こんにちは、
ともやんです。
旧年中から盛り上がっていました、ベートーヴェン生誕250年も最後の日となりました。
CDなどh企画盤や企画ボックスが例年より多く発売されたと思います。
また、コンサートでももともとベートーヴェンは人気の作曲家ですが、例年以上に予定されていたと思います。
しかし、新型コロナ禍によりことごとく中止となり、オーケストラなどは存続の危機にも瀕しています。
少しずつは再開されていますが、不安なく活動できるのはいつの日でしょうか?それともこれからは、新型コロナ禍が前提になるのでしょうか?
こんな中、本日、上野の東京文化会館で、「ベートーヴェンは凄い!全交響曲連続演奏会2020」が開催されます。
僕は、6年連続で聴きに行きます。クラシック音楽のコンサートは、他のイベントに比べ感染リスクは低いと思いますが、十分予防をして行きたいと思います。
ベートーヴェンの交響曲
ベートーヴェン(1770-1827)は、先輩のハイドン(1732-1809)の100曲以上、モーツァルト(1756-1791)の約50曲の交響曲に比べ、数的にはわずか9曲しか作りませんでした。
一番大きな理由としては、ベートーヴェンは、著名な作曲家では史上初のフリーランスとして活動していたことです。
それまでの作曲家は、教会や貴族に抱えられ、その依頼や要望に応じて作曲していました。しかも聴衆は、限られた空間で人数も少数でした。
そのため作曲された交響曲も小規模なものでした。
しかし、ベートーヴェンの時代には、それまで音楽家を抱えていた貴族階級の力が弱まり、音楽が民衆が楽しむものになっていったのです。
つまり大きなコンサートホールで、多くの聴衆を集まて披露する曲として交響曲が進化したのです。
その先陣を切ったのがハイドンでした。ハイドンは、長年仕えていたエステルハージ家が、お抱え楽団を解散したことから、自由になり興行主ザロモンと組んで、ロンドンで自分の交響曲を市民階級の聴衆に披露して、大成功を収めたのです。
この公演が行われたのが、1791年から95年に掛けてです。既にフリーランスとして活動していたモーツァルトは亡くなっていたんで、まだ20代だったベートーヴェンは大いに影響を受けたと思われます。
ベートーヴェン 交響曲第1番
ベートーヴェンの交響曲第1番は、そんな世の中で作曲され、30歳になる1800年に、ベートーヴェンの指揮で初演されました。
この交響曲は、ベートーヴェンの”勝負ジャンル”としての意気込みが強く出ています。
ハイドンやモーツァルトでは見られなかったいくつかの革新的な手法が見られます。
代表例は「誤った調」と呼ばれる第1楽章の開始部。
ヘ長調の属7和音で始め、主調のハ長調に入らずにうろうろする手法。
以降、全体に転調は妙味を発揮しています。
また第3楽章には、従来のメヌエットから、スケルツォ的な性格に変わりました。
全曲に渡ってベートーヴェンの個性が発揮されています。
朝比奈隆氏は、この第1交響曲を「獅子の爪」と表現しています。
つまり、獅子、つまりライオンくらいに猛獣になると爪を見ただけで、全体が想像できるというものです。
コンサートでは、ベートーヴェンの交響曲の中では、もっとも公演回数が少ないですが、それだからこそぜひ、CDで聴いて欲しいと思います。
現代は、ベートーヴェンの交響曲全集もお求めやすい価格で購入できます。
ベートーヴェン 交響曲第2番
ベートーヴェンは、第1番を完成後、すぐに第2番の作曲に着手しました。
第1番を初演した1800年のスケッチ帳にはすでに第2番の第1楽章のテーマが姿を見せているのです。
その後スケッチを進め、1802年夏には、ウィーン郊外のハイリゲンシュタットで本格的に作曲を行い、10月ウィーンに戻ってから完成させました。
初演は、翌1803年4月5日、アン・デア・ウィーン劇場で自身の指揮で行われました。
ただ、第1番から第2番へとすんなり進んだわけではありません。
この3年間の間にベートーヴェンにとって、生きるか死ぬかの葛藤を乗り越えているのです。
それは、耳の疾病への絶望とそれを乗り越えようとする強い意志です。
ベートーヴェンは、音楽家として致命的な耳に疾患があるわかり、それに絶望して遺書を書きました。
ハイリゲンシュタットから、10月6日に弟のカルルに、10月10日には、弟のヨハンに送っています。
最初の遺書には、耳の病気に絶望して死を決意する内容でしたが、5日後に送ったものは、未来への希望を見出したともとれる箇所があります。
つまり書くことで、心に澱のように溜まっていた苦悩を吐き出し、それが前向きな気持ちにさせたと思います。
元々ベートーヴェンは陽性の人で、とことんやってみようと開き直ったのかもしれません。
その証拠に、この時期に作られた交響曲第2番は、明るく生き生きした曲になっています。
また交響曲として第1番から随所に進化が見られます。
次の第3番”英雄”が、交響曲の歴史を変えた記念碑的作品と言われますが、実はこの第2番には、すでに息吹が宿っていました。
隠れた名曲としてファンも多い曲です。
ベートーヴェン CD 交響曲第1番と第2番 おすすめ
レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ベートーヴェン: 交響曲全集 [5CD+Blu-ray Audio] レナード・バーンスタイン 、 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
バーンスタインは、1918年生まれでしたので、89年に10歳年上のカラヤンが亡くなった時は、これからはバーンスタインの時代かな、と思いましたが、病気だったそうで翌年には亡くなってしまいました。カラヤンと同い年での朝比奈隆さんは、「私より大分若いのに残念です」というようなコメントされていたのが印象に残っています。
ただ、ウィーンフィルとのベートーヴェンは、バーンスタイン60歳頃の録音で、生き生きと覇気溢れる演奏で、元気になる演奏です。
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ジョン・エリオット・ガーディナー指揮オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック
ベートーヴェン: 交響曲全集 ジョン・エリオット・ガーディナー 、オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック
切れ味鋭い快速テンポで、オーケストラも手練れ揃いで、まるで即興演奏を聴いているようなスリリングな全集です。ガーディナーが大好きになった全集です。
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オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団
ベートーヴェン: 交響曲 &序曲集<限定盤> オットー・クレンペラー 、 フィルハーモニア管弦楽団
仰ぎ見る全集。第1番と第2番もスケール大きな演奏で、むしろ第3番”英雄”の方が慎ましやかだったりと不思議な全集でもあります。
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ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団
『ブルーノ・ワルター / ベートーヴェン:交響曲全集、ヴァイオリン協奏曲』
80歳を超えた名指揮者ワルターが、生き生きとチャーミングに生命力溢れる演奏を展開しています。
第1番と第2番の永遠の名演だと思います。
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ノリントン指揮ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ
ベートーヴェン:交響曲 第2番 第8番 ロジャー・ノリントン
ベートーヴェン:交響曲 第1番 第6番「田園」 ロジャー・ノリントン
ノリントン1回目の全集から。古楽器ならではの、有機的な響きと愉悦さ抜群の演奏です。
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ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
ベートーヴェン: 交響曲全集 (第1番-第9番《合唱》)<タワーレコード限定> ハンス・シュミット=イッセルシュテット 、 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
60年代、名門ウィーンフィルが、初めてベートーヴェンの交響曲全集の録音にあたり、組んだ指揮者は、カラヤンでもベームでもなく、ハンス・シュミット=イッセルシュテット。
敗戦直後、北ドイツ放送響の創設と育成に尽力した質実剛健な指揮者。
録音から半世紀経ったいまでも、CDのラインナップから消えることはありません。
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