌劇《インテルメッツォ》からの4つの交響的間奏曲」と、「4つの最後の歌」(このアルバムには収録されておりません)が、後半はブラームスの「交響曲第4番」でした。
伝えられているところでは、このコンサートが最後になるかもしれないというのは、オケのメンバーや聴衆にも少なからず感じられていたようです。
なぜから、健康状態が良くないということで、翌日以降の予定は全てキャンセルされてました。
また心臓に疾患があり心不全で亡くなったという伝える記事もあります。
ヤンソンス&バイエルン放送響 ブラームス交響曲第4番
マリス・ヤンソンスは、ラトビアのリガの生まれ。父親は、ムラヴィンスキーと共にレニングラードフィルの指揮者を務めたアルヴィド・ヤンソンス。
ヤンソンスの出身地ラトビアのリガの風景
1971年、カラヤン国際指揮者コンクールで2位の成績に輝き、同じ年にはレニングラード・フィルを指揮してプロ・デビューを果たしました。
1973年からレニングラード・フィルの副指揮者を務め、ムラヴィンスキーの助手として多くの物を吸収し研鑽を積んで行きました。
1977年にはムラヴィンスキーと共にレニングラードフィルに同行し、初来日を果たしています。
ヤンソンスのブラームスの交響曲は、20世紀の終わり1999年に全集をオスロフィルと録音して、21世紀に入ってバイエルン放送響と全集を録音しています。
どちらもブラームスの交響曲のスタンダードの名盤とされてます。
さて、ヤンソンスとバイエルン放送響のラストコンサートとなったブラームス交響曲第4番は、稀有の名演です。
第一楽章の慎ましやかな出だしとまるで息遣いのような抑揚が素晴らしいです。終わり方も惜しむように長く伸ばして終わるのが印象的でした。
第二楽章では、一瞬演奏が止まったかのような感慨に耽るような場面とか、この曲を愛おしむような場面が都度あります。
そして味わいなる第三楽章から、もっとも感動的なのは、終楽章です。
一つ一つの変奏を噛み締めて味わうような演奏。
時には、弦がすすり泣くように聴こえるのは、ラストコンサートという先入観からか、それともオケの団員たちが本当に泣いているのか!?
マリス・ヤンソンスは、まだまだ若いと思っていましたが、僕自身もクラシック音楽を聴きだして50年。聴きだしたことは、まだクレンペラーも健在で、ベーム、カラヤンもバリバリ活躍していた頃です。バーンスタインがまだ若手と感じていたくらですから。
マリス・ヤンソンスの名前は、以前より聴いていましたが、ほとんど聴いてきませんでした。でもラストコンサートのCDを聴き、紹介文を読むにつけ、誠実に真摯に演奏する指揮者という人だと知り、今後、きちんと真正面からその芸術に接していきたいと思います。
ヤンソンス&バイエルン放送響 ラストコンサート
リヒャルト・シュトラウス – Richard Strauss (1864-1949)
23:46歌劇「インテルメッツォ」からの4つの交響的間奏曲 Op. 72, TrV 246a
Intermezzo, Op. 72, TrV 246a: 4 Symphonic Interludes
1.(10:17) I. Reisefieber und Walzerszene
2.(06:52) II. Traumerei am Kamin
3.(03:39) III. Am Spieltisch
4.(02:58) IV. Frohlicher Beschluss
total(23:46)
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ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
交響曲第4番 ホ短調 Op. 98
Symphony No. 4 in E Minor, Op. 98
5.(13:25) I. Allegro non troppo
6.(11:31) II. Andante moderato
7.(06:33) III. Allegro giocoso – Poco meno presto
8.(11:32) IV. Allegro energico e passionato – Piu allegro
total(43:01)
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9.(05:33) ハンガリー舞曲集 WoO 1 – 第5番 嬰ヘ短調(A. パーロウによる管弦楽編)
21 Hungarian Dances, WoO 1: Hungarian Dance No. 5 in F-Sharp Minor (arr. A. Parlow for orchestra)
編曲 : アルベルト・パーロウ – Albert Parlow
バイエルン放送交響楽団 – Bavarian Radio Symphony Orchestra
マリス・ヤンソンス – Mariss Jansons (指揮)
録音: 8 November 2019, Stern Auditorium/Perelman Stage, Carnegie Hall, New York, United States
この録音を聴いていると、様々な想いが去来する。
私の知るヤンソンスは、音楽の核心だけを見つめる真摯で虚飾のない音楽家だった。ニューヨークで当演奏会が行われた時、彼を愛するバイエルン放送響の団員たちは、これが最後の機会になることを心の奥底では感じていただろう。
ブラームスの「第4」には、彼らの波打つ感情が表れており、聴き手としても、とても普通の気持ちではいられない。--城所孝吉(音楽評論、在ベルリン)
2019年に世を去った名指揮者マリス・ヤンソンス(1943-2019)の最後の演奏会がCD化されます。首席指揮者を務めていたバイエルン放送交響楽団とのカーネギーホールでのコンサートです。
ヤンソンスの健康状態がすぐれないことは現地の聴衆にも知られていたようですが、そのことがある種の緊張感をもたらしたのか、「ひとたび指揮台に立つと、驚くほど生気のみなぎった演奏を繰り広げ」、最後は「数十年にわたる音楽への献身に加え、その不屈の精神によってニューヨークの聴衆から敬意に満ちた心からの喝采を受けた」と伝えられます(Seen and Heard Internationalの演奏会評)。
ヤンソンスは翌日以降の演奏会をすべてキャンセル、その3週間後には不帰の人となりました。
プログラムは、彼が生涯愛したリヒャルト・シュトラウスの「歌劇《インテルメッツォ》からの4つの交響的間奏曲」と、「4つの最後の歌」(このアルバムには収録されておりません)が前半、後半はブラームスの「交響曲第4番」でした。
いずれもたいへん美しい演奏ですが、とりわけブラームスが素晴らしく、終楽章でのたたみかけるような響きの交差のなかから立ち昇る、フルート・ソロの澄み切った音色、トロンボーンから始まるコラールの繊細さなど、オーケストラと巨匠との深い絆と信頼が成せる業と言えるでしょう。
ヤンソンス辞世の句、そう思わせる特別な一夜の記録です。
CD帯紹介文より
ヤンソンス&バイエルン放送響 ブラームス交響曲全集
ヤンソンスは、1999年にオスロフィルと、2000年代にはバイエルン放送響と全集を録音しています。
今後、一つ一つ聴きながらコメントしていきたいと思います。
バイエルン放送響との全集を以下にご案内しています。
ブラームス: 交響曲全集 マリス・ヤンソンス 、 バイエルン放送交響楽団
以前発売され、各々が高く評価されたヤンソンスのブラームス:交響曲がついに一つのセットとなりました。
録音されたのは、2006年から2012年までと時期に幅がありますが、どれも「常に最上のものをリリースする」ヤンソンスの主張が反映された素晴らしい演奏となっています。
第1番や第4番の厳格な演奏も素晴らしいのですが、第2番の深みのある清澄さや、簡素さの中に力強い主張が見える第3番も名演中の名演です。
ナクソス・ジャパン
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