こんにちは、
ともやんです。
ルドルフ・ケンペは、ドイツの名指揮者で1910年6月14日に生まれ、1976年5月12日に死去しました。長寿の多い指揮者の中では、65歳での逝去はむしろ短命で、しかもこれから円熟期を迎えると思われていていただけに残念です。
堅固な構成感、優れたバランス感覚、作品への深い理解力でその誠実な演奏は、亡くなって50年近く経ちますが、色褪せることはありません。
むしろ時代に伴う演奏スタイルの変化を越えて、古さを感じさせない永遠の感動が伝わります。
ブラームス ヴァイオリン協奏曲について
ブラームスは、ロマン派を代表する作曲家で実力者です。
管弦楽曲部門では4つの交響曲、2つのピアノ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲、ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲、ハイドンの主題による変奏曲など大傑作は並んでいます。
どの曲も構成力の堅固な充実度の高い作品ですが、どちらかという渋くて気難しい印象があります。
その中で、第2交響曲とヴァイオリン協奏曲は比較的開放的で伸びやかな印象を受けます。
さて、この2つの作品は、1877年と78年に作曲されました。
ブラームスが、44歳から45歳の時です。
何があったのでしょうか?
実は、ブラームスは、1877年から79年に掛けて夏の期間、ウィーンを離れてユーゴスラヴィアの国境に近い、ヴェルタ―湖畔のペルチャハへ出掛けていたのです。
「ここは最高に素晴らしい。湖と森、そしてその向こうには碧い山波ときらめく純白の雪」とブラームスを興奮させるような風光明媚な地でした。
そんな素敵な場所で夏を過ごしてブラームスの創作意欲も盛んになったと思われます。
その結果、ブラームスの傑作の中でも幸福感豊かな作品が出来たのでしょう。
ただ交響曲第2番は3ヵ月ほどの短期間で完成していますが、ヴァイオリン協奏曲は2つの理由で時間が掛かりました。
ひとつは、交響曲と同じようにベートーヴェンを意識して作曲したこと。ちなみにベートーヴェンも1曲だけ作っていますが、同じニ長調で共通しています。
次のブラームスはピアノの名手でしたが、ヴァイオリンに関しては詳しくなく、友人の名ヴァイオリニスト、ヨアヒムに助言を求めてやり取りがあったためです。
ヨアヒムは、好意的に受け止めましたが、慎重なブラームスはヨアヒムの初演後も何度も推敲を重ねたそうです。
しかし、ヨアヒム始め何人かのヴァイオリニストにより演奏され、初演ではいまいちの評価でしたが、次第に認知されて行きました。
今ではベートーヴェンの並び称される傑作とされています。
あの諏訪内晶子さんもこの2曲に対しては慎重で、まだ録音されていなかったと思います。
メニューインとケンペの共演は、なんと言ってもメニューインの高潔なヴァイオリンとケンペ&ベルリン・フィルの充実した響きが魅力です。
メニューイン ケンペ ブラームス ヴァイオリン協奏曲
ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op. 77
Violin Concerto in D Major, Op. 77
1.(22:51) I. Allegro ma non troppo (cadenza by F. Kreisler)
2.(09:58) II. Adagio
3.(08:22) III. Allegro giocoso, ma non troppo vivace
total(41:11)
ユーディ・メニューイン – Yehudi Menuhin (ヴァイオリン)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – Berlin Philharmonic Orchestra
ルドルフ・ケンペ – Rudolf Kempe (指揮)
録音: 1957
ブラームス: ヴァイオリン協奏曲(1957年ステレオ録音)、ハイドンの主題による変奏曲(1956年モノラル録音)<タワーレコード限定>
1957年9月にベルリンのグリューネヴァルト教会で収録されたメニューインによるブラームスを世界初SACD化。
品位があり高度な精神性も有した名盤として名高いこの演奏は、ケンペとベルリン・フィルによる職人的とも言える技量に支えられ、歴史的にも重要な音源として位置付けられています。
併録として1956年モノラル録音の”ハイドン変奏曲”をカップリング。本国のオリジナル・アナログ・マスターテープから192kHz/24bitでデジタル化したマスターを用い、SACD層、CD層別々にマスタリング。新規解説付。永久保存盤です。
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