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カール・ベームとロンドン響 チャイコフスキー第5交響曲 枯れた名演

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こんにちは。
ともやんです。

 

カール・ベームとロンドン交響楽団によるチャイコフスキー後期交響曲3曲のレビューも最後となりました。

今日は最後に録音された第5番について書きます。

 

録音が、1980年5月。

ベームも既に85歳となり、亡くなる前年の録音です。

なおこの第5番だけデジタル録音です。

 

ベームのデジタル録音は珍しくこれ以外ではウィーンフィルとのベートーヴェンの第9がある程度だそうです。

チャイコフスキーの最初の第4番の録音から既に3年が経っていて、高齢による体力の衰えも顕著だと思います。

 

実際、この第5番が一番テンポ的には遅めです。
しかも一番淡々としていて、老ベームが思い出や心境を語るようなわびとさびを感じさせる演奏です。

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カール・ベーム チャイコフスキー第5交響曲 枯淡の境地

 

僕個人的には、チャイコフスキーの交響曲第5番が一番好きです。

ベートーヴェンの第5交響曲やブラームスの交響曲第1番のように苦悩を克服して喜びへ向かう曲だからです。

また中間楽章のロマンティックな雰囲気も最高です。

 

しかしベームの演奏は、なんかそんな煩悩を超越したような演奏です。

第1楽章の淡々としてまるで他人ごとのように進む演奏は、嗚呼、これが老いの境地なのかと思わせます。62才の僕にはまだわからない世界です。

 

第2楽章と第3楽章もロマンティックというよりも悲しみと寂しさが漂う演奏で、まるで水墨画見るようです。

そして何よりも終楽章。

ここでも淡々と遅いテンポながら、しっかり踏みしめように音を積み上げていきます。
しかし、ようやくパワーが蘇ってきます。

 

このままでは終わらないぜという意地を感じさせます。

最後の力を振り絞るようなエンディングが泣かせます。

 

ここまで残っている力を振り絞るように締めくくる演奏は珍しいです。
まるで、マラソンランナーが、喘ぎなら最後のゴールに飛び込んできてそのまま倒れ込むようなイメージを思い起こさせます。

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ベーム&ロンドン響 チャイコフスキー交響曲第5番ホ短調

 

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー – Pyotr Il’yich Tchaikovsky (1840-1893)
交響曲第5番 ホ短調 Op. 64
Symphony No. 5 in E Minor, Op. 64

 

1.(15:23) I. Andante – Allegro con anima
2.(15:22) II. Andante cantabile con alcuna licenza
3.(06:21) III. Valse: Allegro moderato
4.(13:59) IV. Finale: Andante maestoso – Allegro vivace
total(51:05)

 

ロンドン交響楽団 – London Symphony Orchestra
カール・ベーム – Karl Bohm (指揮)
録音: 1980年5月5日、6日 ロンドン、聖ヨハネ教会

 

チャイコフスキー: 交響曲第4番・第5番・第6番《悲愴》<タワーレコード限定> カール・ベーム 、 ロンドン交響楽団

まとめ

 

3日間連続で、カール・ベーム指揮ロンドン交響楽団に演奏によるチャイコフスキーの後期交響曲3曲を聴きました。

これは60年以上に渡って、音楽活動を行ってきたベームが傷だらけになりながらたどり着いた慈悲と癒しと哀しみと喜びが混在した感動的な演奏となりました。

チャイコフスキーのイメージとは違う質実剛健な演奏ですが、ロンドン交響楽団が、ベームを労わるように献身的に演奏して様が感動的です。

ロンドン交響楽団の洗練された温かみがあり格調高い高い演奏に接し、僕はこのオーケストラが大好きになりました。

このチャイコフスキーに関しては、ベルリンフィルでもウィーンフィルでもなくロンドン響との演奏が感動を生んだのではと思います。

ぜひ聴いて頂きたい演奏です。

 



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