こんにちは、
ともやんです。
ディミトリ・ミトロプーロス(1896-1960)は、アテネ生まれのギリシャの巨匠で、”ギリシャの哲人”という記載を見たこともあります・
多分、10代の頃聖職者になるか音楽家になるか悩んだそうで、またその風貌からもなるほどを思わせる愛称?です。
3月1日が誕生日ということで彼が得意とするマーラーの交響曲第1番、第5番、第6番、そして第9番が収録された第1番を聴きました。
ミトロプーロス いぶし銀的存在感
いぶし銀という言葉があります。
三省堂の新る明解国語辞典第八版では、
“くすんで渋みがある銀色。目立った華やかさこそ無いが、長年つ培った技の冴えを底にたたえる芸や作品を形容する場合に用いられる”
さて、ニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督・常任指揮者の経歴をみると。
1947-1949 ブルーノ・ワルター
1949-1950 レオポルド・ストコフスキー
1949-1958 ディミトリ・ミトロプーロス
1957-1968 レナード・バーンスタイン
こうやってみると個人的な見解ですが、知名度面からみるとミトロプーロスは分が悪いように思います。
つまりいぶし銀的存在、と言ってもいいかもしれません。
しかもNYフィルを退任後の活躍期間が短かったことも理由かもしれません。
でも録音で聴く、ミトロプーロスは、積極的にマーラーを取り上げ、しかもワルターやバーンスタインのアプローチとは違い、シリアスで厳しい造型のもと引き締まった演奏を展開しています。
今回、亡くなった1960年に演奏された、第1番、第5番、第9番が収録されていて、しかも第9番に関しては、亡くなる1ヵ月前の録音です。
しかもリハーサル中の急逝、そして今の僕と同い年の64歳という年齢は衝撃です。
心して聴きたいライブ録音です。
ディミトリ・ミトロプーロス マーラー 交響曲第1番”巨人”
グスタフ・マーラー – Gustav Mahler (1860-1911)
交響曲第1番 ニ長調 「巨人」
Symphony No. 1 in D Major, “Titan”
1.(14:14) I. Langsam, schleppend
2.(06:27) II. Kraftig bewegt
3.(10:42) III. Feierlich und gemessen, ohne zu schleppen
4.(19:58) IV. Sturmisch bewegt
total(51:21)
ニューヨーク・フィルハーモニック – New York Philharmonic Orchestra
ディミトリ・ミトロプーロス – Dimitri Mitropoulos (指揮)
録音: 09 January 1960, Carnegie Hall
マーラー演奏についてワルターとバーンスタインを繋ぐ指揮者というばかりでなく、もっと尊敬されてしかるべき存在の巨匠ミトロプーロス。その深みある名演が甦ります。
当セットには、ニューヨークフィルとの「巨人」を収録。これはミトロプーロスらしい深い呼吸の名演で、マーラー後期の傑作にも見劣りしない威厳すら感じます。
第5番は、第4楽章から第5楽章の静かな部分でノイズが発生するのが惜しいものの、ニューヨークフィルから鈍色の響きを紡ぎ出し、お祭り騒ぎに堕さないシリアスな解釈。
第6番は、この時代には珍しくスケルツォを第2楽章においた演奏。地の底から響くようなド迫力です。
第9番は、入手困難なウィーンフィルとの演奏が採用されております。山の彼方から聴こえてくるような、人間業とは思えない神々しさを持つ演奏で、ウィーンフィルも尋常ならざる緊迫感で応えます。この後1カ月も経たずに巨匠は黄泉の世界に旅立ってしまうのです。
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