こんにちは、
ともやんです。
僕はサラリーマン時代、ジュエリー関係の会社に勤めていて、入社以来ダイヤモンド輸入卸の部門に約20年間在籍していました。その内後半の10数年間は、ダイヤモンドの買付でいくつかの国を訪問しました。特に多かったのはロシアのモスクワとベルギーのアントワープでした。
取引は英語で行われますが、僕の拙い英語でも何とか出来たのは、ダイヤモンドの値踏みが出来たことはもちろんですが、お互い母国語でない英語を使うと言うことで、きっちり数字を書くことと、明確にYESとNOを伝えあったことです。
また当然、仕事以外の雑談もするのですが、ロシア人やベルギー人、そしてインド人などの英語はかなり癖はありますが、慣れれば聞き取りやすかったものです。
一番困ったのは、ニューヨークに行った時でした。一番聴き取りに苦労したのはニューヨークだったのです。もちろん対面で話すときは聞き取りやすく話してくれますが、中にはお構いなしで話す人もいて苦労した記憶があります。
ただ、アメリカも英語が公用語ですが、米語と言われるようにイギリス英語とはやはり違います。逆にイギリス英語は聞き取りやすかったです。
音楽は本場がいいとは限らない
さて何が言いたいか?
シベリウスの交響曲をなんとか分かるようになりたいと、もう20年ほど前に評判の高いフィンランド人指揮者ベルグルンド指揮ヘルシンキ・フィルの全集を購入して聴き始めました。しかし、なかなか理解に及ばず、そのCDセットは書棚の奥に仕舞ったままになってしまいました。
多分、当時は会社員としてもっとも多忙だった頃で、聴く時間や心の余裕もなかったのかもしれません。それから月日が流れ、名指揮者ベルグルンドは10年前に他界。ああ、結局、俺はシベリウスが分からず仕舞いなのかな、と思っていたら、最近変化が出てきたのです。
まず、イギリスの巨匠コリン・デイヴィスの録音を聴いて、なんか分かりかけてきました。そして今回ドイツ出身でロシアで研鑽を積んだクルト・ザンデルリンクの録音で聴いて、より分かるようになったきたと感じるようになったのです。
もしかして、ベルグルンドの演奏は素晴らしいが、それが分かるにはもっとフィンランドのことを知らないといけなかったのではないか?
コリン・デイヴィスやクルト・ザンデルリンクの演奏では、彼らの他の録音も聴いていたので、理解しやすかったのではないか?
僕は近年出来るだけ日本人音楽家の演奏を聴くようにしています。
それは単に素晴らしいからでもあるし、応援する意味でもあるけど、もうひとつ理解しやすいとも思うからです。
音楽は本場ものだからいいとは限らない。良さを知るには、いきなり本場の演奏を聴くより、ワンクッションおいて聴くのも良い方法だなと知りました。
クルト・ザンデルリンクのシベリウス
先日、音楽評論家であり自身のレーベルも立ち上げ歴史的名盤の復刻もされている平林直哉氏の著書『盤鬼、クラシック100盤勝負!https://amzn.to/3eb7cJV 』を読みました。その中でクルト・ザンデルリンク指揮ベルリン響の演奏を取り上げていました。
平林氏はシベリウスのファンではないため、なかなか理解が進まなかったがザンデルリンクの演奏を聴いて胸にじんと来た、と記されていたのです。
またベルグルンドなどの方が内容的に本質に近いのだろうが、結果として出てくる音のきめ細やかさや柔らかさ、豊かな雰囲気がザンデルリンク盤の方があるとも書かれています。
僕自身、シベリウスの交響曲には、手こずっていたのでなんかホッとした思いです。コリン・デイヴィスとクルト・ザンデルリンクの演奏でシベリウスに親しんで、これでようやく本場のベルグルンド、セーゲルスタムなどの演奏を楽しめるようになれる気がします。
クルト・ザンデルリンク シベリウス 交響曲第2番&第3番
ジャン・シベリウス – Jean Sibelius (1865-1957)
交響曲第2番 ニ長調 Op. 43
Symphony No. 2 in D Major, Op. 43
1.(10:23) I. Allegretto
2.(13:15) II. Tempo andante, ma rubato
3.(07:01) III. Vivacissimo
4.(14:48) IV. Finale: Allegro moderato
total(45:27)
ベルリン交響楽団 – Berlin Symphony Orchestra
クルト・ザンデルリンク – Kurt Sanderling (指揮)
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交響曲第3番 ハ長調 Op. 52
Symphony No. 3 in C Major, Op. 52
5.(10:40) I. Allegro moderato
6.(08:24) II. Andantino con moto, quasi allegretto
7.(08:20) III. Moderato – Allegro (ma non tanto)
total(27:24)
ベルリン交響楽団 – Berlin Symphony Orchestra
クルト・ザンデルリンク – Kurt Sanderling (指揮)
シベリウス: 交響曲全集、エン・サガ、悲しきワルツ、フィンランディア、夜の騎行と日の出<タワーレコード限定>
このセットはドイツの名指揮者クルト・ザンデルリング(1912~2011)が1960年から首席指揮者を務めた手兵ベルリン交響楽団とともに1970年から1977年にかけて東ドイツのエテルナに録音したシベリウスの交響曲全集です。
当時エテルナは第1、2、7番の3曲をガラグリー指揮ドレスデン・フィルと、第4番をケーゲル指揮ライプツィヒ放送響と、第6番をベルグルンド指揮ベルリン放送響と録音しており、ザンデルリングのツィクルスは未録音だった第3番(1970年録音)と第5番(1971年録音)から始まります。
この2曲の優れた出来により全集録音の機運が生まれ、1974年に第6&7番、第2番の2枚を収録、1976年に第1番、1977年に第4番が録音され、全集が完結しました。
ザンデルリングのシベリウスの特徴は、楽譜を端然と意味深く表現する巧みさと、シンフォニックな音の厚みが融合したもので、同全集の録音の中にあってまったく独自の境地を誇るものです。
近年では冷たく透明な響きの中でシベリウスの音のテクスチャを繊細に表現する演奏が流行していますが、ザンデルリングは繊細な音の絡みを生かしつつ、本来シベリウスの音楽が内包している力強さやスケールの大きさを自然な音楽の流れのうちに見事に表現しています。
エテルナによるアナログ全盛期の録音も、まったく刺激感がなく、重厚で有機的なオーケストラの響きを見事に再現してくれます。
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