こんにちは、
ともやんです。
現在、新型コロナウィルスの影響下で活動を自粛していますが、所属している合唱団に僕の父親くらいの先輩が在籍されています。
その方は、昭和7年生まれですから、今年で88歳になられます。
フランツ・コンヴィチュニー(1901-1962)が、61年にライプツィヒ・ゲヴァントハウス管と初来日した時聴きに行ったそうです。
いまから60年ほど前のことですから、まだまだコンヴィチュニー&ゲヴァントハウス管の実演を聴いた人はご健在です。
フランツ・コンヴィチュニー 芸風と魅力
伝聞によると、朝比奈隆さんが、いつかはコンヴィチュニーのような演奏をしたいとおっしゃっていたそうです。
なんとなくわかります。
朝比奈さんとコンヴィチュニーの芸風は、似ています。
どちらも小細工をせずに誠実に音を積み上げていきます。
だからその演奏は、お世辞にも流麗で表面的な美しさはありませんが、ゴツゴツとして素朴で、そして温もりがあります。
僕が、クラシック音楽を聴き始めた、1970年代の中学生の頃、コンヴィチュニー&ゲヴァントハウス管のベートーヴェンやシューマンの交響曲集が、廉価盤のLPとして出ていました。
中学生ですから、少ない小遣いの中でやりくりする関係で、コンヴィチュニー&ゲヴァントハウス管のLPでベートーヴェンを聴いたものです。
でも、それが結果的に良かったのではないか、と現在では思います。
それは、オーソドックスな作為のないコンヴィチュニーの指揮でベートーヴェンの各交響曲を聴いて、それで憶えて行ったからです。
だからコンヴィチュニーのLPで聴く耳を養っていったと言っても過言ではありません。
コンヴィチュニー&ウィーン交響楽団 ブルックナー”ロマンティック”
コンヴィチュニーは、ライプツィヒで積極的にブルックナーの交響曲を取り上げていました。
そしてその当時から楽譜は原典版をしようしていたことです。
この人の作曲者に対する良心を見る思いです。
さて、コンヴィチュニー&ウィーン交響楽団という珍しい組み合わせです。
でもここではウィーン風のしなやかな表情は全くなく、まさにドイツ風で、質実剛健でゴツゴツしたブルックナーを聴くことが出来ます。
その演奏には、したたかで鋼のような強靭さを感じさせる演奏で、”ロマンティック”という評弾とはほど遠いですが、その逞しさに勇気を与えてもらえる演奏です。
アントン・ブルックナー – Anton Bruckner (1824-1896)
交響曲第4番 変ホ長調 「ロマンティック」 WAB 104 (1886年稿・ノヴァーク版)
Symphony No. 4 in E-Flat Major, WAB 104, “Romantic” (1886 version, ed. L. Nowak)
1.(16:36) I. Bewegt, nicht zu schnell
2.(14:07) II. Andante quasi allegretto
3.(10:17) III. Scherzo: Bewegt
4.(19:37) IV. Finale: Bewegt, doch nicht zu schnell
total(60:37)
ウィーン交響楽団 – Vienna Symphony Orchestra
フランツ・コンヴィチュニー – Franz Konwitschny (指揮)
録音: 1961
コンヴィチュニーが録音を遺したブルックナーの交響曲、全ての番号をまとめた好企画です。
コンヴィチュニーのブルックナーは洗練から程遠い田舎臭く、重量感のある解釈で好きな人にはたまらない解釈で人気があります。
第2番は、完全初出のゲヴァントハウス管とのライヴ。如何にこの曲を愛していたかが解ります。活き活きとした名演。
第4番「ロマンティック」はウィーン響との珍しい組合せです。この時代のウィーン響は正にウィーンの楽団らしい独自の音色で素晴らしいです。
第5番は、今なおこの曲のベスト演奏と推す人も多い名演、今回新たなマスタリングが施され一言で云えば元気な音に蘇り、さらに1枚に収まっているためこれは必携です。
第7番も比較的珍しい録音で、これは一つ一つのメロディに拘泥する一種のくどい演奏で個性的です。こちらも音のブラッシュアップがなされております。
第8番は放送用スタジオセッション録音で、商業用レコード録音同様の細心の注意が払われた安定感。
第9番はコンヴィチュニーが亡くなる2か月前の正に白鳥の歌、第9番と言うのも象徴的で、枯れる寸前の輝きが心を打ちます。いずれも音質良好!
ミューズ貿易
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