こんにちは、
ともやんです。
ブラームスの生誕190年を記念してブラームスの作品を取り上げています。
慎重で丁寧に作品を創り上げるブラームスだけに駄作がなく、4つの交響曲、そしてヴァイオリン、ピアノ協奏曲と聴いてきましたが、本当の一曲、一曲考え抜かれて作られているなと改めて感動しました。
さて、今日はピアノ協奏曲第2番です。
ブラームス ピアノ協奏曲第2番について
ブラームスのピアノ協奏曲第2番は、渋いながらも華麗なピアノを楽しめ、また重厚ながらロマンティシズムを湛えた旋律と管弦楽法で、ピアノ協奏曲の中でも最高峰の一つだと思います。
1881年草稿のままブラームス自身の独奏でブダペストで初演されました。ただこの作品のアイデアは数年前からあったようで、出版も翌年の1882年でした。
ブラームスの協奏曲全体に言える傾向ですが、それぞれの独奏楽器が活躍する交響曲という趣があります。
この作品は、協奏曲の通例である3楽章形式ではなく、交響曲のような4楽章形式。
しかも通常緩徐楽章を第2楽章に置きますが、この曲では第3楽章です。
それにこの第3楽章こそ、ブラームスらしく甘美なチェロの独奏で始まり終始チェロが活躍し、ピアノは脇役に徹する趣です。
ちょうどジャズのトリオやカルテットで、それぞれ主役と脇役が入れ替わる感じです。
ですので、ピアノ独奏を伴った交響曲という性格がより顕著で、しかもピアノは雄弁ではなくても技巧的には至難のもので、かつてある評論家は「ピアニストの汗と血を要求する至難の協奏曲だ」と評したそうです。
しかし、それだけに内容は充実していて聴いた後の充実感もたっぷり味わえる傑作です。
ラルス・フォークトについて
今回取り上げたピアニスト、ラルス・フォークトは、1970年9月8日生まれ、独・デューレン出身のクラシック・ピアニストで指揮者。
90年のリーズ国際コンクールで2位となるも、審査員のサイモン・ラトルが「1位であるべき」と主張して話題になったほどの逸材です。
以来、欧米を中心に、一流指揮者やオーケストラと共演しながら精力的な演奏活動を展開。2003年にベルリン・フィル初のレジデント・ピアニストに、2015年よりロイヤル・ノーザン・シンフォニアの指揮者、2020年よりパリ室内管の音楽監督など要職を務め、時代考証を踏まえた新鮮な解釈と確かな技術で高い評価を得ていました。
98年に初来日、2018年のラ・フォル・ジュルネTOKYOが最後の来日になったのです。
なんと2022年9月5日にエアランゲンの自宅で死去。
まだ51歳でした。
フォークトの名前は知っていたし、CDも聴いていましたが、亡くなっていたとは。。。
心よりご冥福をお祈りし、彼の演奏をもっと聴いて紹介していきたいと思います。
このブラームスのピアノ協奏曲第2番も素晴らしい演奏で、冒頭ホルンの続いて弾かれるピアノの響きからぞくぞくさせてくれる演奏です。
ぜひ、聴いてほしい名演です。
フォークト ブラームス ピアノ協奏曲第2番
ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 Op. 83
Piano Concerto No. 2 in B-Flat Major, Op. 83
1.(17:43) Ⅰ Allegro non troppo
2.(09:05) Ⅱ Allegro appassionato
3.(10:31) Ⅲ Andante
4.(09:23) Ⅳ Allegretto grazioso
total(46:42)
ラルス・フォークト – Lars Vogt (ピアノ)
ロイヤル・ノーザン・シンフォニア – Royal Northern Sinfonia
録音: 15-16 February 2019, Sage Gateshead Concert Hall, United Kingdom
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番(フォークト/ロイヤル・ノーザン・シンフォニア)
ブラームスのピアノ協奏曲第2番は、1881年の初演以来、数多くのピアニストや評論家たちが”最も難しいピアノ曲の一つ”と数えるほど、雄大な楽想の中に分厚い和音と複雑なパッセージが続出、ピアノ・パートを演奏するだけでも大変な作品です。
もちろんオーケストラ・パートも極めて緻密に書かれています。ここでのフォークトは、ピアノもオーケストラも対等に扱い、息もつかせぬ展開を繰り広げる怒涛の音楽を聴かせます。
イタリア旅行で得た印象が映し出されているという変幻自在な楽想を持つ第1楽章を難なくこなし、ユニークな味わいを持つ第2楽章での諧謔的な表現を経て、独奏チェロを伴う第3楽章アンダンテでは、チェロをたっぷりと歌わせながら、ゆったりとした美しい旋律を楽しませ、軽やかな旋律で始まる終楽章では密度の高い演奏を聴かせます。
同時収録されているのは「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」。バロック時代の巨匠への尊敬の意が込められたこの作品には、ブラームスの巧みな作曲技法が示されており、とりわけフーガでの対位法の扱いが見事です。ベートーヴェンを得意とするフォークトならでは考え抜かれた演奏が作品を引き立てています。
コメント