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パウル・クレツキ&チェコフィル ベートーヴェン交響曲第3番”英雄”

クレツキ
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こんにちは。

 

ともやんです。

 

僕の学生時代は、1970年代後半から80年代初頭。

なぜか暗い学生時代だったように思います。

 

アルバイトに明け暮れ、お金もなくて、でも映画が好きだったのでよく早稲田松竹という名画座によく行っていました。

 

そこで観て記憶の残っているのが、マーロン・ブランドの「波止場」とアンジェイ・ワンダ監督の「地下水道」と「灰とダイヤモンド」でした。

ストーリーの詳細まで憶えていませんが、胸が締め付けられる暗い映画でした。

 

ポーランドというとどうしてもアンジェイ・ワイダ監督の映画を思い出してしまいます。

そして、名指揮者パウル・クレツキのイメージも暗く重いものです。

 




パウル・クレツキ ポーランドの生んだ作曲家、名指揮者

 

今週は、クレツキ指揮チェコフィルの演奏でベートーヴェンの交響曲全集を聴いています。
ポーランドの名指揮者パウル・クレツキの代表的な録音だけでなく、数多いベートーヴェンの交響曲全集の中でも屈指の名演と思います。

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クレツキの明快で折り目正しく格調高い表現に、アンチェル時代のチェコフィルの素朴な響きとクリアなアンサンブルは、ベートーヴェンの交響曲ってなんて素晴らしいんだろうと素直に感嘆していしまいます。

 

クレツキにしろ、アンチェルにしろ、ナチスのする凄まじい迫害を受け、家族を失い、憾み骨髄に徹するものだと思います。しかし、戦後その創り出される音楽は、端正で格調高いものです。
情念ドロドロの恨み節ではありません。

僕は、この二人の指揮者に崇高な人間の魂を感じ、尊敬の念を感じずにはいられません。

 

パウル・クレツキ(1900-1973)は、ポーランドのウッジ出身。
戦前は、むしろ作曲家として注目され、トスカニーニやフルトヴェングラーからも高い評価を得ていました。
また指揮者としても1925年にフルトヴェングラーの招きでベルリンフィルを指揮しています。

 

ところが、1933年にナチス政権になるとユダヤ系のクレツキは、イタリアに逃れます。しかし、イタリアもムッソリーニ率いるファシズム政権です。そこかも逃れ、次の向かったのがロシアでした。しかし、ロシアはスターリンの粛清が始まり、ここも逃れスイスに亡命します。

 

その間、両親、姉妹をホロコーストで失っています。

そして自身も精神に異常をきたし戦後は作曲が出来なくなりました。

 



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クレツキ&チェコフィル ベートーヴェン交響曲全集より”英雄”

 

戦後も実力からして華々しい活躍をした方ではありません。

そこで、戦後20年以上経って録音したベートーヴェンの”英雄”。

 

第1楽章の再現部で魅せるティンパニの強打など、おっと思う部分はあります。
でもあくまで端正に明快にそして格調高く展開するクレツキの演奏からは現在のピリオド楽器演奏の明快さとは違う重みを感じます。

 

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」 Op. 55
Symphony No. 3 in E-Flat Major, Op. 55, “Eroica”

1.(14:18) I. Allegro con brio
2.(15:19) II. Marcia funebre: Adagio assai
3.(06:03) III. Scherzo: Allegro vivace
4.(12:09) IV. Finale: Allegro molto
total(47:49)

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 – Czech Philharmonic Orchestra
パウル・クレツキ – Paul Kletzki (指揮)
録音: 21 February 1967

 

パウル・クレツキ&チェコフィル / ベートーヴェン:交響曲全集

 

クレツキ&チェコ・フィルによる不滅の遺産。ベートーヴェンの交響曲全集
ポーランド生まれの名指揮者で作曲家のパウル・クレツキ(1900-1973)が遺した唯一のベートーヴェンの全集録音。若いころからすでに、フルトヴェングラーやトスカニーニらからも絶賛されるほどの作曲家だったことの片鱗をうかがわせるように、クレツキのすぐれたバランス感覚&明晰なアプローチと、アンチェル時代のチェコ・フィル黄金期のサウンドとが、がっちりと組み合わさった内容は、当コンビの代表的録音として以前よりたいへん有名なものです。とくに3番、5番、7番といったナンバーの尋常ならざる緊迫感は、衝撃を受けること間違いなし。

最後に

 

ナチスが政権を取った1933年から1945年のドイツ敗戦まで、ヨーロッパで活動する音楽家にとってナチスの影響を受けなかった人はいなかったでしょう。

 

程度の差があるにせよ、そのキャリアに大きな影を落としたことは間違いありません。

 

第二次大戦前後から、それを乗り越えて、後世にも演奏活動を続けて音楽家の録音を聴くことは、未来にも負の歴史を伝えていくことで必要なことだと思います。

 




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