メルマガ登録

クライスラー メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲

こんにちは、
ともやんです。

フリッツ・クライスラーは、1875年2月2日生まれのオーストリア出身のヴァイオリニストです。そして1962年1月29日にニューヨークで86歳の生涯を閉じました。

つまり今日は没後60年の命日に当たるわけです。

世代的には、名指揮者ブルーノ・ワルター(1876-1962)と同世代ですが、ワルターがコンサートからの引退後、録音専用のコロンビア響を多くのステレオ録音が残されているのに対して、クライスラーは、1950年に引退し、残されている録音もSP時代の物が中心なので、より過去の人というイメージがあります。

ただ、ヴァイオリンの粋でチャーミングな作品を多く残しているので、現代ではヴァイオリニストというより作曲家としての知名度の方が高いかもしれません。

スポンサーリンク

クライスラーと東京會舘とわたしと

僕は、大学卒業後、東京の宝飾品を扱う会社に就職し、38年弱のサラリーマン生活をその会社で過ごしました。

そして最後の10年間は、宝飾品の催事の企画と運営を担当していました。
これはホテルの宴会場やレストランなど貸し切って、宝飾品を展示し、そこに顧客を招待して販売会をするというものです。

僕は、そのためいつ、どこで、どんな趣向を凝らして催事を行うかを企画しそして半年から1年掛けて準備から当日の運営、そして終了後の収支報告まで行っていました。

そして僕の最後の仕事が、2019年に建て替えオープンした東京會舘で行うというものでした。

そのためリニューアル中からアプローチして、2019年6月に東京會舘で催事を行うことが出来ました。そして僕はその年の7月末で、37年4ヵ月間勤めた会社を退職し、サラリーマン生活に終止符を打ったのです。

さて、東京會舘での準備中に読んでいたのが、辻村深月さんの『東京會舘とわたし』。その第一章が、クライスラーの演奏会でクライスラーが登場します。

時は1923年(大正12年)5月。
この章の主人公の寺井青年が、クライスラーの音楽会終了後に一緒に来ていた東京の出版社に勤める編集者・近藤に取り残され、その余韻に浸りながら一人で東京會館を散策していたところ、東京會館への移動中のクライスラーと地下道で偶然出会うのです。

東京會舘は、前年の1922年(大正11年)に丸の内で開業。
西洋文化が広がりつつあったこの時代に「世界に誇れる社交場」を目指しての開場でした。

鹿鳴館が「限られた上流階級の社交場であった」のに対して、東京會舘は「誰もが利用できる、大勢の人々が集う社交の場」として、その時代の人たちに愛されて行きます。

ところが開業の翌年。
つまりクライスラーの来日公演の僅か4ヵ月の経たない内に関東大震災に見舞われます。
東京會舘も被害を受けやむなく閉館。そして3年間の改修工事で1927年(昭和2年)2月に再び開業します。
しかし、その後は時代に翻弄されます。
太平洋戦争中は、大政翼賛会に接収され「大東亜会館」に改称させられました。そして終戦後は、GHQに接収され「アメリカン・クラブ・オブ・トーキョー」として営業することになるのです。
そして1952年(昭和27年)7月にようやく本来の東京會舘の名称を取り戻しました。
丸の内の本館は、2015年から建て替えのため一時休業となり、約4年後の2019年1月8日に東京會舘3代目本館として営業を再開したのです。

そして僕は、その約5ヶ月後6月初旬、自身の最後の大きな仕事として東京會舘での催事を担当したのでした。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

クライスラーの魅力

前述のように僕はクライスラーの存在は以前より知っていましたが、興味を感じたのは最近なのです。

当然、クライスラーの録音もあまり聴いていません。
むしろ僕よりのずっと年配でSP時代からクラシックを聴いていた人はなつかしく思うのかもしれません。

1930年(昭和5年)生まれの音楽評論家・宇野功芳氏もその一人でしょう。
彼は、著書で、

“クライスラーほど、音色にも弾き方にもなつかしさを感じさせるヴァイオリニストはいないだろう。昔の演奏家はピアニストにしろ指揮者にしろ、目をつぶって聴いてもすぐに誰の演奏かがわかるほど「自分の音」を持っていたものだ。”

また現代の水準からは奏法は古く、技術も完璧ではなく、音量も弱いが、温かい人柄がにじみ出るような味が絶品だ、とも記しています。

そして宇野氏は、自作自演の「愛の悲しみ」とドヴォルザークの「ユモレスク」の二曲はぜひ持っていたい、と推しています。

また大曲ではメンデルスゾーンの協奏曲が素晴らしく、クライスラーのしたたるような光が充分伝わってくる、とも書いています。

なんと言っても96年前の録音なので音の貧弱さは致し方ありません。
特にオケは、残念な状態ですが、クライスラーのヴァイオリンはよく録音されていて、甘美な音色を楽しむことができます。

なお、ベートーヴェンの協奏曲の収録されていてこちらも素晴らしいです。ただ曲想からメンデルスゾーンの方が、よりクライスラーの魅力が伝わってくると思います。

スポンサーリンク

クライスラー メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲

フェリックス・メンデルスゾーン – Felix Mendelssohn (1809-1847)
ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op. 64
Violin Concerto in E Minor, Op. 64, MWV O14

1.(12:09) I. Allegro molto appassionato
2.(07:44) II. Andante
3.(06:49) III. Allegretto non troppo – Allegro molto vivace
total(26:42)

フリッツ・クライスラー – Fritz Kreisler (ヴァイオリン)
ベルリン国立歌劇場管弦楽団 – Berlin State Opera Orchestra
レオ・ブレッヒ – Leo Blech (指揮)
録音: 9-10 December 1926, Singakademie, Berlin

ベートーヴェン/メンデルスゾーン:フリッツ・クライスラーのヴァイオリン協奏曲録音全集 1(クライスラー)(1926)

現在も頻繁に取り上げられている愛すべき小曲の作曲者としても有名なクライスラー。しかしながら演奏者としての彼は、曲のイメージから想像される小粋さや洒脱さの枠だけに留まる小物ではありません。

卓越した技術、甘い音色、効果的なヴィヴラートを駆使した「雄弁なる技巧家」であり、現代につながるヴァイオリン奏法を開拓した第一人者でした。

このCDには古典派、バロック、ロマン派の3時代の作品が収録されていますが、微妙にスタイルを変化させているのが良くわかります。CD帯紹介文



スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました