こんにちは、
ともやんです。
クラシック音楽を聴き始めの頃、まだ中学生で当然お金もない頃でした。
だから当時ただでさえ高額だったLPレコードを少しでも聴きたく廉価盤(900円~1,000円)を買ったものです。
その廉価盤でコンヴィチュニー&ゲヴァントハウス管のベートーヴェンの交響曲が出ていて確か第4、5番、6番”田園”を買いました。
そして僕はその時から感じていたのが、なんてコンヴィチュニーの演奏は自然なんだろう、ということです。
素朴と言ってもいいかもしれません。
作為的なものが何も感じないで、すっと耳に入ってくるような演奏でした。
だから逆に他のLPから感じない味わいがあったのです。
フランツ・コンヴィチュニー ブルックナーの魅力
昨日に第4番に続いて、第5番を聴きました。
第4番がウィーン交響楽団でしたが、ウィーン風のしなやかさがまったく感じない、ゴツゴツした肌触りの演奏でした。木管の響きなどは、非常に素朴でかえって可憐に聴こえました。
第5番は、手兵のゲヴァントハウス管ということで、もっと硬質で堅固、そして完成度の高い仰ぎ見るような古風な建造物のような趣があります。
この演奏からも以前からコンヴィチュニーの演奏から感じる自然さを強く訴えかけてくるのです。
そしてその感覚がなるほど思ったのは、藁科雅美氏のこの録音へのコメントからです。
“最も感動的なのは、全曲を貫く強い緊張の持続と、その緊張の質がひたすら音楽の生成、発展、完結の筋道を走り続ける質実で剛健なものであることだ。
また、現代の管弦楽法のさまざまな装いがないことに、逆に驚異的な新鮮さを覚える。”
“現代の管弦楽法のさまざまな装いがないことに、逆に驚異的な新鮮さを覚える”
やはり評論家の文章は言い得て妙です。
僕が、まさにコンヴィチュニーの演奏から感じていた自然さは、上記の言葉で表現できると思います。
特にこの第5番は、愛好家の間でも、最高の演奏と評価の高い名演の名盤です。
特に第二楽章を聴いて、とても崇高な気持ちになりました。この曲自体、そんな力を秘めていますが、こんな精神的に訴えてくる演奏を聴いたのは久しぶりです。
ブルックナーを愛する人ならぜひ聴いて頂きたい名演の名盤です。
コンヴィチュニー&ゲヴァントハウス管 ブルックナー交響曲第5番
アントン・ブルックナー – Anton Bruckner (1824-1896)
交響曲第5番 変ロ長調 WAB 105 (原典版)
Symphony No. 5 in B-Flat Major, WAB 105 (original version)
1.(21:41) I. Adagio – Allegro
2.(18:59) II. Adagio
3.(14:06) III. Scherzo: Molto vivace
4.(26:22) IV. Finale: Adagio – Allegro moderato
total(81:08)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 – Leipzig Gewandhaus Orchestra
フランツ・コンヴィチュニー – Franz Konwitschny (指揮)
録音: 1961
コンヴィチュニーが録音を遺したブルックナーの交響曲、全ての番号をまとめた好企画です。
コンヴィチュニーのブルックナーは洗練から程遠い田舎臭く、重量感のある解釈で好きな人にはたまらない解釈で人気があります。
第2番は、完全初出のゲヴァントハウス管とのライヴ。如何にこの曲を愛していたかが解ります。活き活きとした名演。
第4番「ロマンティック」はウィーン響との珍しい組合せです。この時代のウィーン響は正にウィーンの楽団らしい独自の音色で素晴らしいです。
第5番は、今なおこの曲のベスト演奏と推す人も多い名演、今回新たなマスタリングが施され一言で云えば元気な音に蘇り、さらに1枚に収まっているためこれは必携です。
第7番も比較的珍しい録音で、これは一つ一つのメロディに拘泥する一種のくどい演奏で個性的です。こちらも音のブラッシュアップがなされております。
第8番は放送用スタジオセッション録音で、商業用レコード録音同様の細心の注意が払われた安定感。
第9番はコンヴィチュニーが亡くなる2か月前の正に白鳥の歌、第9番と言うのも象徴的で、枯れる寸前の輝きが心を打ちます。
いずれも音質良好!
ミューズ貿易
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