こんにちは、
ともやんです。
素晴らしい録音に出会いました。
僕が現在もっとも気に入っていろいろな録音を聴くようになったジョルディ・サヴァールの録音です。
そのサヴァールが、メンデルスゾーンの交響曲を録音したのです。
サヴァールは、スペイン・バルセロナ出身のヴィオラ・ダ・ガンバ奏者。ヴィオラ・ダ・ガンバは、チェロの前身の楽器でその奏者と言うことは、演奏する作品も中世からバロック時代が中心です。
74年に古楽演奏グループのエスペリオンXX(のちにエスペリオンXXIと改称)を結成し、妻であるモンセラート・フィゲーラスとともに古楽ファンに広く知られる存在になりました。
89年には今回のメンデルスゾーンを演奏するオーケストラ、ル・コンセール・デ・ナシオンを設立。
また91年には、フランス映画『めぐり逢う朝』のサウンドトラックを担当し、高い評価を得ています。この映画は僕もU-NEXTで観ましたが、なかなか面白い。
宮廷音楽家、マラン・マレと彼の師との確執、芸術家としての在り方の違いを描いた名作です。
サヴァールのメンデルスゾーン
サヴァールと言えば、中世からバロック時代の作品を古楽器で演奏する音楽家というイメージが長く続いていたようです。
僕は、ここ2~3年サヴァールの録音をいくつか聴いていたようです。ヘンデルのメサイア、モーツァルトのレクイエムなどで、興味深い音楽家が出てきたな、という印象でした。もっともサヴァール自身は、1941年生まれですから、今年83歳になる大家中の大家なので、自分が最近知った音楽家をつい若手と思てしまう僕がだめなんですが。
そしてこの人は、やはり凄いと感じるようになったのは、最近、ベートーヴェンのミサ・ソレムニスを聴いてからです。それと合わせて交響曲の録音も聴きました。まさに作品に魂を吹き込んだ生き生きとした演奏に深い感銘を受けたのです。
サヴァールは、バロックから、ハイドン、モーツァルトの古典派、そしてベートーヴェン。次はロマン派の作品も手掛けるようになりました。
僕は、未聴ですが、シューベルトの未完成とザ・グレートも録音したそうです。なんとわくわくさせてくれるんでしょうか?
そしてメンデルスゾーンの名作交響曲第4番「イタリア」をなんと初稿を最終稿で録音するというサービス精神には敬服です。
最初に改訂稿(結果として最終稿)の演奏で、特に第2楽章以降が聴きなれたイタリアとは違ってとても新鮮な印象を受けます。
そして演奏が素晴らしい。まさに作品に新たな命を吹き込んだという感じで、最終稿と初稿を続けて聴きましたが、聴き終わるともう一度聴きたくなったほどです。
これでは、しばらくサヴァールの録音を聴き続ける日々が続きそうです。
サヴァール メンデルスゾーン イタリア交響曲 初稿と最終稿
フェリックス・メンデルスゾーン – Felix Mendelssohn (1809-1847)
交響曲第4番 イ長調「イタリア」 Op. 90, 最終稿(1834年)
Symphony No. 4 in A Major, Op. 90, “Italian”,(Version finale de 1834)
1.(11:26) I. Allegro vivace
2.(06:14) II. Andante con moto
3.(06:52) III. Con moto moderato
4.(06:42) IV. Saltarello: Presto
total(31:14)
ル・コンセール・デ・ナシオン – Concert des Nations, Le
ジョルディ・サヴァール – Jordi Savall (指揮)
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交響曲第4番 イ長調「イタリア」 Op. 90, 初稿(1833年)
Symphony No. 4 in A Major, Op. 90, “Italian”,(Premiere version de 1833)
1.(11:17) I. Allegro vivace
2.(05:40) II. Andante con moto
3.(06:15) III. Con moto moderato
4.(05:39) IV. Saltarello: Presto
total(28:41)
ル・コンセール・デ・ナシオン – Concert des Nations, Le
ジョルディ・サヴァール – Jordi Savall (指揮)
メンデルスゾーン:交響曲第4番≪イタリア≫1833年初稿&1834年最終稿
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交響曲第4番『イタリア』~1833年原典版&1834年改訂版 ジョルディ・サヴァール&ル・コンセール・デ・ナシオン
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ジョルディ・サヴァールがメンデルスゾーンを録音しました。サヴァールのディスコグラフィで初登場の作曲家です。これまで古代や中世・バロックの音楽を国や地域を問わず奏でてきたサヴァール。近年はハイドン、ベートーヴェン、シューベルトに続いて、19世紀の音楽へとその足を伸ばし、歴史の中で生まれた素晴らしい作品を新鮮かつごく自然な形で響かせ、当時の人々が受けた衝撃と感動を現代の私たちに追体験させてくれています。 今回の曲は天才メンデルスゾーンが旅から受けた感動がこれ以上ない躍動感で表出している『イタリア』、しかも2種の稿を収録。コンサートマスターは人気急上昇のボネ、ということで、どこをとっても大注目の新譜です!
オーケストラは、リナ・トゥル・ボネがコンサートマスターを務めるほか、2022年メンデルスゾーン・アカデミーに参加した若手奏者からの選抜メンバーも参加しているなど、メンデルスゾーンへの並々ならぬ思い入れのあるメンバーたちによって構成されています。
交響曲第4番は1833年、メンデルスゾーン自身の指揮で初演され絶大に高い評価を受けましたが、メンデルスゾーン自身は満足することはなく、この作品の改訂を求め、2度と指揮することはありませんでした。メンデルスゾーンは、第2楽章のテーマをシンプルにし、続く楽章のトリオをよりドラマティックにし、フィナーレにピチカートを入れ、フィナーレを長くしました(264小節から305小節に)。第1楽章の改訂版は現存していませんが、手紙から何かしらの加工を試みたと考えられています。1834年のこの改訂稿は2001年になって初めて出版されました(これには19世紀におけるメンデルスゾーン(=ユダヤ) をめぐる事情などもあったと考えざるをえません)。1847年(メンデルスゾーンの死後)に上演された時に会場にいたベルリオーズは「メンデルスゾーンの交響曲は、金メダルのように一瞬にして鋳造された傑作である。」と述べています。
サヴァールはメンデルスゾーンの手紙などを検証、検討を重ねた結果、両方のヴァージョンを録音することに決めました。「お聴きになられると、どちらの版も、色彩、リズム、器楽書法、すべてにおいて見まごう事なき天才の刻印があらわれていることに驚くでしょう」と述べています。サヴァールがおしげもなく軽やかに提示し解放する、天才メンデルスゾーンの創造の軌跡と天才の刻印、天才が旅から受けた豊かな刺激の実りを強く感じる演奏です。(輸入元情報)
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