こんにちは、
ともやんです。
ジャクリーヌ・デュ・プレは、悲運の天才女流チェリストです。
4歳でチェロを始め、16歳でデビューして、17歳で初録音をした彼女は、わずか12年の現役活動を送って後、
難病、多発性硬化症にかかり、車椅子の生活を続けたのち、1987年10月19日にわずか42歳の生涯を閉じました。
ジャクリーヌの意識は、最後まではっきりしていたそうですが、過酷な運命を呪って絶望の叫ぶ声をあげることもしばしばだったそうで、僕は、この話を聞いて、胸を締め付けられる思いで言葉が出ませんでした。
そんな彼女の残して録音は、その悲劇の生涯と実際の凄まじい演奏を重なり合い、感動せずにはいられません。
ジャクリーヌ・デュ・プレ エルガーチェロ協奏曲 ホ短調
エドワード・エルガー – Edward Elgar (1857-1934)
チェロ協奏曲 ホ短調 Op. 85
Cello Concerto in E Minor, Op. 85
1.(08:01)I. Adagio – Moderato
2.(04:34)≫ II. Lento – Allegro molto
3.(05:14)≫ III. Adagio
4.(12:34)≫ IV. Allegro – Moderato – Allegro ma non troppo
TOTAL(30:23)
ジャクリーヌ・デュ・プレ – Jacqueline Du Pre (チェロ)
ロンドン交響楽団 – London Symphony Orchestra
ジョン・バルビローリ – John Barbirolli (指揮)
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 他、エルガー:チェロ協奏曲 他 ジャクリーヌ・デュ・プレ
チェロの神様・パブロ・カザルスが、ドヴォルザーク以来の偉大なチェロ協奏曲と言ったエルガーのチェロ協奏曲ホ短調。
誠に渋い人生の秋を思わせる哀愁漂う名曲で、僕自身は大好きな曲です。
録音当時まだ10代だったジャクリーヌの濃厚な雰囲気の美音がほとばしり、造型はあくまで雄大で、ロマンティックなカンタビーレがたまりません。
バルビローリ指揮ロンドン響も充実したサポートをしています。
ジャクリーヌ・デュ・プレ チェロ協奏曲 ロ短調
アントニン・ドヴォルザーク – Antonin Dvo?ak (1841-1904)
チェロ協奏曲 ロ短調 Op. 104, B. 191
Cello Concerto in B Minor, Op. 104, B. 191
5.(15:28)I. Allegro
6.(13:17)II. Adagio ma non troppo
7.(13:31)III. Finale: Allegro moderato
TOTAL(42:16)
ジャクリーヌ・デュ・プレ – Jacqueline Du Pre (チェロ)
シカゴ交響楽団 – Chicago Symphony Orchestra
ダニエル・バレンボイム – Daniel Barenboim (指揮)
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 他、エルガー:チェロ協奏曲 他 ジャクリーヌ・デュ・プレ
故宇野功芳氏は、このドヴォルザークのチェロ協奏曲をジャクリーヌ・デュ・プレの残した録音でベストワンを評価しています。
宇野氏の熱いコメントを紹介します。
これはまさに身体を張った大熱演だ。少しもきれいごとではない。
人生の生命力のことごとくを封じ込めた朗々たる音色が、眼前にはげしくとび出してくる。
ときにはゆとりや美感を欠くほど力いっぱいだが、音色の変化、リズムの間合い、弱音のひそやかさなど、
その表現力と多様な芸風がわれわれを圧倒する。
「名演奏のクラシック」講談社現代新書より
ジャクリーヌ・デュ・プレ エルガーとドヴォルザークは永遠の名盤
ドヴォルザークの名曲に新たな生命力を与えた、壮大なスケールと伸びやかな歌いまわしが何とも魅力的な演奏。
デュ・プレの名盤の中でも1、2を争う屈指の名演の名盤です。
「入魂」という言葉がまさにピッタリの、すばらしく劇的な演奏内容です。
デュ・プレ一世一代のパフォーマンスが記録されています。
指揮は、61年に結婚してわずかな期間、生活を共にしたバレンボイム。
そしてエルガーのチェロ協奏曲。
デュ・プレが最も得意としてきたの曲でまるでデュ・プレのために書かれたのではないかと思わせるほど、曲と一体となった激しくも美しい独奏は圧倒的です。
バルビローリの指揮も最高級です。
※画像はイメージです。
最後に
僕がクラシック音楽を聴き始めた70年初頭、ジャクリーヌ・デュ・プレは、若手チェリストとしてもっとも実力があり、今後が期待されている存在でした。
でも、しばらくするその名声を聴かなくなり、その10数年後、短い人生を終えたことをニュースで知りました。
そこからジャクリーヌ・デュ・プレの演奏を聴くようになりました。
そしてこれからも聴き続けるでしょう。
それが過酷な運命に翻弄され絶望の中で逝った彼女へのせめてもの供養と思うから。
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