こんにちは、
ともやんです。
クラシック音楽の数多い作曲家の中でも個人的には、フランツ・シューベルト(1797-1828)がもっとも天才の名に相応しい人物だと思う。
僅か31年の人生に交響曲から歌曲まで凄まじい数の作品を残している。
今の時代なら、大金持ちになっていただろうが、貧困のうちに短い生涯を終えています。
音楽では天才だったにもかかわらず、経済観念の疎すぎたのでしょう。
さて、シューベルトは短い生涯ながら、ピアノソナタも未完も含めて21曲も残しています。
実は、僕はシューベルトのピアノソナタは、苦手であまり聴いていません。
なぜかというとつかみどころがないのです。
どこが頭でどこが尻尾かわかりません。
論理的な思考が邪魔になるのでしょうか?
でも、村上春樹はそんなところがいいというのです。
村上春樹とシューベルトのピアノソナタ第17番
村上さんの小説『海辺のカフカ』の中で、登場人物が長々とひとつの音楽について語る場面があるそうです。
クルマを運転中の「大島さん」が、「僕」にシューベルトのピアノソナタ第17番について、このソナタは、不完全であり、それゆえに惹きつけられるんだ、と滔々と自説を語るのです。
また、エッセイ『意味がなければスイングはない』でも、この曲を取り上げ、数多いシューベルトのピアノソナタの中でもこの第17番を特に愛好していると書いています。
その愛好の理由を、このソナタの持つ「冗長さ」や「まとまりのなさ」「はた迷惑さ」が心に馴染むそうです。そして、それが「融通無碍の世界」であると説いています。
つまり常識人でしかない僕にとっては苦手な部分が、やはり感性が次元が違う村上さんには、素晴らしいものとして捕らえることができるのです。
つまり天才を知るのはやはり天才ということでしょうか。
内田光子 シューベルト ピアノソナタ集より 第17番
『意味がなかればスイングはない』の中では、村上春樹自身がこの曲のディスクを15枚並べて演奏評をやっているそうです。
彼が薦めているのが、ユージン・イストミン、ワルター・クリーン、クリフォード・カーゾン、レイフ・オヴェ・アンスネスのようです。
現在、イストミン以外は聴かれますが、今回は、ぼくの大好きな内田光子をご紹介しておきます。
フランツ・シューベルト – Franz Schubert (1797-1828)
ピアノ・ソナタ第17番 ニ長調 「ガシュタイナー・ソナタ」 Op. 53, D. 850
Piano Sonata No. 17 in D Major, Op. 53, D. 850, “Gasteiner Sonate”
1.(08:34) I. Allegro vivace
2.(11:58) II. Andante con moto
3.(09:10) III. Scherzo: Allegro vivace
4.(08:30) IV. Rondo: Allegro moderato
total(38:12)
内田光子 – Mitsuko Uchida (ピアノ)
録音: 7-11 August 1999, Grosser Musikvereinsaal, Vienna, Austria
シューベルト生誕200年を祝う誕生日、1997年1月31日にリリースを開始した、内田光子によるシューベルト・チクルスを網羅したセットです。内田の審美眼によって選び抜かれたレパートリーのみが、磨きぬかれたタッチでここに刻まれています。
タワーレコードより
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