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クレツキ ベートーヴェン交響曲全集より 戦火を超えて

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こんにちは。

 

ともやんです。

 

アンチェル同様、クレツキは、共にナチスによって人生を狂わされた音楽家です。
この時代、この二人はもちろん多くの音楽家が、ナチスからの迫害を受けました。

また、自分が生き延びても家族や同胞の命が奪われたという人も多かったようです。

 

さて、アンチェルとクレツキの経歴を読んで、なかなか彼らの音楽を聴けなかったことを告白します。

胸が締め付けられて聴き進むことが出来ないと思ったからです。

 

まずアンチェルから聴きだしました。

そして今回クレツキを聴きました。

彼の代表的録音のチェコフィルとのベートーヴェン交響曲全集からです。

 




クレツキ&チェコフィル ベートーヴェン交響曲演奏を聴いて

 

クレツキは、1900年ポーランドのウッジ生まれ。

ポーランドは、第二次世界大戦でもっとも蹂躙された国です。

ドイツとソ連に挟まれています。
第二次世界大戦もナチスドイツがポーランドに侵攻したことから始まっています。

 

クレツキの生年1900年は、19世紀最後の年。
作曲家、指揮者として頭角を現し、1925年にはフルトヴェングラーの招きでベルリンフィルを指揮しています。

 

しかしその後ユダヤ系のためナチスを逃れてイタリアへ。
しかもここもムッソリーニによるファシズム政権でユダヤ弾圧があり、今度はソ連へ。
しかしここでもスターリンによる粛清を逃れてスイスへの亡命を余儀なくされています。

 

その間、両親姉妹を含む肉親をホロコーストで命を奪われています。

そしてクレツキ本人も精神に異常をきたし作曲する意欲を失くしてしまいました。

 

しかし、クレツキは戦火を超えて生きて行きます。

 



クレツキ&チェコフィル ベートーヴェン交響曲全集より

 

パウル・クレツキ指揮チェコフィルが67年から68年の録音ですが、当時の首席指揮者はカレル・アンチェル。

アンチェルもクレツキ同様、第二次大戦で深い傷を負った人ですが、その演奏には共通点があります。

構成力がしっかりとしてキリリと締まった演奏なのです。

またチェコフィルの響きが素晴らしく弦楽器と木管の素朴な音色に惹かれます。

 

僕は、クレツキの演奏スタイルに関してなんの先入観を持っていませんでした。
もしかして、ナチスや戦争への恨みつらみで情念ドロドロの演奏もありかと思っていました。

 

しかし、第1番と第2番の曲想からして非常にすっきりと凛々しい演奏なのです。
そのスタイルは、アンチェルと共通点があります。

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なお、この次の第3番”英雄”は、その情念が噴き出す部分があります。
明日レビューを予定しています。

 

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第1番 ハ長調 Op. 21
Symphony No. 1 in C Major, Op. 21

1.(09:35) I. Adagio molto – Allegro con brio
2.(06:29) II. Andante cantabile con moto
3.(03:48) III. Menuetto – Allegro molto e vivace
4.(05:53) IV. Adagio – Allegro molto
total(25:45)

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 – Czech Philharmonic Orchestra
パウル・クレツキ – Paul Kletzki (指揮)
録音: 12 January 1968

 

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)

交響曲第2番 ニ長調 Op. 36
Symphony No. 2 in D Major, Op. 36

5.(12:35) I. Adagio molto – Allegro molto
6.(10:52) II. Larghetto
7.(03:59) III. Scherzo
8.(06:10) IV. Allegro molto
total(33:36)

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 – Czech Philharmonic Orchestra
パウル・クレツキ – Paul Kletzki (指揮)
録音: 14 January 1968

 

パウル・クレツキ&チェコフィル / ベートーヴェン:交響曲全集

 

クレツキ&チェコ・フィルによる不滅の遺産。ベートーヴェンの交響曲全集
ポーランド生まれの名指揮者で作曲家のパウル・クレツキ(1900-1973)が遺した唯一のベートーヴェンの全集録音。若いころからすでに、フルトヴェングラーやトスカニーニらからも絶賛されるほどの作曲家だったことの片鱗をうかがわせるように、クレツキのすぐれたバランス感覚&明晰なアプローチと、アンチェル時代のチェコ・フィル黄金期のサウンドとが、がっちりと組み合わさった内容は、当コンビの代表的録音として以前よりたいへん有名なものです。とくに3番、5番、7番といったナンバーの尋常ならざる緊迫感は、衝撃を受けること間違いなし。

 

 

最後に

 

ナチスが政権を取った1933年から1945年のドイツ敗戦まで、ヨーロッパで活動する音楽家にとってナチスの影響を受けなかった人はいなかったでしょう。

 

程度の差があるにせよ、そのキャリアに大きな影を落としたことは間違いありません。

 

第二次大戦前後から、それを乗り越えて、後世にも演奏活動を続けて音楽家の録音を聴くことは、未来にも負の歴史を伝えていくことで必要なことだと思います。

 




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