こんにちは、
ともやんです。
今年は、イーゴリ・ストラヴィンスキー(1982-1971)の没後50年。
本日聴いた「兵士の物語」はタイトルは知っていましたが、聴いたのが初めて。
非常に興味深い作品で惹きつけられました。
いきなりタイトルのコールから始まる。
今回、フランス語版、英語版、ドイツ語版で聴いたのですが、それぞれ演奏時間が違うのが面白いです。
フランス語版が51分台、英語版55分台、ドイツ語版が56分超え。
内容は同じなのですが、言葉の使い方や言い回しの違うのでしょうか?
語りを担当しているホロヴィッツは、3か国語でそれぞれ3つのヴァージョンで出てます。
1957年にパリに生まれ、71年という10代半ばでベルリンに移住。
つまりネイティブはフランス語で、若くしてドイツ語を憶えているので、もうお手の物なのでしょう。
僕は、仕事でベルギーのアントワープに20回前後言っていますが、向こうの人たちは普通に3、4ヵ国語を話します。自国語に英語、そして近隣のフランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語という感じです。
「兵士の物語」は、当時ストラヴィンスキー自身が、第一次世界大戦、そして革命により財産を没収され、しかも取引のある出版社がドイツのため、自身の生活のためと旅芸人のように持ち回りで公演できるという目論みで作った作品です。
またアンサンブルメンバーの顔ぶれも凄く、イザベル・ファウストを筆頭にファン・ライエン、ラインホルト・フリードリヒ、コッポラら、錚々たる顔ぶれです。
そして彼らが手に取った楽器も、どれも作曲当時に作られたものから選びぬかれたもので、初演当時のサウンドがよみがえります
日本語での公演もあったようで、これを機会にこの作品の実演にもぜひ接してみたいと思います。
ストラヴィンスキー 兵士の物語、エレジー&協奏的二重奏曲
イーゴリ・ストラヴィンスキー – Igor Stravinsky (1882-1971)
エレジー(ヴァイオリン編)
1.(05:15) Elegie (version for violin)
イザベル・ファウスト – Isabelle Faust (ヴァイオリン)
録音: December 2019 and April – July 2020, Teldex Studio Berlin, Germany
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協奏的二重奏曲
Duo concertant
2.(02:56) I. Cantilene
3.(02:22) II. Eglogue I
4.(03:22) III. Eglogue II
5.(04:27) IV. Gigue
6.(03:23) V. Dithyrambe
total(16:30)
イザベル・ファウスト – Isabelle Faust (ヴァイオリン)
アレクサンドル・メルニコフ – Alexander Melnikov (ピアノ)
録音: December 2019 and April – July 2020, Teldex Studio Berlin, Germany
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兵士の物語
Histoire du soldat (The Soldier’s Tale)
作詞 : シャルル=フェルディナン・ラミュ – Charles-Ferdinand Ramuz
ドミニク・ホルヴィッツ – Dominique Horwitz (ナレーター)
イザベル・ファウスト – Isabelle Faust (ヴァイオリン)
ロレンツォ・コッポラ – Lorenzo Coppola (クラリネット)
ハビエル・サフラ – Javier Zafra (ファゴット)
ラインホルト・フリードリヒ – Reinhold Friedrich (コルネット)
ヨルゲン・ファン・ライエン – Jorgen van Rijen (トロンボーン)
ウィース・デ・ブーヴェ – Wies de Boeve (コントラバス)
レイモンド・カーフス – Raymond Curfs (打楽器)
録音: December 2019 / April, July 2020, Teldex Studio Berlin, Berlin, Germany
total(51:18)
ヴァイオリンの女王イザベル・ファウストによる、ストラヴィンスキー録音の登場。内省的な無伴奏作品「エレジー」、ヴァイオリンとピアノのための唯一の作品「デュオ・コンチェルタンテ」、そして「兵士の物語」というプログラムです。ファウストといえばどんな作品でもその核心をまっすぐ引き出す音色、精緻かつ確固たる構成力、知性、そして共演した誰もが驚嘆するアンサンブルの才。その音楽の深化にとどまるところを見せないファウストにうってつけのプログラムといえましょう。
CDは無伴奏ヴァイオリンのための「エレジー」から始まります。現代音楽を得意としたベルギーのプロ・アルテ弦楽四重奏団の設立メンバーで、第1ヴァイオリン奏者だったアルフォンス・オンヌー追悼のために1944年に書かれた作品。ストラヴィンスキーには珍しい無伴奏作品で、内省的で厳かな哀しみが感じられる曲で、ファウストの繊細で細密画のようなタッチが紡ぐ世界に引き込まれます。
「デュオ・コンチェルタンテ」は長年にわたりアンサンブルを組んでいるメルニコフとの共演。オスティナート風のピアノと無機的なヴァイオリン・パートの掛け合いの第1曲に始まり、シニカルな第2曲、内省的でゆったりとした第3曲、打楽器のように弾むリズムが印象的な第4曲、そして緊張感に満ちた第5曲と、様々なキャラクターの5曲から成る作品ですが、ファウストの光線のようなまっすぐな音色と、メルニコフの時に地鳴りのように、時に繊細極まりなく響くピアノのアンサンブルが見事な演奏です。
キングインターナショナル
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