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ベートーヴェン 第九 日本初演と本当の初演の再現

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こんにちは、
ともやんです。

ベートーヴェンが、交響曲第9番を初演したのが、1824年5月7日。
今から約200年ほど前のことです。

そして日本では、初演から100年後の1924年(大正13年)11月29日上野の東京音楽学校でとなっています、が、本当の日本初演は、それより6年前の1918年徳島で行われていたのです。

1914年6月のサラエボ事件を発端として翌月第一次世界大戦が勃発しました。のちにイギリスも参戦し、日本は1905年に締結していた日英同盟の遵守と極東の平和回復のためドイツに戦線布告したのです。

そして当時中国の青島にいたドイツ軍を攻撃しました。
ドイツ軍は僅か5千、それに対して帝国海陸軍3万とイギリスの天津軍8千の前では、敵わぬとみて77日後に降伏。

こうしてドイツ将兵約4,500人が捕虜として日本に送られたのです。
当初日本には全国12ヵ所に収容所が設置されましたが、後に習志野(千葉県)、名古屋、青野原(兵庫県)、坂東(徳島県)、似島(広島県)の6か所に統合されました。

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徳島 坂東捕虜収容所と松江所長

この中のひとつ徳島県の坂東(現在の鳴門市大麻町桧)には約1,000人のドイツ人捕虜が送られました。

坂東収容所の所長だった人が、松江豊寿(まつえとよひさ1872-1956)でした。松江は旧会津藩士の子息で戊辰戦争で敗れ、その後朝敵の汚名の下、収容先で飢餓との闘いを余儀なくされ敗者の悲哀を嫌というほど味わったのです。

松江は、ドイツ人捕虜を受け入れるにあたり職員に次のように訓示したそうです。
「彼らは降伏人であるが、現時点で敗戦国民ではない。私の捕虜に対する方針は、博愛の精神と武士の情けをもって取り扱うつもりである。」


※坂東でのドイツ人と村の人たちとの交流風景。別冊太陽No.56 WINTER’86より

このため坂東収容所は、世界史でも例を見ない自由な雰囲気をもつ収容所となり、ヨーロッパ文化の花が咲き誇ったのでした。

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坂東収容所で第九の日本初演

そんな中、限られた楽器や環境にも関わらず音楽活動も行われ2つのオーケストラ(徳島オーケストラとエンゲル・オーケストラ)と2つの吹奏楽団、マンドリン楽団の計5つの楽団と2つの合唱団があり、定期演奏会も20回も30回も開催されたというから驚きです。

その集大成とも言うべき演奏会が、1918年6月1日に開催された第九のコンサートだったんです。
当時のプログラムによると徳島オーケストラと80人の男性合唱団、指揮はヘルマン・ハンゼン、独唱は4人の男性と書かれています。
混声4部の独唱と合唱をどのように歌ったか興味深いです。

なお第九のコンサートは、全曲のみならず、第1楽章だけとか第4楽章だけとでも演奏されていたようで、数回演奏されていた模様です。

収容所の捕虜の平均年齢は、1919年時点で29歳9ヵ月だったとか。収容された時点ではもっと若かったことから20代から30代前半の若者が中心でした。

収容所の中ではいくら自由と言っても戦争がいつ終わるかわからないし、いつここから出られるかもわからない状況。
彼らはベートーヴェンの第九を演奏し歌うことで明日への希望を持ち続けていたのではないかと思います。

その後、ドイツの敗戦と共に終戦となり1920年(大正9年)1月に全ての捕虜が祖国に戻り、坂東収容所も同年2月8日に閉鎖されました。

なおこの物語は2006年に『バルトの楽園』というタイトルで映画化されています。監督出目昌伸、出演松平健、高島礼子、阿部寛、國村隼他。

『バルトの楽園』(2006年)

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本ページの情報は2022年9月時点のものです。
最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
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なかなか感動的な映画に仕上がっています。U-NEXTでは見放題観られるのが嬉しいですね。

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ベートーヴェン第九初演の再現 シュペリング

さて、素晴らしい録音があります。
1924年5月7日に第九が初演された時のコンサートを再現したものです。
クリストフ・シュペリング指揮ダス・ノイエ・オルケスター他の演奏。シュペリングは音楽学者としても徹底的に研究し、例えがJ・S・バッハの『マタイ受難曲』をメンデルゾーンが100年ぶりに蘇演したものを再現したり、モーツァルトのレクイエムをモーツァルトの自筆部分だけを再現したりと興味深い録音を残しています。

しかも古楽器を使った演奏も素晴らしい。
ただ残念ながら現在CDは入手が難しいようです。

しかしAmazon Music Unlimitedで聴けるのは嬉しいです。

https://amzn.to/3wNOg9W

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第9番 ニ短調 「合唱付き」 Op. 125
Symphony No. 9 in D Minor, Op. 125, “Choral”

1.(13:47) I. Allegro ma non troppo, un poco maestoso
2.(13:13) II. Molto vivace
3.(11:13) III. Adagio molto e cantabile – Andante moderato
4.(21:41) IV. Finale: Presto – Allegro assai
total(59:54)

作詞 : フリードリヒ・フォン・シラー – Friedrich von Schiller
クラウディア・バラインスキー – Claudia Barainsky (ソプラノ)
ゲルヒルト・ロンベルガー – Gerhild Romberger (アルト)
Ray M. Wade junior (テノール)
ダニエル・ボロフスキ – Daniel Borowski (バス)
ケルン・ムジクス合唱団 – Cologne Musicus Choir
ダス・ノイエ・オルケスター – Neue Orchester, Das
クリストフ・シュペリング – Christoph Spering (指揮)
録音: 15-17 June 2007, Essener Philharmonie, Germany

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」 Op. 125 /ミサ・ソレムニス(抜粋)(ノイエ・オルケスター/シュペリング)

1824年5月7日、ウィーンで第9の初演が行われた際のプログラムをそのまま復元した演奏会です。オリジナル楽器オーケストラの最高峰によるベートーヴェンをお聴きください。艶やかな弦の響きと軽快なテンポに思わず心惹かれます。研究家としても名高いシュペリングの指揮は、細かいところまで心配りの行き届いた説得力のある演奏。後半若干アンサンブルに乱れが生じますが、それもご愛敬と言えるでしょう。CD紹介文より



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