こんにちは、
ともやんです。
不世出の天才作曲家モーツァルトは、1791年12月5日に35歳の若さで世を去りました。
そして最後に彼が手掛けていたの曲は、K.626のレクイエムです。
このレクイエムの作曲のきっかけは、ある不気味な来訪者の依頼からでした。
無くなる年の6月か7月、モーツァルトの家に1人の男が訪ねてきました。
その男はネズミ色のマントを羽織り、あたりを憚る様子で、モーツァルトに一曲のレクイエムの作曲の依頼をしました。
また報酬は弾むので、依頼主の名前は聞かないでほしいとも告げました。
モーツァルトは自分のためのレクイエムとして作曲を始める
既に病身で先は長くないと感じていたモーツァルトは、この男を死神からの使者と思い、自分自身のためにレクエイムの作曲を始めました。
しかし、モーツァルトは、このレクイエムを完成させることはなく12月5日に息を引き取ったのです。
亡くなる前、モーツァルトは、弟子のジェスマイヤーに未完部分の指示を与えていました。
モーツァルトの死後、92年の中頃、ジャスマイヤーは曲を完成させました。
また、不気味な依頼者もわかりました。
モーツァルトの家を訪ねたのは、ワルゼック伯爵に友人で、この伯爵はプロの作曲家に曲を依頼し、それを手に入れると楽譜を書き直して自分の作品として発表するの趣味としていたのです。
人騒がせな趣味ですが、いまだと大問題ですね。
ベーム モーツァルトのレクイエム 56年ウィーン響と
往年の名指揮者カール・ベームは、1894年オーストリアのグラーツに生まれ、1981年に86歳で亡くなっています。
数回来日し、70年代では、カラヤン以上の人気を博していました。
ベームの名盤となるとたくさんありますが、このモーツァルトのレクエイムも往年の指揮者の中では群を抜いた出来栄えで、古楽器演奏以外では、代表的な名盤です。
僕のように古楽器演奏が台頭する前からこの演奏を聴いている人間にとっては、やはりベームだよな、というのが正直な気持ちです。
ところがベームを超えるのはベームしかいなかったとばかり、56年のウィーン交響楽団との演奏を聴いて、僕はいままでの考えを改めました。
つまりこのウィーン響との演奏は、その造形の厳しさ、演奏の迫力は、71年4月のウィーンで録音したものを超えていると思います。
もちろん、録音の優秀さやスケールの大きさ、独唱者の出来などで、ウィーンフィル盤が勝っている部分もありますが、
何と言っても録音当時62歳のベームの気迫には負けます。
正直どちらもおすすめです。
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ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト – Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
レクイエム ニ短調 K. 626
Requiem in D Minor, K. 626
作詞 : ミサ典礼文 – Mass Text
1.(06:04)Introit: Requiem aeternam (Chorus)
2.(03:03)Kyrie eleison (Chorus)
3.(01:56)Sequence No. 1: Dies Irae (Chorus)
4.(03:59)Sequence No. 2: Tuba mirum (Soprano, Alto, Tenor, Bass)
5.(02:59)Sequence No. 3: Rex tremendae majestatis (Chorus)
6.(06:21)Sequence No. 4: Recordare, Jesu pie (Soprano, Alto, Tenor, Bass)
7.(03:15)Sequence No. 5: Confutatis maledictis (Chorus)
8.(04:10)Sequence No. 6: Lacrimosa dies illa (Chorus)
9.(04:07)Offertory No. 1: Domine Jesu Christe (Chorus)
10.(05:05)Offertory No. 2: Hostias et preces (Chorus)
11.(01:30)Sanctus (Chorus)
12.(06:19)Benedictus (Soprano, Alto, Tenor, Bass)
13.(04:32)Agnus Dei (Chorus)
14.(06:57)Communion: Lux aeterna (Soprano, Chorus)
total(60:17)
テレサ・シュティッヒ=ランダル – Teresa Stich-Randall (ソプラノ)
イラ・マラニウク – Ira Malaniuk (ソプラノ)
ワルデマール・クメント – Waldemar Kmentt (テノール)
クルト・ベーメ – Kurt Bohme (バス)
ウィーン国立歌劇場合唱団 – Vienna State Opera Chorus
ウィーン交響楽団 – Vienna Symphony Orchestra
カール・ベーム – Karl Bohm (指揮)
録音:1956年
モーツァルト:レクイエム ニ短調 K. 626 (ウィーン国立歌劇場合唱団/ウィーン響/ベーム)
ベーム モーツァルトのレクイエム 71年ウィーンフィル
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト – Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
レクイエム ニ短調 K. 626
Requiem in D Minor, K. 626
作詞 : ミサ典礼文 – Mass Text
1.(09:39)Introit: Requiem aeternam – Kyrie eleison
2.(02:00)Sequence No. 1: Dies Irae (Chorus)
3.(04:19)Sequence No. 2: Tuba mirum (Soprano, Mezzo-soprano, Tenor, Baritone)
4.(03:12)Sequence No. 3: Rex tremendae majestatis (Chorus)
5.(07:06)Sequence No. 4: Recordare, Jesu pie (Soprano, Mezzo-soprano, Tenor, Baritone)
6.(03:53)Sequence No. 5: Confutatis maledictis (Chorus)
7.(04:10)Sequence No. 6: Lacrimosa dies illa (Chorus)
8.(04:40)Offertory No. 1: Domine Jesu Christe (Chorus)
9.(05:06)Offertory No. 2: Hostias et preces (Chorus)
10.(01:58)Sanctus (Chorus)
11.(06:54)Benedictus (Soprano, Mezzo-soprano, Tenor, Baritone)
12.(11:29)Agnus Dei (Chorus) – Communion: Lux aeterna (Soprano, Chorus)
total(64:26)
エディット・マティス – Edith Mathis (ソプラノ)
ユリア・ハマリ – Julia Hamari (メゾ・ソプラノ)
ヴィエスワフ・オフマン – Wieslaw Ochman (テノール)
カール・リッデルブッシュ – Karl Ridderbusch (バス)
ウィーン国立歌劇場合唱団 – Concert Association of the Vienna State Opera Chorus
ハンス・ハーゼルベック – Hans Haselbock (オルガン)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
カール・ベーム – Karl Bohm (指揮)
録音:1971年4月、ウィーン
モーツァルト:レクイエム(マティス/ハマリ/オフマン/ウィーン・フィル/ベーム)
ベームが敬愛し、且つ得意としたモーツァルト。多くの録音はいずれも高く評価されています。この《レクイエム》は、1956年のウィーン交響楽団とのモノラル録音につぐ2度目のもので、信頼厚いウィーン・フィルとともに、ロマン的な感傷や過度の表情付けを排し、造形感を重んじた格調の高い感動的な名演を成し遂げています。
ユニバーサル ミュージック
ベームのモーツァルト:レクィエム
1971年4月、ムジークフェラインザールにおけるステレオ録音。昨今の古楽風モーツァルト演奏とは正反対のいわゆる 重厚長大型”の極致を示す有名な演奏です。
「死者のためのミサ曲」にふさわしい、息長く悲痛なその進行には、有無を言わせず聴き手の心を動かす力が確かに備わっており、深みある色彩を湛えるウィーン国立歌劇場合唱団の力唱が、ジュスマイヤー完成部分でさえきわめて雄弁に聴かせてくれるのが印象的。ソリストも高水準で、エディット・マティスの美しい高音域にユリア・ハマリの清楚な歌唱、カール・リッダーブッシュの深く温かみのある声、ヴィエスワフ・オフマンのスタイリッシュな歌唱と、4人とも実に魅力的な仕上がり。特にマティスの美声は素晴らしく、第1曲から感動的です。
ウィーン・フィルも見事です。長年の演奏経験により、モーツァルトを知り尽くした楽員たちが奏でる共感に満ちた演奏からは、やはり大きな伝統の力を感じることができますが、通常よりもそうした味わいが濃く感じられるのは、ベームにより拡大されたフォルムの影響でしょうか。細部に至るまで陰影豊かな表現が、ムジークフェラインの響きを得ていっそう説得力を増しているようです。補助マイクのセッティングも効果的だったのでしょう。ここでは実に深い響きがします。
HMVのHPより
まとめ
70年代、あれだけ人気のあったベームが、その死後、忘れられた存在になってきている、という記事を見たことはあります。
へえ、そうなんだ、と思いながら、僕はベームのCDを良く聴いています。
僕は、後年のウィーンフィルとの演奏も良いと思いますが、50年代から60年代のベルリンフィルとの録音が忘れがたいです。
ベートーヴェン、ブラームス、モーツァルトといい、ベルリンフィルとの厳しい演奏は、僕はベームの本質を捉えていると思います。
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