合唱団員向けに、おすすめの交響曲の記事を書いて欲しいだよ!しかもあきたりじゃないやつ、それも連載で!
やってくれるよね!
合唱団の機関誌担当のSさんから、練習後いきなり言われたのが1年前。
有無を言わせぬような依頼でしたが、Sさんには常々原稿に困ったらいつでも言ってください、力になりますよ、と伝えていたので断るわけにも行かず、引き受けることにしました。
こんにちは、
ともやんです。
上記のように、合唱団の機関誌に1年間、「交響曲おすすめ初心者」というテーマで記事を連載することになりました。
その連載では団員からは、そこそこの評価をもらい、
クラシックの合唱曲を扱っている合唱団員と言っても、みんなが皆、クラシック音楽のマニアとは限りません。
むしろ、初心者から少し進んだ程度の人が多いので、そう言う方たちに向けて書きました。
ということで、団員からは「隠れた名曲ってたくさんあるのね」と、好評でした。
てなわけで、ブログを運営している身としては、機関誌だけに発表するだけではもったいない、せっかくなので自分のブログでまとめ記事にして発表しようということにしたのです。
そこで「交響曲おすすめ初心者」というテーマでまとめてみました。
ズバリ交響曲隠れた名曲!僕のおすすめ
初心者におすすめしたい交響曲でしかも当たり前すぎない隠れた名曲は、僕の得意とすることで全6回の連載で次の10曲を紹介しました。
交響曲の父ハイドンから2曲
交響曲の父と呼ばれることもあるヨゼーフ・ハイドン(1732-1809)。
生涯に100曲以上の交響曲を作りました。
長年エステルハージ家に使えていましたが、そこをやめてからの活躍が凄い。
興行師と一緒にロンドンに渡り、「ロンドン・セット」と呼ばれる12曲の交響曲(第93~104番)を創って興行も大成功。
しかもなんと言っても後世の音楽ファンに素晴らしいプレゼントを遺してくれたのです。
12曲はどれも傑作ですが、僕は99番と100番「軍隊」がおすすめ。
「軍隊」は、僕は中学生1年の時初めて買ったレコード(17センチ盤)で思い出の曲。
そして99番は、一般的には有名ではありませんが「軍隊」と並ぶ傑作だと思います。憶えやすいメロディーで思わず口ずさみたくなります。
・ハイドン交響曲第99番
・ハイドン 交響曲第100番「軍隊」
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出来たらロンドン・セットは、全て聴きたいですね。
僕もこのCDセットを持っていますが、現在(2025.4.22)HMVで注文の受付はしていますが、入荷未定とことです。
神童モーツァルトの隠れた傑作
天才モーツァルトも、交響曲を40曲以上作曲しました。
神童の名に恥じず、幼少の頃から作曲していて、後世の人により41番までの番号が付けられましたが、それを上回る作品を遺しています。
モーツァルトの交響曲というと特に最後の3曲(第39~41番)が有名で初心者にすすめられることが多いです。
しかし、僕の体験では、その前の第38番「プラハ」で、モーツァルトの交響曲の素晴らしさを知りました。
全篇愉悦に溢れるような作品で、モーツァルトの音楽の楽しさを知ることができる交響曲です。
だから初心者の方にも、超おすすめです。
第29番は10代に作曲した作品で、激情的な第25番ト短調と対極の優美にして優雅な作品です。
第25番が映画「アマデウス」のイントロ部分に使われて有名なので、今回は第29番を紹介しました。
・モーツァルト交響曲第29番
・モーツァルト交響曲第38番「プラハ」
モーツァルトの交響曲は、ぜひ後期交響曲集に加え、第25、29番を聴いて欲しいです。
変革者ベートーヴェンの隠れた傑作
交響曲と言えば、ベートーヴェン(1770-1827)の代名詞的な分野です。
曲数自体は9曲ですが、全て性格が違う作品は、まさにクラシック音楽史のひとつの頂点だと思います。
そしてそれまで、作曲家は、職人と思われていた世界に芸術という概念を持ち込んだのもベートーヴェンの偉業と思います。
少し古い資料ですが、『音楽の友』のデータによると、2012年から17年に作曲家演奏回数ランキングでは、ベートーヴェンは、2015年に僅かの差でモーツァルトを下回った以外は、第1位です。
ちなみにこの6年間のベスト5は、ベートーヴェン、モーツァルト、J.S.バッハ、チャイコフスキー、ブラームスが不動です。
さて傑作揃いの9つの交響曲ですが、曲によって演奏回数にかなり差があります。
断トツは、年末に演奏されることが多い「第九」こと交響曲第9番「合唱」。
2018年1年間の記録ですと第九に大差は付けられていますが、第7番、「運命」、「田園」、「英雄」が続き、そこからまた差が開き、第4番、第2番、第8番、第1番とだんご状態でした。
この演奏回数の差が、そのまま曲の魅力ではありません。
むしろ演奏回数の少ない第4番以降が、実はとてつもない魅力があります。
その中でも僕は初心者におすすめするのが第2番と第8番。
一般に第3番「英雄」が、交響曲の歴史を変えたと言われていますが、僕は第2番にすでに変革者ベートーヴェンらしさが、しっかり現れています。
特に第3楽章にスケルツォを配置したのがこの作品からです。
第8番は、規模的には全9曲の中ではもっとも小型ですが、ユーモアと大らかさを有したこの作品は、ベートーヴェンの交響曲の中でも特異な輝くを放っています。
・ベートーヴェン交響曲第2番
・ベートーヴェン交響曲第8番
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現役最高齢のブロムシュテット(1927-)の壮年期の全集は内容も素晴らしいです。
ロマン派以降の隠れた名曲
フランツ・シューベルト(1797-1928)は、個人的にはクラシック音楽史上最高の天才の一人だと思っています。
僅か31年の生涯で、あらゆるジャンルの作品を作曲し、特に歌曲には関しては500曲以上遺しています。
交響曲も現在は8曲遺されているとのことで、第8番で親しまれた「未完成」は、現在第7番「未完成」、そして「ザ・グレート」が第8番となっています。
この2曲は、シューベルトの作品でも別格な存在ですが、僕はあえてここで第5番をおすすめします。
まだ10代の作品でそのフレッシュな愉悦感は、未完成やザ・グレートとは違う魅力に溢れています。
・シューベルト交響曲第5番
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・シューマン交響曲第2番
ロベルト・シューマン(1810-1956)は、ピアノ曲、歌曲を得意としていましたが、妻クララの期待に応えるべき、4つの交響曲を遺しています。
どれも素晴らしい作品ですが、その中では第2番が、演奏回数が少ないようです。
しかし、僕は高校生の時、この曲の魅力に触れ、それ以来この曲のファンです。
幻想的な雰囲気が、一番シューマンらしいなと思います。
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・ブラームス 交響曲第3番
ヨハネス・ブラームス(1833-1897)も恩師のシューマンに合わせたかのように4つの交響曲を遺しています。
ブラームスは、ピアノ曲や室内楽も素晴らしいですが、管弦楽などの大曲も構成力の高い素晴らしい作品を遺していますし、駄作はないといって過言ではありません。
それは彼の慎重な性格がなせる業で、納得のいく作品しか世に出さなかったからだとも思います。
4つの交響曲の中では、第3番一番演奏回数が少ないのでは感じますが、4楽章全てが静かに終わる内容や第3楽章のセンチメンタルなメロディーなど、もっともブラームスらしい作品で僕は大好きです。
やはり高校生の時、この曲の魅力に気付きそれ以来ブラームスの交響曲ではもっとも好きな作品です。
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・ドヴォルザーク交響曲第8番
アントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)の交響曲というと、「新世界より」が断トツに有名で人気があり、内容も素晴らしいです。
彼は9曲遺してますが、第7と8番も人気がありよく演奏もされています。
今回の僕のおすすめは第8番です。
親しみやすい旋律に加え、哀愁をたたえた内容は「新世界より」と甲乙付けがたいです。
個人的にも圧倒的に第8番が好きで、初心者の方に超おすすめです。
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山形交響楽団は、日本オーケストラ連盟27団体の中でももっとも人口の少ない山形市(約24万人)を拠点として活動しているプロのオーケストラです。
その山形響に日本を代表する指揮者コバケンこと小林研一郎が39年ぶりに定期公演を振りました。
その模様をぜひU-NEXTの31日間無料トライアルでお楽しみください。
有名な曲よりも隠れた名曲を
改めてSさんの依頼というのをもう少し詳しく書くと、
合唱団員向けに初心者向けのおすすめ交響曲とマニア向けの難易度の高い交響曲の紹介記事を書いて欲しいというものでした。
つまり合唱団では、J.S.バッハやヘンデル、モーツァルトの合唱曲をやっている割には、普段クラシックにほとんど接していない人もいれば、LPレコード、CDを数百枚以上所有する非常なマニアもいるのです。
その両方の人たちが楽しめるために毎月交互に初心者とマニア向けに連載してくれというものでした。
そこで僕は、毎月聴きやすい親しみやすい交響曲となかなか出会えない、かと言って録音はまれにされているという非常にレアな交響曲を交互に紹介するということを1年間続けることになったわけです。
おすすめされやすい交響曲
僕が、クラシック音楽に親しみだした1970年代は、LPレコード全盛期でした。
レコードのジャケットには必ず帯が付いていたものです。
その帯には、モーツァルトの”ジュピター”、ベートーヴェンの”運命”や”田園”、シューベルトの”未完成”、チャイコフスキーの”悲愴”、ドヴォルザークの”新世界より”などいうタイトルが、目立つように表示されていました。
ただ、そのタイトルと言うのは、作曲者自身が付けたものは少なく、ほとんど後世の人が付けたものでした。
つまりレコード会社は、クラシックのLPレコードを販売するのに憶えやすいタイトルを前面に出して、購買を促していたわけですね。
僕も、最初に買ったLPは、カラヤン&フィルハーモニア管によるベートーヴェンの”運命”とチャイコフスキーの”悲愴”とのカップリングでした。
ただ中には、タイトルは魅力的だけど、初心者にはハードルが高い曲もあり、僕の友人などは、タイトルにつられて、ベルリオーズの”幻想交響曲”を買ったがいいが、内容が難しくて1回聴いてそのまましまい込んでしまったというのもいました。
つまりクラシック音楽がまだまだ一部の人たちの高尚な趣味と思われていた時代は、初心者には、惹きつけるタイトルが必要だったんですね。
交響曲人気ランキング
UNIVERSAL MUSIC JAPANの公式サイトに「クラシック百貨店」というコーナーがあります。ここで紹介されている直近の交響曲ランキングのベスト10が以下の10曲です。
1位.ベートーヴェン:交響曲第9番《合唱》
2位.ブラームス:交響曲第4番
3位.ベートーヴェン:交響曲第7番
4位.ドヴォルザーク:交響曲第9番《新世界より》
5位.チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》
6位.ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》
7位.ベートーヴェン:交響曲第5番《運命》
8位.ブラームス:交響曲第1番
9位.マーラー:交響曲第9番
10位.モーツァルト:交響曲第41番《ジュピター》
うーん、なるほど。
ブラームスの4番が2位、マーラーの9番が9位にランキングされています。
これは20世紀には考えられない結果ですね。
枯淡の境地、厭世的な雰囲気を持つこれらの作品が、シニア世代の多さや不安な時代を反映していると思います。
なんか夢や希望よりも、諦めや絶望を感じている人が多いのかもしれません。
そして次の11曲をチェックしてみると、よりその思いを強くしました。
また、ブルックナーやマーラーに長大な作品が入っているのも彼らの作品がしっかり根付いた証だと思います。
11位.ブルックナー:交響曲第8番
12位.ベートーヴェン:交響曲第6番《田園》
13位.ベルリオーズ:幻想交響曲
14位.チャイコフスキー:交響曲第5番
15位.シューベルト:交響曲第8番《未完成》
16位.マーラー:交響曲第5番
17位.モーツァルト:交響曲第40番K.550
18位.ブルックナー:交響曲第9番
19位.ラフマニノフ:交響曲第2番
20位.ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
21位.マーラー:交響曲第2番《復活》
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【クラシック百貨店】に登録されている作品は、交響曲はじめ各ジャンルの名曲が集められています。
タワーレコードやHMVのオンラインサイトでぜひチェックしてみてください。
まとめ
僕がクラシック音楽に興味を持ち出し、自分でレコードも買いだしたのが、中学1年生の頃。
1970年のことで、今から半世紀も前のことです。
当時は、LPレコードは物価に比べかなり高額で、中学生の小遣いではなかなか購入できませんでした。
だからレコード店に行ってもどんなレコードがあるか、いつも見ているだけの日々でした。
そのため、小遣いが貯まっていざ買うとなれば、迷いに迷って購入したものです。
またクラシック音楽関連の情報も少なく、購入した名曲辞典などもボロボロになるまで読んだものです。
そこで気付いたのが、名曲は、有名曲だけにあるのではないということでした。
つまり隠れた名曲というのは、それこそたくさんあるということです。
そしてその中から、世間ではあまり有名でなくても、こんな素晴らしい曲があるんだという発見があることに、わくわくどきどきするようになりました。
今回、僕なりのおすすめの交響曲をご案内しましたが、ぜひ自分なりの名曲探しをしてほしいと思います。
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