こんにちは、
ともやんです。
今日はドイツの名ピアニスト、ヴィルヘルム・ケンプ(Wilhelm Kempff, 1895年11月25日 – 1991年5月23日)の命日です。
ということで、彼の遺した録音から、J.S.バッハの平均律クラヴィーア集第1巻から抜粋を聴きました。
ヴィリヘルム・ケンプについて
僕がクラシック音楽に興味を感じ聴き始めたのが、中学1年の1970年頃。
もう今から50年以上前のことです。
中学1年の時に50年後の自分なんて全く想像できませんでしたが、ふり返ってみると50年なんてあっという間だなというのが正直な印象です。
当時は、LPレコードが他の物価に比べ大変高価で、1枚が2,000円から3,000円しました。今の感覚なら1万円前後という感じでしょうか。
だからとても中学生の小遣いでは簡単に買えるものではありませんでした。3ヵ月か4ヶ月に1度買えればいいと感じでした。
そのためにいざ買うとなると無駄な選択はできないので、事前に本や雑誌などで情報を仕入れて、レコード屋でも悩んだ末に買ったものです。
もちろんレコードだけに頼っていたら、知識の広がりはありませんので、それを補ってくれたのがFM放送でした。特に吉田秀和さんの放送はよく聴いてきました。
さて、ケンプは僕が聴き始めた頃には、すでに70歳を超えていて、風貌からして人のいいお爺さんという印象で、方やライヴァル?と言われたバックハウスは、ケンプよりも10歳も年上でしたが、その風貌には求道者のような厳しさと威厳は備わっていました。
別に顔で演奏するわけではないですが、二人の印象の違いは、まずその風貌から感じられました。
ケンプのバッハ 平均律クラヴィーア曲集を聴いて
今日聴いた、ケンプの演奏によるJ.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集。タワーレコード限定の企画盤ですが、商品紹介では、80歳代となったケンプが発表した滋味あふれる演奏と記されています。
ケンプは長命で95歳の生涯でしたが、亡くなる数年前には引退されたようです。
つまり1975年の80歳になる時の録音は、まさに演奏家としての晩秋の録音ですね。つまりこの演奏を聴いてケンプを語ることは難しいです。
しかし、僕はこの録音聴きながら、春風のような爽やかさと清々しさを感じました。第1曲が意外と早めのテンポで、老いてテンポが遅くなる演奏家が多い中、僕は老いて益々軽快になる演奏家が好きです。往年の名指揮者カール・シューリヒトがそうで、現役でもあるブロムシュテットにそんな印象を受けます。
またオットー・クレンペラーは、テンポこそ極端に遅くなりましたが、響きは透明感を増して行ったように思います。
それぞれの偉大な演奏家は、もしかして天に近づいていくのでしょうか?
ケンプ J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 (抜粋)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ – Johann Sebastian Bach (1685-1750)
平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV 846-869 (抜粋)
(74:09) The Well-Tempered Clavier, Book 1, BWV 846-869 (excerpts)
ヴィルヘルム・ケンプ – Wilhelm Kempff (ピアノ)
録音: May 1975, Beethovensaal, Hannover, Germany
主よ人の望みの喜びよ~ケンプ、バッハを弾く~平均律クラヴィーア曲集抜粋<タワーレコード限定>
80歳代となったケンプが発表した滋味あふれるバッハ珠玉の小品集、LPレコード3枚分を集成!
ケンプはバッハの鍵盤楽器のための作品を若い頃から手掛けていました。そしてコラールを自らアレンジし、演奏会のアンコールや講習会の結びに好んで弾いていました。
ケンプのバッハ演奏に学究的な硬さがまったく無く、聴き手への語りかけのように聴こえるのは、こうした演奏経験が大きく影響しているようです。平均律クラヴィーア曲集は、ケンプがキャリアの末期、80歳を過ぎてからLPレコード2枚に録音したもので、1枚目には第1巻より12曲が、2枚目には第1巻より7曲と第2巻より5曲がセレクトされています。
作為的なところがまったくなく、音楽の自然な流れをもち、表情といい音色といい人間的な温かさにあふれた演奏で、フーガも単に幾何学的な音の模様となるのではなく、声部間で対話をしているように弾かれています。
そしてもう1枚、1975年録音の「ケンプ/バッハを弾く」というアルバムも全て収録しています。バッハのコラール集に、ヘンデルやグルックの小品もあわせた12曲は、作品といい演奏といい美しさに溢れています。この2枚組CDには、以上のLPレコード3枚分のケンプ晩年の味わい深い小品演奏がぎっしり収められており、1曲1曲じっくり味わうもよし、日々の生活の潤いにBGM的に流すもよしの魅惑的な一組となっています。
今回の復刻では、各オリジナル・ジャケット・デザインを各所に使用しました。ジャケット面には、平均律の第1巻よりのオリジナル・ジャケット・デザインを使用し、ブックレットの裏面には第2巻より、を採用しています。さらに、中のトレイ下には小品集のジャケット・デザインが印刷されています。
また、音質面でもこれまでのコンセプト通り、オリジナル・マスターからのハイビット・ハイサンプリング(192kHz,24bit)でデジタル化した音源をCDマスターに使用しましたので、これまでの音質と比較し、より高解像度で滑らかな音色を味わうことができます。解説書には、新規で序文解説を掲載しました。ケンプの生誕120年を記念するに相応しい、保存盤です。
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