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ヨッフム&ベルリンフィル ベートーヴェン交響曲全集より

ベートーヴェン
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こんにちは、
ともやんです。

オイゲン・ヨッフム(1902-1987)は、ドイツの名指揮者で決してスター的な存在ではないですが、ブルックナーの権威として知られています。

またベートーヴェン、ブラームスでは、誠実で堅実にして重厚な演奏を聴かせてくれますが、そこには常に人間的な温もりを併せ持っていて、ヨッフムでそれらの演奏を聴くと、なんか幸せになります。

しかも、ナチスドイツ下で演奏を続けながら、ナチスに迎合することなく、ナチスが嫌っていたヒンデミットの曲など積極的に取り上げるなど、気骨の人でもありました。

そんな、ヨッフムの最初のベートーヴェン全集を聴いてみました。

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ヨッフムのベートーヴェン交響曲全集

ヨッフムは、生涯に3回の全集を録音しています。

1回目が今回ご紹介する、50年代のベルリンフィルとバイエルン放送響とのもの、2回目は60年代のコンセウトヘボウとのもの、3回目が70年代のロンドン響とのもので、節目節目に録音しています。

 

特に1回目の録音は、録音がモノラルからステレオへの移行期とフルトヴェングラーが健在のベルリンフィルを振っていて興味深いものがあります。

特に第6番”田園”は、フルトヴェングラーが亡くなる2週間程前の録音で、ほとんどフルトヴェングラー時代最後のベルリンフィルの響きを知ることが出来ます。

録音は、ベルリンフィルとは、第1番(1959年)、第2番(1958年)、第3番”英雄”(1954年)、第4番(1961年)、第6番”田園”(1954年)、第7番(1952年)、第8番(1958年)の7曲。

第5番(1959年)と第9番(1952年)がバイエルン放送響とのもの。

そして第3番”英雄”、第6番”田園”、第7番、第9番がモノラル録音です。

第4番は、’54年のモノラルも残っていますが、全集には’61年にステレオで取り直したものが入っています。

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ヨッフムのベートーヴェン”英雄”と”田園”と第7番

“英雄””田園”第7番の3曲の人気曲が、フルトヴェングラー健在中のベルリンフィルとの録音で残っているのが嬉しいですね。

しかも、モノラルながら良質な録音で残っていて、古い第7番でも、鑑賞には十分な録音です。

さてここでどうしても僕は疑問を持ってしまいます。

それは、52年のヨッフム&ベルリンフィルの録音が聴きやすい状態で残っているのに、フルトヴェングラーのものはなぜ古さを感じるのか。

録音の質としては完全にヨッフムの方が良くて例えば同時期にフルトヴェングラーがウィーンフィルと録音した第6番”田園”などは、フルトヴェングラーの残されている録音ではましなほうですが、全体的に混とんとして音の分離なども今ひとつ言う感じです。

これはドイツグラモフォンとEMIとの録音技術の差もあるのかもしれないし、ヨッフムとフルトヴェングラーの録音への姿勢の違いもあるかもしれないと僕は思います。

何かの記述で読みましたが、フルトヴェングラーは、録音技術師たちがせっかくセッティングしたのに、指揮にじゃまだとか勝手に変えたりとかわがままだったようです。

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ヨッフム 幻のベートーヴェン交響曲第4番

この全集の第4番の録音日は、1961年1月26日、30日、31日になっています。もちろんステレオ録音です。

ところが、別に1954年11月16日~19日のモノラル録音が残されています。

多分記録では、フルトヴェングラー生前最後のベルリンフィルの録音ではないかと言われています。

この前に第6番“田園”が、11月9日、10日、12日、13日と16日に録音していて、フルトヴェングラーは、11月30日に肺炎で亡くなっています。

この全集は、多分モノラルの録音を取り直そうとして結局契約上の問題で、第4番しか取り直せなかったのでしょう。

しかし、この全集に入らなかった幻の第4番が凄い演奏なのです。

もしご興味ある方は、クラシックCDの通販販売店アリアCDで、
LPからの復刻盤で購入可能です。

以下、店主・松本大輔氏の入魂のコメントです。少し長いですが引用します。

フルトヴェングラーが亡くなったのは1954年11月30日。

今回の第4番の録音、1954年11月19日からその日までに残された録音はない。

つまりベルリン・フィルにとって、これ以降の録音(この次はマルケヴィチのワーグナー、シューベルト(アリア・レーベル ARIA AR 0048))は、フルトヴェングラーのいない世界の演奏なのである。

何もこの第4番が、「フルトヴェングラーの死を予感したベルリン・フィルの人々による壮絶なる演奏」というつもりはない。フルトヴェングラーの入院は伝えられていただろうが、その死は唐突だったと多くの人が語っているから。

しかしただ言えるのは、この演奏のときはまだフルトヴェングラーが生きていたということ。
フルトヴェングラーがベルリン・フィルの団員たちとともに生きていたということ。
団員たちはフルトヴェングラーの思いを胸に演奏していたということ。

ただそんなことを知らなくても、この演奏を聴けば、きっとあなたはこの演奏の背後に、偉大なる巨匠の姿を見ることだろう。

ヨッフムのうしろに、フルトヴェングラーがいるのである。

同じことは、54年に録音した第3番“英雄”と第6番“田園”にも入れるかもしれません。

まとめ

オイゲン・ヨッフムの最初のベートーヴェン全集は、フルトヴェングラーが健在だった頃のベルリンフィルとの録音が収録されていることで高い価値があると思います。

しかも、ヨッフムの指揮は、フルトヴェングラーからは感じられない人間味の味わいを感じさせてくれます。ほの暗いベルリンフィルのサウンドにほのかに感じるヒューマンな味わいが、フルトヴェングラー時代のベルリンフィルとヨッフムの遺産と言っていいと思います。



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