こんにちは、
ともやんです。
今月のトピックスは、10月4日にカナダ大使館にグレン・グールドのトリビュート・イベントに行ったことです。
特に熊本マリさんのグレン・グールドとの思い出は、まだ10代だったマリさんが、突撃的にグールドの住むアパートに行って、偶然グールドに会えて、ただ僅かな時間だったにも関わらず、グールドがマリさんに誠実に対応した、しかもマリさんからの手紙を大切に残していたなど、奇人として語られるグールドの人柄が偲ばれるエピソードでした。
ヴァルヒャについて
ヘルムート・ヴァルヒャは、1907年10月27日、ヨハン・セバスチャン・バッハゆかりの地ライプツィヒに生まれました。
ヴァルヒャは、1歳の時に受けた予防接種の後遺症で、視覚障害となり16才で完全に失明したそうです。
しかし、ヘルムート少年には音楽的才能があり、ライプツィヒ音楽院で、当時ドイツ最高のオルガン演奏を受け継いでいたギュンター・ラミンに師事。ヴァルヒャは、ラミンのもとで全ての時間を音楽に捧げ、勤勉に学ぶ学生でした。
その甲斐あり、17歳で初リサイタルを開き絶賛され、19歳で聖トーマス教会でラミンの助手となり、翌20歳の時にはオルガニスト試験に合格しました。
ヴァルヒャの名声は、ドイツ全土に知られるところとなり、1929年22歳の時には、多くの志願者の中から選ばれて、フランクフルト平和教会のオルガニストに就任しました。
この教会でヴァルヒャは、仕事を通して独創的な演奏を確立して行ったのです。
ただ、視力を失ったヴァルヒャは、健常者の想像の及ばない苦労がありました。
つまり楽譜が読めないため、誰かに一声部ずつ、ピアノで弾くか、歌ってもらいそれを記憶によって総合するという方法を取っていました。
この難しい仕事を助けたのは、最初は母親であり、結婚後は妻の献身的な愛情によって支えられたのです。
ヴァルヒャとグールドとバッハと
ヴァルヒャによるバッハの誠実で真摯な演奏を聴いていると時にたいくつと感じる時がないわけではありません。
こんなことを言うと不謹慎ですが、それはバッハの作品にもヴァルヒャにも責任があるわけではありません。
なんせ、コンサートでもこっくりする私なので。。。
最初にグールドのイベントについて触れましたが、グールドもバッハ演奏に人生を捧げた人です。
しかしそのアプローチはまさに対極にあると感じます。
堅実なヴァルヒャに対して自由なグールド。
でも二人は、スタイルは違えどバッハを究めることに人生の多くの時間を費やしました。
この二人の録音を聴いてそれを研究することも多分一生ものでしょう。
残された人生では無理でしょうが、少しでも近づければいいなと思っています。
ヴァルヒャ&シェリング バッハ ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ全曲
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ – Johann Sebastian Bach (1685-1750)
ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第1番 ロ短調 BWV 1014
Sonata No. 1 for Violin and Harpsichord in B Minor, BWV 1014
total(13:55)
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ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第2番 イ長調 BWV 1015
Sonata No. 2 for Violin and Harpsichord in A Major, BWV 1015
total(14:24)
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ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第3番 ホ長調 BWV 1016
Sonata No. 3 for Violin and Keyboard in E Major, BWV 1016
total(16:48)
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ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第4番 ハ短調 BWV 1017
Sonata No. 4 for Violin and Harpsichord in C Minor, BWV 1017
total(15:48)
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ヨハン・ゼバスティアン・バッハ – Johann Sebastian Bach (1685-1750)
ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第5番 ヘ短調 BWV 1018
Sonata No. 5 for Violin and Harpsichord in F Minor, BWV 1018
total(18:09)
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ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第6番 ト長調 BWV 1019
Sonata No. 6 for Violin and Harpsichord in G Major, BWV 1019
total(15:59)
ヘンリク・シェリング – Henryk Szeryng (ヴァイオリン)
ヘルムート・ヴァルヒャ – Helmut Walcha (チェンバロ)
録音: 1949 and 1969
J.S.バッハ: ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ全曲 ヘンリク・シェリング ヘルムート・ヴァルヒャ
見事な協演! バッハに対しては一家言を持っていた2人による名演です。どっしりと腰を据え、軸がぶれることなく王道を歩むようなヴァルヒャのチェンバロ。それに対して、シェリングはまさにいぶし銀、高い気品に溢れた音色、折り目正しいたたずまいで応えます。2人の間に生じる自由さが音楽を更に魅力的にしています。
24ビット・デジタル・マスタリング音源使用。
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