こんにちは、
ともやんです。
今年は、年初から朝比奈隆、カラヤンの生誕110年だな、と思っていたら、アンチェルも同い年だということで、同じく生誕110年なのです。
3人の中では、アンチェルがもっとも短命で、35年前の1973年にカナダのトロントで病で亡くなっています。
また、三人に共通しているのが、第二次世界大戦からの生還です。
朝比奈とカラヤンは、共に敗戦国の国民として、生命の危険に瀕しながらも戦後を迎え、大きく活躍の場を広げました。
この三人の中では、ユダヤ系ということもあり、アンチェルがもっとも凄惨な体験をしています。
このブログのアンチェルの“新世界より”にその件に触れていますので、こちらを読んでみてください。
↓ ↓ ↓
アンチェルの名盤 チェコフィルとの最高の”新世界より”は聴くべし
今日は、アンチェルとチェコフィルの残した多くの名演の内、マーラーの交響曲第1番“巨人”を聴きましたので、その感想を書きたいと思います。
参考文献:「クラシックは死なない あなたの知らない新名盤」松本大輔著
「演奏家別クラシック・レコード・ブックVol.1指揮者篇」レコード芸術・別冊
グスタフ・マーラー交響曲第1番“巨人”
グスタフ・マーラーは、1860年のチェコのカリシュトに生まれました。
4歳のころ、アコーディオンで軍隊の行進曲を弾いたりしましたが、まもなくピアノを習い始め、7歳では年下の友人たちにピアノを教えるほどの早熟ぶりでした。
15歳のとき、ウィーン音楽院に入学し3年間在学。
1880年20歳のとき、北オーストリア地方の夏期劇場の指揮者になりました。
これを振り出しにライバッハ、オルミッツ、カセル、プラハ、ライプチヒと、各地の楽団の指揮者を歴任し、次第に名声を高め、1888年、ブダペスト王立歌劇場の音楽長に就任。
1891年にはハンブルク歌劇場に移り、97年まで在任。
その間、ドイツ歌劇団をつれてロンドンに赴き、ドイツ歌劇を指揮して好評を博しました。
1897年、ウィーン国立歌劇場の指揮者に就任。
ついで音楽総監督となり、1907年まで在職しました。
1907年には、ニューヨークのメトロポリタンに招かれて同歌劇場の指揮者となり、1908年から11年までの3シーズン、ニューヨーク・フィルハーモニーを指揮しましたが、持病が悪化しウィーンに戻り、11年5月18日に亡くなりました。
指揮者として華々しい経歴を持ち、作曲家としても9つの交響曲と大地の歌という傑作を残しています。
指揮者の後継者としては、ワルター、クレンペラーという20世紀の巨人に影響を与えました。
さて、交響曲第1番は、28歳の若きマーラーが書き上げた青春の調べで、美しい自然描写と若々しい情熱の爆発、故郷ボヘミア地方を思わせるような、牧歌的メロディなども巧みに織り込ませ、演奏時間50分ほどの大曲ながら親しみやすい曲に仕上がっています。
そんなことから僕は、この曲が好きで、ワルター、バーンスタイン、ジュリーニ、レヴァイン、小澤などのCDやLPを持っていて、特にワルターを好んで聴いていました。
でも、何かが物足りない、ワルターの晩年の録音だからか?
それともオーケストラが弱いのか。
実演では、80年代にブロムシュテットとシュターツカペレ・ドレスデンの来日公演での演奏が最高でした。
ただ、残念ながらブロムシュテットはこの曲を録音していないようです。
アンチェルの名盤 マーラー『第1番“巨人”最高の名演名盤』
マーラーが、1860年カリシュトで生まれてから、48年後、カリシュトからそう離れていないトゥチャピでアンチェルは生まれました。
地図で見ると直線距離で50キロほどの位置関係で、お互い、南ボヘミア地方出身でほぼ同郷といっていい関係だと思います。
僕は、北陸富山の出身ですが、隣の新潟や石川の出身と聞くと親近感を感じると同じくらいこの二人の生地は近いと思います。
※南ボヘミア地方
グスタフ・マーラー – Gustav Mahler (1860-1911)
交響曲第1番 ニ長調 「巨人」
Symphony No. 1 in D Major, “Titan”
Ⅰ(13:25)Langsam, schleppend
Ⅱ(07:37)Kraftig bewegt, doch nicht zu schnell
Ⅲ(09:54) Feierlich und gemessen, ohne zu schleppen
Ⅳ(19:20)Sturmisch bewegt
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 – Czech Philharmonic Orchestra
カレル・アンチェル – Karel Ancerl (指揮)
録音: 21 December 1964
マーラー:交響曲第1番≪巨人≫・第9番<タワーレコード限定> カレル・アンチェル チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
ユダヤ系であるアンチェルが紡ぎだす、極めて音楽的なマーラー。緻密で明晰な表現は、両曲とも数あるマーラー録音の中でも忘れられない名盤の一つ。
今回の復刻のために本国のオリジナル・アナログ・マスターテープから新規でダイレクトDSD化を行った音源をマスタリング。世界初SACD化!今回の発売では各曲を1枚に収録
はっきり言えば、僕がいままで聴いたCD、LPの演奏ではトップクラスというか、個人的には一番の演奏です。
第1楽章から、目からウロコ、心が洗われるような演奏です。
ワルター指揮コロンビア響で不満だったところがここでは、全て解決されています。
僕の稚拙な表現よりも、ここでは、アリアCD店主・松本大輔氏の著書から引用します。
耳からウロコの名演。木管の響きから弦のアンサンブルまで、これまで聴いたことのない新鮮さをもつ。マーラーがボヘミアの人であったことをこれほど感じさせてくれた演奏はなかった。
フルートの音色が鳥のさえずりで、ヴァイオリンが川のせせらぎだったとは。そしてほかの誰も試みなかったコーダ直前のテンポのずる上げ。深刻で劇的に終わりそうな作品を、あえて幸福感で彩ろうとするかのよう。
「クラシックは死なない あなたの知らない新名盤」松本大輔著より
アンチェルとチェコフィルのマーラーの『巨人』は聴かずに死ねない名盤です!
コメント