こんにちは、
ともやんです。
ジョン・バルビローリ(1899-1970)。
国籍はイギリスですが、イタリア人とフランス人の血も引くラテン気質も持ちあせています。
王立音楽院で、チェロを学び、1916年にクイーンズ・ホール管に入団するが、24年頃からは指揮者に転向、1933年にはスコティッシュ管の首席指揮者に就任し、37年から43年にはトスカニーニの後任として、ニューヨークフィルの首席指揮者を務めています。
その後、1943年から68年にはハレ管弦楽団の首席指揮者として活躍し、各地のオケに活発に客演していました。
バルビローリと言えば、北欧音楽と英国音楽のスペシャリストというイメージがあり、ベートーヴェンの英雄とは、意外な気がしましたが、聴いてみました。
バルビローリ&BBC響 ベートーヴェンの”英雄” 掘り出し物の名盤
個人的には、バルビローリは好きなタイプの指揮者で、ブラームスの交響曲全集やマーラーの交響曲第5番や第9番は繰り返し聴いています。
特にマーラーの第9番は、数あるCDの中でももっとも好きな演奏です。
また先日、ブラームスの交響曲第1番を聴きましたが、その大河の流れのようにとうとうと流れる演奏に改めて凄い人だな思いました。
そんなバルビローリのベートーヴェンを聴いたのです。
こんなに凄い、いや凄いというのとは少し違う、なんと豊かで麗しいという演奏はなかなかないなぁと感じました。
特にそれを感じたのは、内声部の充実です。
他の演奏では感じにくいチェロの動きが生々しく響いてきて、そのことが強力な安定感となり、地に足が付いた着実な足取りの推進力と相まって、手ごたえ十分な演奏です。
特に第一楽章と終楽章が聴きものです。
バルビローリ ベートーヴェン交響曲第3番”英雄” 掘り出し物の名盤
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」 Op. 55
Symphony No. 3 in E-Flat Major, Op. 55, “Eroica”
1.(16:12) I. Allegro con brio
2.(18:14) II. Marcia funebre: Adagio assai
3.(05:48) III. Scherzo: Allegro vivace
4.(13:54) IV. Finale: Allegro molto
total(54:08)
BBC交響楽団 – BBC Symphony Orchestra
ジョン・バルビローリ – John Barbirolli (指揮)
録音: 18-19 May 1967, Studio 1, Abbey Road, London, UK
『ジョン・バルビローリ、BBC交響楽団/ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」』
それまでの、フルトヴェングラー、クレンペラー、トスカニーニなどのベートーヴェンの録音は、偉大なる名演としてそれぞれの指揮者の名高い功績でした。
しかしこのバルビローリの「英雄は」非常に独特なものとして有名であり、バルビローリの指揮者としての芸術の最頂点というべき名盤です。
その厳格な構築感と精神性、渋みを湛えた音色、テンポを押さえた重量級・・・、しかしながら、温かな音色、峻厳さよりも豊穣な響き、知的で入念な語りかけなど、ベートーヴェンが音楽の上昇と拡大の精神を私たちに引き付けるための暖かい人間的心溢れる、バルビローリ独自の美学で貫かれたものです。
この音源は1968年に英EMIよりLPで発売されましたが、日本では発売されませんでした。1975年に比較的短い期間で廃盤となりましたが、1979年に日本国内盤セラフィム・シリーズで発売されましたが、CDの普及とともに廃盤。
1995年に日本のみで一部店舗販売のために東芝EMIがCD化されていました。この音源を聴いたことがある方は意外と少ないようですが、このバルビローリの壮大で高貴な演奏を是非お聴き下さい。
なおこの発売のために、オリジナル・マスターより24bit/96kHzリマスターを行っています。
ワーナーミュージック・ジャパン
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