こんにちは、
ともやんです。
昨日のこのブログで、今年生誕110年のギュンター・ヴァント&ケルン放送響の記事をアップしました。
その中で、シューベルトの交響曲は「ザ・グレート」が一般的に第9番と表記されているが、なんで全集は8曲しかないんだ、おかしいのではないか?
そう言えば第7番が欠番になっているがこれはどうしてか?
ということ記しています。
そこで僕なりに調べてみたところ、現状こんなところかな、と理解しました。
ただ、あくまで僕の中での理解なので音楽学会の最先端の見解とはずれているかもしれないのでお許しください。
シューベルトの交響曲 作曲年と順番
では、シューベルトの交響曲の作曲年とその順番を確認します。
番号順ではなく、時系列でチェックしてみます。
1813年(16歳) 第1番 ニ長調
1814年(17歳) 第2番 変ロ長調
1815年(18歳) 第3番 ニ長調
1816年(19歳) 第4番「悲劇的」ハ短調
1816年(19歳) 第5番 変ロ長調
1818年(21歳) 第6番 ハ長調
1821年(24歳) 「スケッチ」ホ長調
1822年(25歳) 「未完成」ロ短調
1825年(28歳) 「グムンデン・ガスタイン」交響曲 紛失
1928年(31歳) 「ザ・グレート」ハ長調
まず、第1番から第6番までは問題ないでしょう。
しかし、7番以降は問題です。
例えば最近いままで「未完成」は、第8番と表記されていたのに第7番ロ短調「未完成」という表記を目にするようになりました。
それに伴い、古くは第7番ハ長調「遺作」と表記され、その後第9番「ザ・グレート」と親しまれた作品も第8番という表記を最近見かけました。
これは、1956年に始まり2027年に終了する予定のフランツ・シューベルト作品の完全版「新シューベルト全集」によるもので、この新全集ではシューベルトの交響曲は全8曲としています。
シューベルト 交響曲ホ長調 スケッチ
結局、新シューベルト全集では、1821年の「スケッチ」が残っているホ長調は、交響曲の中には含んでいないということなのかな。ちょっと残念です。
もう一つの「グムンデン・ガスタイン交響曲」は、シューベルトの手紙などから推測されていたので研究の結果としては、ほぼ「ザ・グレート」のことであろうということで落ち着いているそうです。
さて、この交響曲ホ長調だが、シューベルトの兄フェルディナントは、スケッチのままのこの作品をメンデルスゾーンに贈ったのが1846年にこと。メンデルスゾーンは、翌年1847年に38歳で他界すると、この草稿は、音楽学者のジョージ・グローヴに贈られ、現在はロンドンの王立音楽院に保管されているそうです。
ちなみに同じように兄フェルディナントが保管していた「ザ・グレート」は、1839年にフェルディナント宅を訪れたシューマンに依って発見され、その後、メンデルスゾーンによりゲヴァントハウス管の定期演奏会初演されています。
惜しむらくは、この交響曲ホ長調の草稿はシューマンは発見しなかったのか?または発見したけどスケッチのままだったので興味を引かなかったのかと思うことです。
また兄フェルディナントがメンデルスゾーンに贈ったあと、メンデルスゾーンには、時間が残されていなかったので、もし、メンデルスゾーンがもっと長生きしていたらと思ったら残念です。
その後、1883年にバーネットによってピアノの連弾曲として出版されました。
また1934年にワインガルトナーが第1楽章と第4楽章を、スケッチにむけている穴を埋めて、完全な交響曲としたのです。
ワインガルトナー編曲版のCDは意外と少なく数点しかなく、僕はハインツ・レーグナー&ベルリン響で聴きました。
その中で、ケヴィン・ジョン・エドゥセイというドイツ出身の指揮者とミュンヘン響の演奏が、2019年と録音が新しくフレッシュで躍動的な演奏が鮮烈です。
エドゥセイは、1976年生まれなので中堅指揮者でクラシック界では少ない黒人。
その出身や経歴などに興味を感じますが、ウェブ上では情報が少ないです。
でも、こんないきいきとして音楽を生むなんて素晴らしいです。
ぜひ聴いてほしいレアな作品の名演です。
シューベルト 交響曲ホ長調 エドゥセイ&ミュンヘン響
フランツ・シューベルト – Franz Schubert (1797-1828)
交響曲第3番 ニ長調 D. 200
Symphony No. 3 in D Major, D. 200
1.(08:11) I. Adagio maestoso – Allegro con brio
2.(03:59) II. Allegretto
3.(03:21) III. Menuetto: Vivace
4.(05:54) IV. Presto vivace
total(21:25)
————————–
交響曲第7番 ホ長調 D. 729
Symphony No. 7 in E Major, D. 729
5.(10:40) I. Adagio ma non troppo – Allegro
6.(06:58) II. Andante
7.(05:26) III. Scherzo: Allegro deciso
8.(10:33) IV. Allegro vivace
total(33:37)
ミュンヘン交響楽団 – Munich Symphony Orchestra
ケヴィン・ジョン・エドゥセイ – Kevin John Edusei (指揮)
録音: 18-22 June 2019, Bavaria Musikstudios, Munich, Germany
シューベルト 交響曲第3番&第7番 ケヴィン・ジョン・エドゥセイ ミュンヘン交響楽団
2015年、ミュンヘン交響楽団の首席指揮者に就任したケヴィン・ジョン・エドゥセイによるシューベルトの交響曲シリーズ。“新しい地平線へ!”というフレーズがモットーのこのアルバムには、シューベルト18歳の作品「交響曲第3番」と大半がスケッチのみの未完の作品「交響曲第7番」が収録されています。
モーツァルトやハイドンの影響から脱し、自身の個性を確立させ始めた「交響曲第3番」、1821年頃に着手されるも、なぜか完成されることなく放置されてしまった「交響曲第7番」(この録音ではイギリスのシューベルト研究家、ブライアン・ニューボールトの補筆版を使用)。
エドゥセイならではの瑞々しい感性を生かし、活力に満ちた演奏で、シューベルトが目指した新しい地平線をくっきりと描き出しています。
コメント