オーストリア・ザルツブルク出身の
ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908-1989)、
東京に生まれ、のちに関西中心に活躍した
朝比奈隆(1908-2001)、
今年共に生誕110年を迎えました。
僕の50年近いクラシック音楽人生は、
この二人を置いては語れません。
今年もあと1ヵ月と数日となりましたが、
この20世紀を代表する二人の巨匠について
聴き較べをしながら、語りたいと思います。
クラシック音楽の中心地、モーツァルトの故郷である
ザルツブルクで生まれたカラヤンと
クラシック音楽後進国の極東で生まれ、
僅かな期間サラリーマンも経験した朝比奈隆。
生い立ちも経歴も全く違う二人の芸術の深部に迫るは
難しいとしてもその演奏スタイルの違いから、
二人の目指したものを少しでも感じ取りたいと思います。
ブルックナー交響曲第1番 数ある第1番でも最高峰!
交響曲の第1番の名曲というと多くの人は、
ブラームスをまず挙げるのではないでしょうか?
もしかしてマーラーを上げる人もいると思います。
やはりベートーヴェンだよと言う人もいるでしょう。
僕と同じようにブルックナーだと、
言う人も少しいるかもしれません。
ブルックナーもブラームスのように奥手で、
この第1番も40歳を過ぎて完成しています。
しかし、ブルックナーの第1番は、実際には3番目で修作として00番と0番があります。
だから十分経験を積んでからの曲なので、
スケール面、曲想の豊かさなど、
音楽史上最高の第1交響曲と言って
過言ではありません。
少なくても僕はそう思います。
カラヤン指揮ベルリンフィルハーモニー ブルックナー交響曲第1番
アントン・ブルックナー – Anton Bruckner (1824-1896)
交響曲第1番 ハ短調 WAB 101 (1877年リンツ稿・ノヴァーク版)
Symphony No. 1 in C Minor, WAB 101 (1877 Linz version, ed. L. Nowak)
1.(12:53)I. Allegro
2.(14:17)II. Adagio
3.(08:54)III. Scherzo: Schnell
4.(14:27)IV. Finale: Bewegt, feurig
total(50:31)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – Berlin Philharmonic Orchestra
ヘルベルト・フォン・カラヤン – Herbert von Karajan (指揮)
録音:1981年
ブルックナー:交響曲第1番 – 第9番(ベルリン・フィル/カラヤン)
ブルックナー:交響曲全集(9CD)
1975~81年ステレオ&デジタル録音。スタイリッシュなブルックナー演奏の極致を聴かせた巨匠、カラヤンならではのブリリアントな大傑作がこのセット。
カラヤンは全曲一貫した方法論によって、ブルックナーのスコアからきわめて壮麗な音楽を引き出しており、当時絶頂期にあった同コンビの凄まじいまでのヴィルトゥオジティもあって、全体の仕上がりは正統派(?)ブルックナー党が目をむくようなゴージャスなものとなっているのが特徴。
最強コントラバス部隊の凄い低音に加え、雷のようなティンパニが轟きわたる第5番は中でも最高の聴きものと言えるでしょう。録音も優秀。これは病み付きになります。タワーレコードスポンサーリンク
朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団 ブルックナー交響曲第1番
アントン・ブルックナー – Anton Bruckner (1824-1896)
交響曲第1番 ハ短調 WAB 101 (ハース版)
Symphony No. 1 in C Minor, WAB 101 (ed. R. Haas)
1.(12:47)I. Allegro
2.(12:25)II. Adagio
3.(09:42)III. Scherzo: Schnell
4.(14:33)IV. Finale: Bewegt, feurig
total(49:27)
大阪フィルハーモニー交響楽団 – Osaka Philharmonic Orchestra
朝比奈隆 – Takashi Asahina (指揮)
録音時期:1994年5月15-17日
録音場所:大阪フィルハーモニー会館
ブルックナー: 交響曲全集(0-9番)、アダージョ第2番、「朝比奈隆ブルックナーを語る」<タワーレコード限定>
朝比奈隆が長年の手兵である大阪フィルを指揮して1990年代前半にレコーディングしたこの全集は、「ポニーキャニオンのブルックナー全集」として名高いもので、音質条件の良いものが多いことでも知られています。さらに、晩年の朝比奈ならではの肩肘張らない自然体の解釈が示されているという点でも注目される内容となっています。(HMV)
※この全集に収録されている第1番は、今回取り上げた録音とは別です。
取り上げた録音は、amazonで購入可能です。↓↓↓
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まとめ
カラヤンも朝比奈隆も共に手兵のオーケストラを指揮しての録音です。
特徴が良く出ていて、最初にカラヤンを聴いたのですが、
そのスタイリッシュでゴージャスな演奏に圧倒されました。
ただ、カラヤンは常にまじめに全力投球をする人で、
それがちょっと息が詰まるという印象にもなってしまいます。
一方、朝比奈隆も、まじめな職人気質ですが、
もっと自然で飄々とした感じが良い感じで大らかな印象を与えてくれます。
カラヤンの演奏を聴き終わると疲労感がありますが、
朝比奈の演奏は、もう一度聴きたいと思ってしまうのです。
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