こんにちは。
ともやんです。
今年2019年は、名指揮者カール・ベーム(1894-1981)の生誕125周年です。
カール・ベームと言えば、僕がクラシック音楽に興味を持った中学生時代、それこそ毎日聴いていた指揮者です。
だからベームの名前を聞くと懐かしく思ってしまいます。
中学生時代、あれだけ聴いたのに、その後あまり聴かなくなり自分の中でも忘れかけていました。
でもタワーレコードのHPで観たベーム生誕125周年。
もうそんな経つのかという思い。
中学生だった自分ももう還暦過ぎのじいさんになったんだから。
そこで今日は、ベームの歴史的名盤を聴いたのでご案内します。
カール・ベームとの出会い 夢中で聴いた中学生時代
クラシック音楽が好きになり毎晩FM放送を聴いていた中学生時代。
小遣いが貯まるとレコードショップに行って1枚3,000円もする高価なLPレコードを吟味して、選びに選んで決めていた頃が懐かしいです。
何と言っても当時1970年頃のLPレコードは高価でした。
だから中学生の小遣いでは、3ヵ月に1回買えるかどうかでした。
だから選ぶのも真剣そのものでした。
そんな僕のアイドルはカール・ベームでした。
宝物のように大切にしていたベーム&ベルリンフィルのモーツァルト交響曲第40番&第41番、ウィーンフィルとのベートーヴェン第九。
いまのそれらは大切に持っています。
当時のベームは、既に70代の後半、ほとんど神格化されていたように思います。
しかもカラヤン全盛期で、外面的なカラヤンに対して、内面で勝負するベームという構図が出来ていました。
そんな中学生ながら僕はブルックナーに興味を持ちだしました。
そして最初に買ったのが、カラヤン&ベルリンフィルの第4番”ロマンティック”でした。
これも懐かしいLPで今も大切に持ってます。
でもなぜカラヤンなのか?ベームではなかったのか?
それはベームのブルックナーがなかったからです。
もっとも正確にいうと、既にベーム&ウィーンフィルの第3番が出ていたと思います。
でも最初はもっとももポピュラーな第4番と思ったのでしょう。
ただ、なんでベームのブルックナーがないのだろうと多少不思議に思ったものです。
でもあと気付きました。大人の事情があったのです。
カール・ベームにブルックナーの録音が少ない理由を推理
本日ご案内するベームのブルックナーは、戦前の1936年と37年の録音です。
オーケストラは、当時音楽監督を務めていたシュターツカペレ・ドレスデンです。
ベームは、1934年から43年まで音楽監督を務め、EMIに多くの録音を残していて、ブルックナーの第4番と第5番もその中でも特に力作でした。
しかもブルックナーの第4番と第5番の全曲録音は初めてという意欲作でした。
それを考えるとベームのブルックナーの演奏が、もっと多く残されていても良いと思います。
しかし、次にベームのブルックナーが世に出るのが70年のウィーンフィルとの第3番でした。なんと33年後。40代前半のベームも70代後半のじいさんになっていました。
なんでこんなに長い期間ブルックナーを録音しなかったのか?
したくない、いやできない理由があったのではないか?
実は最初に録音した時期は、ナチス政権下でした。
しかもブルックナーは、ヒットラーのお気に入り指揮者。
そして使った楽譜はハース版です。ハースは、ナチスのお抱え音楽学者と言われています。
またベーム自身もナチスとの関係をとやかく言われた身です。
つまり、戦前に初めて全曲録音していながらそれは栄誉なことではなく、ベーム自身触れてはいけない汚点と考えたのかもしれません。
だから、本当は、演奏したかった、録音したかったと思っていてもそのタイミングを計っていたのかもしれません。
フルトヴェングラーも疑われた一人ですが、戦中、戦後と関係なくブルックナーを演奏しています。
カラヤンは戦後になってから録音していて意識している風は感じません。
ヨッフムは、ナチスに対しては反抗的でしたから、戦後一番最初に全曲録音をしています。
つまりベームは、世界初の全曲録音をしたばっかりに戦後すぐ録音すると注目されるのを怖れたと想像されます。
それでほとぼりが冷めてからなのか時効と考えたのか、戦後25年経った70年に英デッカに録音したのだと僕は勝手に想像します。
そしてドイツ・グラモフォンのようやく録音したのが、1976年ですから、初録音から40年目。その間のベームの心境いかばかりかと思います。
ベーム&シュターツカペレ・ドレスデン ブルックナー交響曲第4番&第5番
アントン・ブルックナー – Anton Bruckner (1824-1896)
交響曲第4番 変ホ長調 「ロマンティック」 WAB 104 (1881年稿・ハース版)
Symphony No. 4 in E-Flat Major, WAB 104, “Romantic” (1881 version, ed. R. Haas)
1.(17:24) I. Bewegt, nicht zu schnell
2.(16:00) II. Andante quasi allegretto
3.(09:59) III. Scherzo: Bewegt
4.(19:27) IV. Finale: Bewegt, doch nicht zu schnell
total(62:50)
シュターツカペレ・ドレスデン – Dresden Staatskapelle
カール・ベーム – Karl Bohm (指揮)
録音: June 1936, Dresden Staatsoper, Germany
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アントン・ブルックナー – Anton Bruckner (1824-1896)
交響曲第5番 変ロ長調 WAB 105
Symphony No. 5 in B-Flat Major, WAB 105
1.(17:49) I. Adagio – Allegro
2.(15:05) II. Adagio
3.(13:08) III. Scherzo: Molto vivace
4.(21:28) IV. Finale: Adagio – Allegro moderato
total(67:30)
シュターツカペレ・ドレスデン – Dresden Staatskapelle
カール・ベーム – Karl Bohm (指揮)
録音: June 1937, Dresden Staatsoper, Germany
第5番が素晴らしいです。
40代のベームの覇気溢れる名演で、構成も堅固で80年前の録音としてはかなり聴きやすいと思います。
こんな素晴らしい演奏を聴くと、余計に第5番のステレオ録音がないのが惜しまれます。
ぜひ、ウィーンフィルとは、第5番と第9番も遺してほしかったですね。
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