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クルト・ザンデルリンク ショスタコーヴィチ 交響曲第15番

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こんにちは、
ともやんです。

今年は、ドイツ、旧ソ連で活動した名指揮者クルト・ザンデルリンク(1912-2011)の没後10年の年です。

個人的には、シュターツカペレ・ドレスデンと録音したブラームスの交響曲全集の旧盤が好きです。

ブラームスに対する印象がもっとも巧みに表現された全集だと思います。
暗く重く、くすんだ響きの中に、何かロマンティックで感傷的で、雪深い冬を耐えて春の来訪に憧れている、そんな感じが一番伝わる演奏なのです。

その他、ブルックナー、ベートーヴェンも聴きましたが、この人の演奏には、常に誠実さと寂しさがついて回っているように感じるのです。

さて、クルト・ザンデルリンクが手兵のベルリン交響楽団を指揮して録音したショスタコーヴィチの交響曲選集がSACDハイブリッドで9月17日に発売されます。
ただいま予約受付中です。

そこで僕はその素晴らしさをチェックするためにその録音を聴いています。

先日、第1番、第6番、そして第5番をレビューしました。

今日は、第15番を聴きました。

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クルト・ザンデルリンク ショスタコーヴィチ 交響曲第15番

ショスタコーヴィチの交響曲第15番は今回初めて聴きました。
第一楽章でいきなり、ロッシーニの「ウィリアムス・テル」のフレーズが出てきて驚きますが、『チャイコフスキーがなぜか好き』亀山郁夫著でも、第1番と第5番、そして第15番を取り上げています。

亀山氏は、この交響曲第15番は、ショスタコーヴィチの遺書ではないか、と記しています。

一部抜粋して以下に記します。

“「遺書」と意識することで、彼は、体制と超自我による呪縛から解放され、自身が本当に書き方かった交響曲を、二十世紀のロシアが歩んだ歴史を振り返りながら描いた、ある意味で、「総決算」ともいうべき作品である。”

さて、僕が愛読している『交響曲CD 絶対の名盤』福島章恭著のショスタコーヴィチの項で、第10番に関して福島氏は、次のような名文で記されています。

“音楽が、どんなに悲痛になろうとも、凶暴になろうとも、徹底的に追いつめない心の大きさ、天から下界を見下ろすような眼差しの透徹がある。”

この第5番に関してもそのまま当てはまるコメントだと思います。
特に何かと派手になろそうな終楽章を速めのテンポでキリッとまとめているところなんか、聴き手に媚びない良識を感じるのです。

ぜひ、聴いて欲しい名演の名盤です。

ドミートリー・ショスタコーヴィチ – Dmitry Shostakovich (1906-1975)
交響曲第15番 イ長調 Op. 141
Symphony No. 15 in A Major, Op. 141

1.(08:29) I. Allegretto
2.(15:21) II. Adagio – Largo – Adagio – Largo
3.(05:06) III. Allegretto
4.(19:41) IV. Adagio – Allegretto – Adagio – Allegretto
total(48:37)

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ベルリン交響楽団 – Berlin Symphony Orchestra
クルト・ザンデルリンク – Kurt Sanderling (指揮)
録音:1978年5月26日-31日と1978年6月1日-2日

ショスタコーヴィチ: 交響曲集(第1番、第5番、第6番、第8番、第10番、第15番)<タワーレコード限定> クルト・ザンデルリング ベルリン交響楽団

ドイツの名指揮者クルト・ザンデルリング(1912~2011)はユダヤ人だったため、1935年に祖国を追われ、1936年から叔父の住むソヴィエト連邦に移住。

1941年からはムラヴィンスキー率いるレニングラード・フィルの指揮者陣に加わり、ムラヴィンスキーから薫陶を受けるとともに、大作曲家ショスタコーヴィチと交流をもちます。

1960年に東ドイツ政府に請われて帰国し、ベルリン交響楽団(現ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団)の首席指揮者に就任し、歴史の浅かった同団を世界水準のオーケストラに育成しました。

このショスタコーヴィチの交響曲集は両者の関係が熟成した1976年から1983年にかけて、東ドイツのエテルナ社によってアナログ・ステレオ録音されたものです。

作曲者と交流したザンデルリングの解釈は、譜面を隅々まで誠実に音にし、交響的な音の積み重ねを彫り深く表現し、ショスタコーヴィチらしい軽いユーモアから悲痛な心の叫びまで、多種多様な性格を十二分に生かしつつ、それらをドイツのオケならではの柔らかく重厚な響きで包み込んだものとなっています。

したがって、楽曲のクライマックスでも決して絶叫調にならず、有機的な響きを保っており、刺激的な演奏が多い中、異彩を放つ演奏となっています。しかし、前記したように移り変わる楽曲の情景は十全に表現されており、最も音楽的でいて意味深いショスタコーヴィチ演奏が成し遂げられています。

エテルナによるアナログ末期の優秀録音もスケール雄大で重厚で柔らかみのあるベルリン交響楽団の音を見事に捉えています。今回の高音質化により、一層細部がわかるようになりました。録音当時の空気感まで感じられる出来です。



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