こんにちは。
ともやんです。
ヴィリヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)の録音は、それなりに聴いていたつもりですが、まだまだ聴いていない録音の中に凄い演奏が眠っていました。
戦時中の1943年6月のライブ録音のベートーヴェンのコリオラン序曲でした。
僅か9分ほどの曲の中に、息詰まるような密度の濃い演奏を聴かせてくれています。
録音もいまから76年前にも関わらず、生々しい音です。
もしかして、残されているフルトヴェングラーの録音の中でももっともすぐれて演奏ではないかと思ったら、宇野功芳氏もその著書「フルトヴェングラーの全名演名盤」の中で、フルトヴェングラーの数多いディスクの中でも最高の出来ばえの一つ、と書いています。
フルトヴェングラー 戦時中の苦悩
フルトヴェングラーは、ベルリンフィルの首席指揮者の要人として、政府主催の式典などでは、指揮をしなければならない立場でした。
特にヒットラーの誕生日を祝う式典には、どうしても出たくないので、あれこれこじつけをつけて避けてきました。
また当時30代で注目を集めているカラヤンとのベルリンでの権力争いもありました。
そんな中、’43年6月にフルトヴェングラーは、2度目の結婚をしています。
コリオラン序曲は、そんな状況の中で演奏されました。
自分を取り巻く苦悩を打ち払うように、そして自らの結婚を祝うかの如く、迫力ある一世一代の名演を遺したわけです。
フルトヴェングラー コリオラン序曲 聴き比べ
ベートーヴェンが、コリオラン序曲を作曲したのは、1807年のこと。
ちょうど交響曲第5番と第6番”田園”を作曲中で、彼の生涯の中でも傑作の森と言われる時期で、後世に残る傑作群を多数生み出した頃です。
この序曲は、戯曲家コリンの書いた悲劇からヒントを得て作曲したもので、ベートーヴェンは、彼の性格をこの戯曲の主人公の中に見出し、曲中に自己の表現を試みたと言われています。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
「コリオラン」序曲 ハ短調 Op. 625.
Overture to Collin’s Coriolan, Op. 62, “Coriolan Overture”
total(09:05)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – Berlin Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
録音: 27-30 June 1943, Berlin, Germany
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フルトヴェングラーの全録音の中でも最高の部類に入る超名演。
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ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
「コリオラン」序曲 ハ短調 Op. 621.
Overture to Collin’s Coriolan, Op. 62, “Coriolan Overture”
total(08:37)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
録音: 25 November 1947
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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」/序曲「コリオラン」/他(フルトヴェングラー)
個人的には、一番好きな演奏。3曲中唯一スタジオ録音で表現は大人しいが、その中に暗い情念が蠢いている感じと展開部のチェロの内声が一番意味深く感じる演奏です。
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ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
「コリオラン」序曲 ハ短調 Op. 626.
Overture to Collin’s Coriolan, Op. 62, “Coriolan Overture”
total(09:22)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー – Wilhelm Furtwangler (指揮)
録音: 29 October 1951, Munich, Germany
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フルトヴェングラー&ウィーン・フィル/伝説のコンサート(1950-53) (ターラ編)
録音が一番新しい割には、パリッとしないが、演奏会場のミュンヘンのドイツ博物館ホールは、残響が多く響きが暗く柔らかいためにおどろおどろしく聴こえるためと思われます。
ウィーンフィルの弦の伸びやかさが光る演奏です。
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