こんにちは、
ともやんです。
天才シューベルトの交響曲第9番ハ長調、通称『ザ・グレイト』を朝比奈隆指揮東京都交響楽団のライブ録音で聴きました。おすすめのCDです。
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【CD】 シューベルト:交響曲 第9番「グレイト」 朝比奈隆 、 東京都交響楽団
私がクラシック音楽史の中でも天才だと思うのが、モーツァルトとシューベルトです。
ところが二人とも生活破綻者でした。
モーツァルトはまだ結婚して子供も儲けましたが、シューベルトに至っては救いようがなく、僅か31歳で貧困の中で生涯を終えています。
シューベルト 交響曲第9番 ハ長調 『ザ・グレイト』と朝比奈隆と
シューベルト最後の交響曲第9番ハ長調は、その長大な規模を持った交響曲故に、ザ・グレイトと通称で呼ばれることが多いです。
完成は、シューベルトが亡くなる数ヵ月前のことで、生前、ウィーン好楽家協会に持ち込んで上演を希望しましたが、好楽家協会からはその規模の大きさに上演不能ということで断られてしまいました。
結局シューベルトはこの交響曲の音を聴かずに世を去り、彼の死後11年後にシューマンによって発見され、盟友メンデルスゾーンがライプツィヒで初演しました。
この曲が作曲されたのが、ベートーヴェンが第九交響曲を発表してから僅か4年後。
声楽こそ伴っていませんが、第九に匹敵する規模の交響曲を僅か30歳にして作ったシューベルトはやはり天才でした。
また終楽章には、ベートーヴェンの第九を連想させるテーマも出てきます。
さて、この曲の演奏にこの人ほど相応しい人はいないと思います。
朝比奈隆さんです。
2001年12月に93歳で亡くなってから20年近く経ちますが、僕は今でも朝比奈さんのコンサートに数回足を運び、毎回演奏が終わった後、スタンディングオベーションで何度もステージで挨拶する朝比奈さんの姿を忘れることは出来ません。
愚直にオーケストラを存分に鳴らすスタイルは、下手をすると凡庸な印象しか与えませんが、事実50代に録音した北ドイツ放送響のCDを聴くと全然面白くありません。
ところが、愚直に誠実に演奏を重ねて行くとこんなに感銘深い演奏になるのです。
たしか、朝比奈さんが80代後半のインタビューに、より高みを目指しているという意味のことを言っていました。
こんな時代だからこそ、朝比奈さんの演奏から勇気をもらいたいです。
東京都交響楽団の楽員たちが、朝比奈さんの棒の下、持てる力を存分に発揮してやり切った感の演奏で、くよくよすんなよ、明日があるぜ!的な演奏です。
ぜひ聴いてみてください。
朝比奈隆&東京都交響楽団 シューベルト『ザ・グレイト』
フランツ・シューベルト – Franz Schubert (1797-1828)
交響曲第9番 ハ長調 「ザ・グレート」 D. 944
Symphony No. 9 in C Major, D. 944, “Great”
1.(16:48) I. Andante – Allegro ma non troppo
2.(16:35) II. Andante con moto
3.(13:45) III. Scherzo: Allegro vivace
4.(15:38) IV. Allegro vivace
total(62:46)
東京都交響楽団 – Tokyo Metropolitan Symphony Orchestra
朝比奈隆 – Takashi Asahina (指揮)
録音: 22 January 1995, Tokyo Metropolitan Art Space, Japan
【CD】 シューベルト:交響曲 第9番「グレイト」 朝比奈隆 、 東京都交響楽団
最後に
ベートーヴェンは、1827年3月26日に永眠しました。享年57歳。
雨にけぶったウイーンの街をその柩が運ばれる中、シューベルトは泣きぬれながらその後を追っていたそうです。
その悲しみ方は、ベートーヴェンの柩を運ぶ集団の中でも特に目立っていたとも伝えられています。
それから2年も経たない、1828年11月19日、シューベルトは貧困の中で世を去りました。
部屋には僅かな金銭しか残されていなかったと伝えられています。
この交響曲を聴く限り、貧しい中で苦しんだシューベルトも精神までは病んでいなかった、いや誰よりも健全だったことがわかります。
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