こんにちは、
ともやんです。
オトマール・スウィトナー(1922-2010)は、オーストリア・インスブルック生まれの名指揮者。
モーツァルテウムで指揮をクラウスに学ぶ、1960年ドレスデン国立歌劇場総監督。1964年ベルリン国立歌劇場総監督。1964年バイロイト音楽祭登場。
1971年初来日し、N響を振る。2年後には、N響の名誉指揮者となる。
1988年、ウィーン音楽大学指揮科主任教授。
簡単な経歴を見ても凄い人とわかります。
僕は、1970年代にスウィトナーが、NHK交響楽団の指揮者になったとき、その指揮姿を初めてみました。
中学生には、お世辞にもカッコいい指揮者としては映りませんでした。
そして、中学生になると部活や友達と遊ぶことも多くなり、次第にN響の番組もテレビで観ることもなくなりました。
スウィトナー 名盤 ブラームス交響曲全集
僕の中では、スウィトナーのことはすっかり忘れていた頃、1991年に出た、宇野功芳氏の『交響曲の名曲・名盤』を読んで、宇野氏が、スウィトナーのブラームスを高く評価していたからです。
この人のブラームスは、そんなにいいのか、とCDを買い求め、特に最初に聴いた第3番には、感服しました。
中学生のころ、TVで観たちょっとせかせかした指揮姿から想像する音楽とは全く違う、深い呼吸の音楽で、ブラームスを深々と堪能できる演奏だったのです。
そして、今回改めて聴き直すと、その深々として奥行きのある音楽に接し、ああ、なんてブラームスって素晴らしんだろう、と深い感銘を与えてくれるのです。
嬉しいことにタワーレコードでは、一部、取り寄せとなりますが現役として残っています。
ぜひ、スウィトナーの滋味あふれるオーソドックスな演奏に接して、観も心も音楽に浸してください。
やはり、ブラームスは、正統派の安定感のある演奏が安心して聴けますね。
スウィトナー&シュターツカペレ・ベルリン ブラームス交響曲全集
ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
交響曲第1番 ハ短調 Op. 68
Symphony No. 1 in C Minor, Op. 68
1.(16:23) I. Un poco sostenuto – Allegro
2.(08:44) II. Andante sostenuto
3.(04:56) III. Un poco allegretto e grazioso
4.(17:48) IV. Adagio – Piu andante – Allegro non troppo ma con brio
total(47:51)
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ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
交響曲第2番 ニ長調 Op. 73
Symphony No. 2 in D Major, Op. 73
1.(20:16) I. Allegro non troppo
2.(11:06) II. Adagio non troppo – L’istesso tempo, ma grazioso
3.(05:29) III. Allegretto grazioso (quasi andantino) – Presto ma non assai
4.(09:34) IV. Allegro con spirito
total(46:25)
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ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
交響曲第3番 ヘ長調 Op. 90
Symphony No. 3 in F Major, Op. 90
1.(14:14) I. Allegro con brio – Un poco sostenuto
2.(08:51) II. Andante
3.(06:16) III. Poco allegretto
4.(09:25) IV. Allegro – Un poco sostenuto
total(38:46)
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ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
交響曲第4番 ホ短調 Op. 98
Symphony No. 4 in E Minor, Op. 98
1.(12:59) I. Allegro non troppo
2.(12:13) II. Andante moderato
3.(06:08) III. Allegro giocoso – Poco meno presto
4.(10:44) IV. Allegro energico e passionato – Piu allegro
total(42:04)
シュターツカペレ・ベルリン – Berlin Staatskapelle
オトマール・スイトナー – Otmar Suitner (指揮)
あとの「第四」に通じる、人生の秋のようなわびしさを秘めた演奏である。柔らかく上品でほの暗い響き、いじらしいほどの繊細さと夕映えのはかなさ、胸をいっぱいにして弾いている奏者たち、ともかく音色に心がこもっている。
宇野功芳、「第二」評より
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遅めのテンポから悠々たる足どりを見せ、スケールの大きいりっぱな響きを出し、深い呼吸を持って演奏している。中間の二楽章は自然な流れのなかに素直な情緒をただよわせ、両端楽章は充実感とともにきれいごとでないバランスによって、渋すぎないブラームス像を描き出している。
宇野功芳、「第三」評より
最後に
実を言うと、最初に聴いた時は、かなり地味な演奏だなと思いました。
特別なことは何もしていないのです。ただ、そこのは音が鵜があるだけという感じでした。そんな中でも、第三番の深々とした息つかいには、他の演奏に無い、なにか深淵なものを感じたものです。
今回、改めて聴き直しました。
やはり、第三番が最高!
それに次いで、第二番と第四番は、僕自身が60歳を過ぎたことでよりしみじみ感じる演奏です。
第一番は、曲想からでしょうか、この4つの演奏の中でももっとも激しい感情の高ぶりがあります。特にそれは終楽章の序奏部分に現れています。
ブラームスの交響曲全集は、それこそベートーヴェンに次いで多く出ていると思いますが、スウィトナー&シュターツカペレ・ベルリンのCDを選ぶとその他の凡百の演奏が物足りなくあると思います。
超おすすめの名演です。
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