こんにちは、
ともやんです。
チェリビダッケが、1996年6月4日、まさに亡くなる約2ヵ月前のベートーヴェン交響曲第2番のライブが凄いです。
カラヤン時代、ベルリンフィル史から抹殺同様の扱いを受けながら到達して境地と言えます。
セルジュ・チェリビダッケ(1912-1996)ルーマニア生まれのドイツで活躍した指揮者。
戦後の混乱の中、フルトヴェングラーが指揮活動できない中、
ベルリンフィルを支えた指揮者で実質4代目常任指揮者とする意見もあります。
中学2年生の1971年から今日まで、クラシック音楽ファンとして50年近く聴いてきましたが、
恥ずかしながら、チェリビダッケの名前を知ったのは、ここ数年のことでした。
しかし、そのおどろおどろしい風貌とブルックナー演奏における評論など聞いて、なかなか聴くがおきず、わずかにベルリンフィル時代の古い録音(ショスタコーヴィッチ第7番、メンデルスゾーン「イタリア」)を聴いたくらいでした。
でも、一冊の本と1セットのCDボックス(14枚セット)と出会ったことをきっかけにしっかり聴いてみようと思うようになりました。
そこでまず、僕の好きなベートーヴェンから、チェリビダッケ最晩年のライブ録音から、
ベートーヴェン交響曲第2番をご案内します。
参照文献:「クラシック音楽鑑賞事典」神保璟一郎著(講談社学術文庫)、
「クラシック名盤この一枚」中野健、他著(光文社・知恵の森文庫)
チェリビダッケの名盤 最晩年のベートーヴェン第2番
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第2番 ニ長調 Op. 36
Symphony No. 2 in D Major, Op. 36
1.(12:50) I. Adagio molto – Allegro con brio
2.(14:05) II. Larghetto
3.(05:03) III. Scherzo: Allegro
4.(07:19) IV. Allegro molto
total(39:17)
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 – Munich Philharmonic Orchestra
セルジュ・チェリビダッケ – Sergiu Celibidache (指揮)
録音:1996年6月4日ミュンヘンでのライブ録音
ザ・ミュンヘン・イヤーズ<限定盤> セルジュ・チェリビダッケ ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
この演奏として盤鬼こと評論家・平林直哉氏のコメントが印象的です。
このベートーヴェンは、よそよそしいと思われるほど客観的に作品をとらえたものだ。
ともかく、これほどきちんとスコアを追い、それを団員に十分に納得してもらいながら、
聴き手にもわかりやすく説明したような演奏はほかにあるまい。
普通、このようにやると饒舌だったり、単に刺激的だったりするが、ここでは本当に豊かで、きれいで、温かい響きにどっぷりと浸かれるのだ。
テンポも、異論があるとすれば第3楽章だけで、決して大げさに遅くはない。
チェリをいまだに偏屈で口先だけのカリスマだと思っている人には、この正攻法のお手本のような演奏を聴いてほしい。
平林氏のチェリビダッケを偏屈で口先だけのカリスマと思っている人に、僕は多少入っているかもしれません。
自分で聴く前に、特にブルックナーに関して、そんなコメントを読んだりしていたからです。
でも、百聞は一聴にしかず、チェリビダッケのこのベートーヴェンを聴いて、認識を新たにしました。
ベートーヴェン交響曲第2番とは
1802年、ベートーヴェン32歳の時の作品です。
耳疾を養うためにハイリゲンシュタットに行き、自然の中に孤独の生活をしたときの作品で、音楽家の生命ともいうべき聴覚は奪われんとし、恋にも破れ、みじめな心境の中に遺言までも書いたときの作品です。
絶望の断崖を乗り越え、崇高な解脱の世界に進んだベートーヴェンが、静かな境地から得た傑作です。
1803年4月5日ウィーンにて初演が行われました。
演奏回数などは、第1番の方が多いようですが、伝統を踏襲した1番からベートーヴェンらしさが飛躍的に向上した曲です。
第3番“英雄”を革新的傑作とみる風潮もありますが、この第2番こそ、ベートーヴェンとして自己主張を行った最初の交響曲だと僕は思います。
だから、隠れた名曲として名演の名盤も数多くあります。
また改めてそれはご案内します。
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