こんにちは、
ともやんです。
2009年にスロベニアの名指揮者アントン・ナヌートが紀尾井シンフォニエッタ東京の招きで初来にした際の録音です。
来日するまでは、その実像は不明で、幻の指揮者とまで言われていたそうです。
しかし、初来日で聴かせてくれたベートーヴェンで、幻どころか、貴重な巨匠指揮者だということがわかりました。
ナヌート&紀尾井シンフォニエッタ ベートーヴェンの運命
なんと言う気負いのなさ。
淡々と進めていくベートーヴェンの”運命”は、こんなに端正で格調の高い曲だったんだ、と認識させてくれた演奏です。
ベートーヴェンの”運命”というと名曲中の名曲。だから演奏する方としては却って難しいのでしょうか。
歴代のフルトヴェングラーやトスカニーニの録音は、力の入りようは尋常ではありません。
一方、この曲の持つ構成美を表現しようと思えば、返って詰まらない演奏になりそうです。
ピリオド奏法スタイルの演奏も颯爽として良いのですが、何か物足りない。
またこの曲は、コンサートでガンガン行けば、それなりに畳みかける終楽章で興奮はします。
でもナヌートは、最後まで落ち着き払った演奏で、それがかえって風格があり、味わいとなり心に残る演奏となります。
チャイコフスキーの悲愴 最後の巨匠アントン・ナヌートの遺産
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なお、上は僕が、約3年前にこのブログでナヌートを取り上げた記事です。合わせて読んで頂ければ幸いです。
また、このCDに収録されている「プロメテウスの創造物」序曲も運命同様気負いのない味わい深い演奏。
※スロベニアの風景
そして最後に収録されているスロベニアの作曲家スラヴコ・オステルツ(1895-1941)の曲は、深い感動を与えてくれます。
ぜひ、聴いて欲しい1枚です。
ナヌート&紀尾井シンフォニエッタ ベートーヴェン交響曲第5番、他
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第5番 ハ短調 「運命」 Op. 67
Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67
1.(07:36) I. Allegro con brio
2.(10:45) II. Andante con moto
3.(05:45) III. Allegro –
4.(11:23) IV. Allegro
total(35:29)
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バレエ音楽「プロメテウスの創造物」 Op. 43 – 序曲
Die Geschopfe des Prometheus (The Creatures of Prometheus), Op. 43: Overture
5.(05:21) Die Geschopfe des Prometheus (The Creatures of Prometheus), Op. 43: Overture
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スラヴコ・オステルツ – Slavko Osterc (1895-1941)
6.(05:27)オーケストラのための組曲 – レリジオーソ
Suite for Orchestra: I. Religioso
紀尾井シンフォニエッタ東京 – Kioi Sinfonietta Tokyo
アントン・ナヌート – Anton Nanut (指揮)
録音: 17-19 December 2009, Kioi Hall, Tokyo, Japan
ベートーヴェン: 交響曲第5番「運命」, 序曲「プロメテウスの創造物」 Op.43, 他 アントン・ナヌート 紀尾井シンフォニエッタ東京
これぞ、王道のベートーヴェン!
幻の巨匠と言われていたアントン・ナヌートがそのベールをついに脱いだ初来日記念アルバム。
スロヴェニア放送響とともに約150タイトルを録音したアントン・ナヌートの初来日記念アルバムがエクストン・レーベルから登場です。彼の熟練されたキャリアを感じさせるオーソドックスなベートーヴェンと紀尾井シンフォニエッタ東京の緻密で豊かな表現力が見事にマッチし、室内オーケストラでありながら重厚な音圧となって迫ります。
オクタヴィア・レコード
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